また岸大臣は、この中には変則軌道で飛しょうしたものが含まれている可能性があり、この6発以外にもミサイルを発射した可能性があると分析していることを明らかにしました。
岸大臣は「北朝鮮は、ことしに入ってから、巡航ミサイルの発射を含めれば17回におよぶ、かつてない高い頻度で、かつ新たな態様での発射を繰り返している」と述べました。
そのうえで「特に今回のように、少なくとも、短時間で、3か所以上から、極めて多い発数は異例とも言える。一連の北朝鮮の行動は、わが国や地域、国際社会の平和と安定を脅かすものであり断じて許すことはできない。関連する国連安保理決議に違反するものであり、強く非難する」と述べました。
政府は、北朝鮮に対し、北京の大使館ルートを通じて抗議しました。
最高高度はおよそ50キロから100キロ、飛んだ距離は、およそ300キロから400キロと推定されています。 これまでのところ、日本の航空機や船舶の被害などの情報は確認されていません。 防衛省は、複数の場所から同時に発射する能力の試験の可能性があるとみて、情報収集と分析を進めるとともに北朝鮮が、かつてない高い頻度で新たな形での発射を繰り返しているとして、警戒 監視に万全を期すことにしています。
防衛省によりますと、 ▽1発目は9時6分ごろに西岸付近から東に発射され、 最高高度はおよそ50キロ、飛んだ距離はおよそ350キロ。 ▽2発目は9時10分ごろに東岸付近から東に発射され、 最高高度はおよそ50キロ、距離はおよそ300キロ。 ▽3発目は9時15分ごろに西岸付近から東に発射され、 最高高度はおよそ50キロ、距離はおよそ400キロと推定されています。 また、 ▽4発目は9時24分ごろに内陸部付近から東に発射され、 最高高度はおよそ100キロ、距離はおよそ350キロ。 ▽5発目は9時半ごろに西岸付近から東に発射され、 最高高度およそ50キロ、距離はおよそ400キロ。 ▽6発目は9時41分ごろに内陸部付近から東に発射され、 最高高度およそ100キロ、距離はおよそ300キロと推定されています。
そのうえで「北朝鮮はことしに入ってから新型のICBM=大陸間弾道ミサイルを含め高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返している。一連の北朝鮮の行動は、地域および国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて許すことはできない。今回の弾道ミサイルの発射も国際法違反であり強く非難する。すでに北朝鮮に対し、厳重に抗議を行ったところだ」と述べました。 そして「今月8日に、日米韓で外務次官級協議を行うなど、引き続き米国、韓国とも緊密に連携しながら、情報収集、警戒監視に全力を挙げるとともに、わが国の平和と安全の確保に万全を期していきたい」と強調しました。 また岸田総理大臣は「ミサイルの数はまだ分析中だ。私にはEEZ=排他的経済水域内にミサイルが落下したという情報はなく、すべてEEZ外だという情報が来ている」と述べました。
海上保安庁は航行中の船舶に対し、今後の情報に注意するよう呼びかけています。
これまでに、1月に7回、2月に1回、3月に3回、4月に1回、5月は4回、それぞれ弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。 これまでの16回のうち、14回は弾道ミサイルと推定され、もう1回も弾道ミサイルの可能性が指摘されています。 残りの1回は長距離巡航ミサイルと推定されています。このうち、直近の5月25日に発射された弾道ミサイルについて防衛省は、少なくとも2発を発射し、1発は、最高高度550キロ程度、距離は300キロ程度、もう1発は、最高高度50キロ程度、距離は750キロ程度を変則軌道で飛しょうしたと分析しています。 さらに、この2発以外にもミサイルを発射した可能性があり詳しい分析を続けています。 1発目のミサイルは、ICBM=大陸間弾道ミサイル級で、新型の「火星17型」の可能性があるとみて、防衛省が分析を行っています。 また、5月12日には、3発の弾道ミサイルを発射し、防衛省は、おととし3月29日などに発射された、北朝鮮が「超大型ロケット砲」と呼んでいる短距離弾道ミサイルと同型の可能性があるとみて分析を進めています。 さらに、5月7日のミサイルについて、防衛省は、去年10月19日に発射されたSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルと同型で、変則軌道で600キロ程度飛しょうしたと分析しています。 一方、3月24日の弾道ミサイルは、日本のEEZ=排他的経済水域の内側の、北海道の渡島半島の西およそ150キロの日本海に落下したと推定されています。 飛しょう時間が過去最長のおよそ71分で、通常より角度をつけて打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射され、最高高度が6000キロを超えてこれまでで最も高いと推定されています。 この弾道ミサイルについて防衛省は、2017年11月のICBM=大陸間弾道ミサイル級の弾道ミサイル「火星15型」の発射時の4000キロを大きく超える高度で、おととし10月の北朝鮮の軍事パレードで初めて確認された新型のICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星17型」とみて分析を続けており、通常の弾道であれば、弾頭の重さ次第では、射程が1万5000キロを超え、アメリカ全土が射程に含まれる可能性があるということです。 このため、政府は「次元の異なる深刻な脅威だ」として非難するとともに、北朝鮮が挑発行為を繰り返すおそれがあると見て、アメリカや韓国などと連携して、警戒を強めています。
北朝鮮としては、原子力空母を投入した共同訓練を4年7か月ぶりに行ったばかりのアメリカと韓国に反発を示すとともに、日本を含む3か国の連携を強くけん制するねらいがあるとみられます。 韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射したと、5日午前9時10分ごろ明らかにし、アメリカ軍とともに詳しい分析を進めています。
こうした中、先月、ソウルで開かれた米韓首脳会談では、核・ミサイル開発を加速する北朝鮮を念頭に、アメリカの核戦力を含む抑止力の強化や、合同軍事演習の規模拡大に向けた協議の開始などで合意し、さらに東京で開かれた日米首脳会談では、北朝鮮の核・ミサイル問題に深刻な懸念を共有したうえで、一層緊密な連携を確認しました。 加えて、今月3日、日米韓の北朝鮮担当の高官による協議が行われたのに続いて、米韓両軍が4日までの3日間、原子力空母を投入した共同訓練を4年7か月ぶりに行ったばかりです。 北朝鮮としては、こうしたタイミングで再び発射に踏み切ることで、同盟関係の強化を進める米韓両国に反発を示すとともに、日米韓3か国の連携を強くけん制するねらいがあるとみられます。 一方、北朝鮮では、新型コロナウイルスによるとみられる発熱者が相次ぎ、感染の封じ込めに追われていますが、そうした中でも、国防の要である核・ミサイル開発に影響はないと重ねて印象づけたい思惑もありそうです。
この中で、3氏は北朝鮮が複数地点から多数の弾道ミサイルを発射したことを強く非難したうえで、北朝鮮が核・ミサイル活動を強化していることは、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だという認識を改めて共有しました。 また、今月3日に行われた日米韓3か国の局長級協議の結果も踏まえ、国連安保理決議に沿った北朝鮮の完全な非核化に向け、3か国の安全保障協力を含めた地域の抑止力強化や国連での対応、それに来週8日に行われる3か国の外務次官級の協議などで引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
そのうえで「日本と韓国の防衛に対するアメリカの関与は揺るぎない」と強調しています。
防衛省「複数の場所から同時に発射する能力の試験の可能性」
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