発疹はっしんは、典型てんけい的てきには顔面がんめんから始はじまって体からだじゅうに広ひろがります。

徐々じょじょに膨ふくらんで水疱すいほう（水みずぶくれ）になり、うみが出でて、かさぶたとなり、発症はっしょうから2～4週間しゅうかんで治癒ちゆするということです。

多おおくの場合ばあいは、軽症けいしょうで自然しぜんに回復かいふくしますが、肺炎はいえんや敗血症はいけつしょうなどの合併症がっぺいしょうを引き起ひきおこすことがあり、年齢ねんれいが低ひくいほど重症じゅうしょう化かする可能かのう性せいがあるとされています。

1958年ねん、ポリオワクチン製造せいぞうのために世界せかい各国かっこくから霊長れいちょう類るいが集あつめられた施設しせつにいたカニクイザルで最初さいしょに発見はっけんされたためです。

しかし、通常つうじょうの状態じょうたいでこのウイルスを持もっている自然しぜん宿主しゅくしゅはサルではなく、げっ歯は類るいだと考かんがえられています。

人ひとへの感染かんせんは1970年ねんにコンゴ共和きょうわ国こくで最初さいしょに確認かくにんされ、その後そのご、中央アフリカちゅうおうあふりかや西アフリカにしあふりかの熱帯ねったい雨林うりん地域ちいきで散発さんぱつ的てきに感染かんせんが広ひろがりました。

2003年ねんにはアフリカからペットとして輸入ゆにゅうされた小しょう動物どうぶつを通をつうじてアメリカにウイルスが持ち込もちこまれ、71人にんが感染かんせんしました。

アフリカでは現在げんざいもサル痘の感染かんせんが頻繁ひんぱんに起おきていて、WHOによりますと2022年ねん1月つき以降いこう、コンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国こくやナイジェリアなど8か国かこくで、疑うたがい例れいを含ふくめた感染かんせん者しゃ数すうは1536人にんに上のぼり、72人にんが死亡しぼうしています。

また、ナイジェリアなど西アフリカにしあふりかと、コンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国こくなど中央アフリカちゅうおうあふりかの地域ちいきでは別々べつべつの系統けいとうのウイルスが広ひろがっているとされています。

中央アフリカちゅうおうあふりかでみられるサル痘の方ほうが重症じゅうしょう化かしやすく、致死ちし率りつは数すう％から10％程度ていどに上のぼると報告ほうこくされています。

近年きんねん、アフリカ以外いがいで確認かくにんされたケースはすべてナイジェリアからの帰国きこく者しゃが発症はっしょうするパターンで、年間ねんかんに数すう人にん程度ていど、確認かくにんされていました。

アフリカ以外いがいでは死亡しぼうした人ひとは報告ほうこくされていません。

一部いちぶの専門せんもん家かはヨーロッパ各地かくちで開ひらかれた大だい規模きぼなイベントを介かいして感染かんせんが広ひろがった可能かのう性せいを示唆しさしていて、今後こんご、夏なつに向むけてこうしたイベントがさらに増ふえるとみられることから各国かっこくは注意ちゅういを呼よびかけています。

一方いっぽうで、感染かんせん経路けいろが特定とくていできない、いわゆる「市中しちゅう感染かんせん」とみられる患者かんじゃや、女性じょせいの患者かんじゃも確認かくにんされているとして、特定とくていのグループの人々ひとびとの病気びょうきとしてとらえずに警戒けいかいすべきだとしています。

WHOはサル痘にかかった人ひとと密接みっせつに接触せっしょくしたことのある人ひとは誰だれもが感染かんせんするリスクがあるとして「病気びょうきを理由りゆうに不当ふとうな扱あつかいを受うける人ひとがいてはならない」としています。

WHOは症状しょうじょうが出でている人ひとは検査けんさを受うけ、他たの人ひととの密接みっせつな接触せっしょくを避さけて、医療いりょう機関きかんにかかるよう呼よびかけています。

今こん懸念けねんされているのが、サル痘がこれまで見みられてこなかったヨーロッパなどに定着ていちゃくすることです。

WHOは定着ていちゃくを食い止くいとめるため、患者かんじゃの追跡ついせき、隔離かくりを強化きょうかするよう各国かっこくに呼よびかけていますが、イギリスやスペインなどでは感染かんせんの連鎖れんさに歯止はどめがかかっていません。

ECDCは「可能かのう性せいは非常ひじょうに低ひくい」としたうえで、ヒトからヒトの感染かんせんが続つづけば、いずれ動物どうぶつに感染かんせんしてヨーロッパに定着ていちゃくする可能かのう性せいを指摘してきしています。

日本にっぽん国内こくないで最後さいごに接種せっしゅが行おこなわれたのは1976年ねんで、そのときに子こどもだった今いまの40代だい後半こうはん以上いじょうの世代せだいは接種せっしゅを受うけていて、サル痘に対にたいする免疫めんえきがある可能かのう性せいがあります。

天然痘てんねんとうのワクチンは、日本にっぽんには効果こうかが高たかく副ふく反応はんのうも小ちいさいとされるワクチンがあり、テロ対策たいさくの一環いっかんとして国家こっか備蓄びちくされています。

サル痘に対にたいする薬くすりの開発かいはつは進すすめられていますが、今いまのところ特効薬とっこうやくのような治療ちりょうはなく、各国かっこくでは対症たいしょう療法りょうほうで対応たいおうしています。

イギリスの保健ほけん当局とうきょくが6月つき2日にちに公表こうひょうした報告ほうこく書しょでは、ワクチンの接種せっしゅの希望きぼうを聞きかれた医療いりょう従事じゅうじ者しゃの69％が接種せっしゅを希望きぼうしたのに対にたいし、患者かんじゃと接触せっしょくした人ひとでは14％しかワクチンの接種せっしゅを希望きぼうしなかったとされています。

報告ほうこく書しょでは「根絶こんぜつという目標もくひょうを達成たっせいするためには、患者かんじゃの迅速じんそくな発見はっけんや感染かんせん経路けいろの追跡ついせきが必要ひつよう不可欠ふかけつだ。定期ていき的てきな検査けんさなどワクチン以外いがいの対策たいさくについても検討けんとうすべきだ」としています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは5月つき20日にちと6月つき1日にちに都道とどう府県ふけんなどに対にたいし事務じむ連絡れんらくを出だし、疑うたがわしい患者かんじゃがあれば報告ほうこくし、指定してい医療いりょう機関きかんへの入院にゅういん体制たいせいを確保かくほするよう求もとめています。

またサル痘の検査けんさは水疱すいほうに含ふくまれている液体えきたいなどから新型しんがたコロナウイルスと同おなじようにPCR検査けんさで調しらべられますが、現時点げんじてんで確定かくてい診断しんだんができるのは国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょに限かぎられています。

ここまで急速きゅうそくに患者かんじゃが増ふえるとは思おもわず、WHOも想定そうていしていなかったと思おもいます。

感染かんせんした1人にんが4人にんに感染かんせんさせるペースで広ひろがっている。

人ひとから人ひとにはそんなにうつらないと言いわれていたので不思議ふしぎな状況じょうきょうです。

Q.感染かんせん拡大かくだいの背景はいけいには何なにがあるのでしょうか？

患者かんじゃと暮くらす家族かぞくにも感染かんせんが広ひろがっていると指摘してきされています。

発疹はっしんや患部かんぶに触ふれたり、患者かんじゃが着きていたシャツや寝具しんぐに触ふれて、感染かんせんが成立せいりつしているということだと思おもいます。

Q.感染かんせん力りょくは従来じゅうらいよりも強つよまっているのでしょうか？

従来じゅうらいよりも強つよい感染かんせん力りょくがあるとはまだWHOもCDCも考かんがえてないようです。

濃密のうみつな接触せっしょくでの感染かんせん拡大かくだいが起おき、患者かんじゃと同おなじ家いえに住すむ人ひとに広ひろがっているという状況じょうきょうです。

飛ひまつ感染かんせんや空気くうき感染かんせんでどんどん広ひろがっていることはないと思おもいます。

また、天然痘てんねんとうでは発熱はつねつや悪寒おかんなどインフルエンザのような症状しょうじょうが最初さいしょに出でて、数すう日にちたって発疹はっしんが出でてきますが、今回こんかいのサル痘では発熱はつねつや悪寒おかんがなく元気げんきだったのに突然とつぜん発疹はっしんが出でてる患者かんじゃさんが多おおく報告ほうこくされています。

知しらない間まに感染かんせんを広ひろげてしまっていることも考かんがえられます。

患者かんじゃさんもその患者かんじゃさんを診みた医師いしもサル痘と気付きづかず、少すこしずつ感染かんせんが広ひろがり、大おおきな集会しゅうかいで一気いっきに広ひろがったと指摘してきする専門せんもん家かもいます。

Q.ウイルスが感染かんせん力りょくが強つよまるように変異へんいしている可能かのう性せいはあるのでしょうか？

あり得えることですが、その仮説かせつに見合みあう遺伝子いでんしの変異へんいは見みつかっていません。

またサル痘ウイルスは「ポックスウイルス」の一種いっしゅで、DNAの配列はいれつが長ながく、そう簡単かんたんには変異へんいは入はいらないという性質せいしつもあります。

Q.日本にっぽん国内こくないに流入りゅうにゅうするおそれはあるのでしょうか？

およそ30か国かこくで1000人にんを超こえる感染かんせん者しゃが出でているので、当然とうぜん、潜伏せんぷく期間きかん中ちゅうの感染かんせん者しゃが日本にっぽんに入はいってきて発症はっしょうするリスクはあります。

海外かいがいからの観光かんこう客きゃくの受け入うけいれが再開さいかいし、感染かんせんした人ひとが海外かいがいから来きて発症はっしょうするということもありえると思おもいます。

もし国内こくないで感染かんせん者しゃが出でた場合ばあい、濃厚のうこう接触せっしょく者しゃの方ほうを含ふくめて検査けんさが必要ひつようになってきます。

いまは国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょでしか検査けんさができませんが、各かく自治体じちたいにある地方ちほう衛生えいせい研究所けんきゅうじょで検査けんさができるよう準備じゅんびが進すすめられていると思おもいます。

医療いりょう機関きかんでは海外かいがいから入国にゅうこくした人ひとで発熱はつねつや発疹はっしんが出でた人ひとはサル痘を疑うたがうべきだと思おもいます。

Q.ヨーロッパなど海外かいがいに行いく人ひとが注意ちゅういする点てんはありますか？

取引とりひき先さきなどとディスカッションしたり、会話かいわしたり、食事しょくじするぐらいの程度ていどでは感染かんせんするリスクはほとんどないです。

ただ、あいさつのときにハグしたりキスしたりすることがありますが、そういった接触せっしょくは避さけたほうがいいと思おもいます。

Q.どの程度ていど、警戒けいかいすべきなのでしょうか？

今いまのところはそれほど心配しんぱいする必要ひつようはないんじゃないかなと思おもいますが、これから先さき、どうなるかは分わからない部分ぶぶんがあります。

ただ、現時点げんじてんで市中しちゅう感染かんせんするおそれはないと考かんがえています。

海外かいがいから来くる人ひとが増ふえていく中なかで流入りゅうにゅうのリスクは高たかくなるはずなので、まずは水際みずぎわでの対策たいさく、発熱はつねつや発疹はっしんがある人ひとがいたら空港くうこう検疫けんえきで見みつけて検査けんさにつなげていくことが大切たいせつです。

その場ばでは分わからず、その後そのご、症状しょうじょうが出でた人ひとについては、医療いりょう機関きかんを受診じゅしんしてもらい適切てきせつな検査けんさや治療ちりょうを受うけてもらう必要ひつようがあります。