今回の
国勢調査では、50
代以下で「
小学校卒業」と
回答した
人は1
万9857
人いました。
▽50代が6663人
▽40代が6163人
▽30代が4221人
▽20代が2508人
▽15歳から19歳でも302人となっています。
いずれの年代も外国人が50%余りを占めていますが、日本人も40%を超えています。
さらに50代以下では、小学校に通えていない「未就学」の人も3万3767人に上り、日本人が80%近くを占めています。
小学校卒業が最終学歴の人と合わせると、義務教育を終了していない人は50代以下で少なくとも5万3000人にのぼることが今回の調査で明らかになりました。
なぜこうした事態になっているのか。
今回の調査からはわかりませんが、岡山県で日本最大規模の「自主夜間中学校」を運営し、小学校や中学校に通えなかった人の学びを支援している城之内庸仁代表は次のように話しています。
「中には、いじめや不登校、それに引きこもり、親のネグレクトなどでほとんど学校に通えなかった人もいる。“形式的に卒業”したことになっている人も一定数いると見られるが、実態としては学校に行っていないという認識が強く残っている人も多くいるのではないか」
子どもの貧困や学校教育に詳しい立命館大学の柏木智子教授はこう指摘しています。
「
外国人の
未就学は
課題として
指摘されており、
想定されていたが、50
代以下の
世代で
日本人でも
同程度ぐらいが『
小卒』という
回答をしているのは
憂慮すべき
事態だ。
もっと早くからこうした
実態把握をすべきだった。
最終学歴が
大卒の
人と
比べると
生涯賃金や
生活の
質において
大きな差があり、
貧困状態にも
陥りやすく
自分自身が
望む
生き方ができない
状況に
陥ることが
想定される」。
50代以下で外国人が多い背景は?
全体を
占める外国人の
割合は2.5%ですが、50
代以下では
半数を
超えているのは
なぜなのでしょうか。
その背景には、1990年に入管法が改正され、それに伴って、日系3世まで定住が可能となることが明確化されるなど、年々、外国人が増えていることがあると考えられています。
ただ、言語や文化の違いから、日本の学校に通うことを困難に感じている子どももいると指摘されています。
義務教育制度はどうなっている?
1947
年に
定められた
今の
義務教育制度は、
憲法と
学校教育法に
基づき「すべて
国民は、
法律の
定めるところにより、
その保護する
子女に
普通教育を
受けさせる
義務を
負う。
義務教育は、
これを
無償とする」とし、
保護者は
子どもを
学校に
通わせる「
就学」の
義務を
負います。
義務教育を子どもに受けさせなかった場合、督促されますが、それでも受けさせなかった場合、保護者に10万円の罰金が科せられることが法律で定められています。
文部科学省によりますと、外国の子どもたちも、国際人権規約に基づき義務教育を受ける権利は認められています。
一方で、外国人の保護者に子どもを就学させることは義務づけておらず、国は、子どもたちを学ばせるよう呼びかけています。
都道府県別は
最終学歴が「
小学校卒業」の
人や「
未就学」の
人の
状況を
都道府県別にみていきます。
最も多かったのは
北海道で5
万8444
人、
次いで愛知県で4
万3072
人、
新潟県で3
万6154
人、
大阪府が4
万2399
人となっています。
学びを支える1つ“夜間中学”の現状は
義務教育を
受けられなかった
人が「
学びたい」と
思った
時、どうしたらいいのでしょうか。
その1つの受け皿として国が設置を呼びかけているのが「夜間中学」です。
2016年に施行された「教育機会確保法」では、「夜間中学」を設置するなど学習の機会を提供するよう自治体に義務づけていて、国は、すべての都道府県や政令指定都市に少なくとも1つは「夜間中学」を設置するよう呼びかけています。
一方で、
全国の
夜間中学は、
この春に
北海道などで
開校した4
校を
含めても15
都道府県の40
校にとどまっています。
夜間中学がない地域のうち、宮城県仙台市や静岡県など3県で来年や再来年に開校するほか、鳥取県や群馬県など6県でこれから開校に向けて検討が進められています。
しかし、23県では設置の時期など具体的な見通しが立っていないということで、文部科学省は今回の調査結果を受け、全国の教育委員会に夜間中学の設置や充実に取り組むよう文書で通知しました。
学びの支援、どうすれば?
立命館大学の
柏木智子教授は、
支援の
在り方について、
このように
話しています。
「夜間中学は重要な学び直しの機会を保障する場で設置を進めるべきだが、仕事や子育てで通いにくい人や一度学校に通うのをやめた人たちが再び通学することには大きなハードルもあり、公的サービスにより多様なニーズに合わせて学びを保障する必要がある。また国勢調査は回答者の認識に基づくもので、調査に回答していない人も相当数いることから、必ずしも実態と合致しているとは限らない。支援につなげるには、より詳細な分析が必要になる」。
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