大企業の非製造業では、新型コロナからの経済や社会生活の正常化で消費の持ち直しに期待が広がる一方、原材料価格の高騰への懸念もあって横ばいとなっています。
日銀の短観では、企業に対し、1年後、3年後、5年後の物価の見通しについて、たずねています。 それによりますと、1年後の見通しは、すべての企業の平均でプラス2.4%となり、プラス1.8%だった前回の調査を0.6ポイント上回りました。1年後の物価の見通しがプラス2%を上回ったのは、短観でこの質問項目を設けた2014年3月以降で、初めてです。 また、▽3年後の見通しについては前回を0.4ポイント上回ってプラス2%、▽5年後については0.3ポイント上回ってプラス1.9%となり、いずれも過去最高となりました。 日銀は、今年度の消費者物価指数の見通しについて、政策委員の中央値でプラス1.9%とする一方、来年度・2023年度と2024年度はいずれもプラス1.1%とし、「物価の上昇は一時的だ」としていますが、企業は当面、物価上昇が続くとみていることがうかがえます。
1年後の物価見通し 大規模緩和後初めてプラス2%上回る
ロシアのウクライナ侵攻を受けた原材料価格の高騰が引き続き重荷になっています。
日銀の短観は国内の企業1万社近くに3か月ごとに景気の現状などをたずねる調査で景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた指数で景気を判断します。
今回の調査は5月下旬から6月30日にかけて行われ、大企業の製造業の指数はプラス9ポイントと、前回・3月の調査を5ポイント下回り、2期連続の悪化となりました。これは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて原材料価格が一段と高騰していることや、中国・上海で5月末まで続いた厳しい外出制限の影響による部品の調達難が続いていることが主な要因です。
一方、大企業の非製造業の景気判断はプラス13ポイントと前回を4ポイント上回り、2期ぶりの改善となりました。まん延防止等重点措置が解除されて以降、飲食や宿泊などのサービス業で持ち直しの動きが強まっています。