ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で開かれたウクライナへの軍事支援について欧米各国が話し合う会合で演説しました。
この中で、ゼレンスキー大統領はロシア軍の戦闘に参加している北朝鮮の兵士の死傷者が現時点で4000人に上るとしたうえで、「北朝鮮は戦争を再び輸出するための経験を安価に手に入れている。その先は、おそらくインド太平洋地域だ」と指摘しました。
そして「北朝鮮とロシアの共謀はプーチンの弱さを示している」と述べ、制裁などでロシアへの圧力をかけ続けるよう求めました。
また、「アメリカとの間でウクライナ国内での防空システムやミサイルのライセンス生産について協議している。これは安全保障の重要な一部となる可能性があるし、実現は十分に可能だ」と述べ、ウクライナの安全保障にとって防空システムが重要だと重ねて訴えました。
米国防長官 トランプ政権でも支援継続訴え
ドイツ西部のアメリカ軍基地では9日、欧米各国の国防相などが集まってウクライナへの軍事支援について話し合う会合が開かれました。
この会合は、ロシアによる軍事侵攻が始まった2022年以降、アメリカが主導して繰り返し開いてきたもので、バイデン政権のもとでは、最後の開催となります。
冒頭、アメリカのオースティン国防長官は「プーチン氏がウクライナを飲み込んでしまったら、彼の欲望は増すばかりだ。もし暴君が侵略は報われると学んでしまえば、さらなる侵略、混乱、戦争を引き起こすだろう。そうさせないというわれわれの決意は今も変わらない」と述べました。
会合にあわせて、バイデン政権は防空ミサイルやF16戦闘機の関連部品など、5億ドル、日本円でおよそ790億円の追加の軍事支援を行うと発表しています。
一方、今月20日に大統領に就任するトランプ氏はウクライナへの軍事支援の継続に消極的な姿勢を示しています。
オースティン長官は記者会見で、今後のウクライナ支援について「次期政権が決めることだが、こうした会合はウクライナだけではなくアメリカ、ヨーロッパ、世界にとっても重要だ」と述べ、トランプ次期政権が発足したあとも各国が協力して支援を継続すべきだと訴えました。