2023年のある夏の夜、城倉圭さんはビーカーに入った塊を手に興奮しながら、米マサチューセッツ州にあるウッズホール海洋生物学研究所に入りました。城倉さんは、「クシクラゲ」のコロニーを収容した水槽のある1階から来たところでした。
その塊は他のものよりも大きく、二つのクシクラゲが合体して一つになったように見えました。当時、英エクセター大学の博士研究員だった城倉さんは、最初は自分の目が信じられなかったと振り返ります。
城倉さんが現れたとき、米コロラド州立大学の博士研究員マリアナ・ロドリゲスサンティアゴさんは自分自身の研究に取り組んでいました。「私たちは全員、驚き、仰天し、考えた。『どうして、これらは融合して、しかも一体となって泳ぎ、動き回ることができるのだろう』」。ロドリゲスサンティアゴさんがピペットを手にしてクシクラゲの片方をやさしくつつくと、身じろぎしました。同時に、それがくっついているとみられるものも同様に動きました。