日清食品にっしんしょくひん カップヌードルなど“価格かかく引き上ひきあげ要求ようきゅう”公取委こうとりい警告けいこく

公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいによりますと、食品しょくひんメーカー大手おおての日にち清しん食品しょくひんは、おととしと去年きょねんの2回かい、原材料げんざいりょう価格かかくの高騰こうとうに伴ともなって希望きぼう小売こうり価格かかくを5％から13％値上ねあげしましたが、これにあわせて「カップヌードル」や「日にち清しん焼しょうそばU.F.O.」など5つの商品しょうひんについて、全国ぜんこくのスーパーやドラッグストアなどの小売こうり店てんに販売はんばい価格かかくを引き上ひきあげるよう求もとめていたということです。

本来ほんらい、販売はんばい価格かかくは、小売こうり店てんが自由じゆうに決きめるものですが、公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいが調査ちょうさした結果けっか、日にち清しん食品しょくひんが小売こうり店てんに対にたいして、ほかの店みせでも値上ねあげを実施じっしする予定よていであると説明せつめいするなどして価格かかくを引き上ひきあげさせ、実際じっさいに営業えいぎょう担当たんとう者しゃが店みせに出向でむいて価格かかくの確認かくにんをしていたことがわかったということです。

こうした要求ようきゅうは、小売こうり店てんどうしの価格かかく競争きょうそうや消費しょうひ者しゃが商品しょうひんを安やすく購入こうにゅうする機会きかいを奪うばい、独占どくせん禁止きんし法ほうで禁止きんしされている「再さい販売はんばい価格かかくの拘束こうそく」にあたり法律ほうりつに違反いはんするおそれがあるとして、公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいは日清食品にっしんしょくひんに22日にち付づけで再発さいはつ防止ぼうしなどを求もとめる警告けいこくを出だしました。

2015年ねんから行おこなわれ、ブランド価値かちの低下ていかを避さけるねらいがあったとみられるということです。

一方いっぽうで、日にち清しん食品しょくひんが中心ちゅうしんとなって小売こうり店てんの情報じょうほうを共有きょうゆうすることでカルテルのような状態じょうたいになっていた疑うたがいもあるとして、公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいは、食料しょくりょう品ひんの値上ねあげが続つづく中なか、小売こうり業界ぎょうかい全体ぜんたいの監視かんしを今後こんごも強つよめることにしています。

日にち清しん食品しょくひん「深ふかくおわび」

日にち清しん食品しょくひんは「お客おきゃくさまや取り引とりひき先さきなどにご迷惑めいわくをおかけしていることを深ふかくおわび申し上もうしあげます。今回こんかいの警告けいこくを重おもく受け止うけとめ、法令ほうれい順守じゅんしゅの体制たいせいをより強固きょうこなものにするべく改善かいぜんに取り組とりくんでまいります」などとコメントしています。

専門せんもん家か「デフレ経済けいざいなどが背景はいけいか」

小売こうり・流通りゅうつう業界ぎょうかいに詳くわしい分析ぶんせき広報こうほう研究所けんきゅうじょの小島こじま一郎いちろうチーフアナリストは、食品しょくひん大手おおての日清食品にっしんしょくひんが小売こうり店てんに値上ねあげを要求ようきゅうしていたことについて、「失うしなわれた30年ねん」とも呼よばれるこれまでに続つづいてきたデフレ経済けいざいなどが背景はいけいにあるのではないかと指摘してきしています。

小島こじまさんは、「30年間ねんかんにわたってデフレ傾向けいこうが続つづいてきた中なか、小売こうりの現場げんばでは『モノを安やすくしないと売うれない』という考かんがえが染しみついていることや、安やすく売うったほうが消費しょうひ者しゃに売うりやすいことなどから、値段ねだんは上あがっていかなかった。さらに、ほとんどの日本にっぽんの食品しょくひんメーカーは利益りえき率りつが低ひくく、それを上あげようと思おもったら、安やすく作つくるか、運営うんえいのコストを下さげるか、高たかく売うるかしか選択せんたく肢しはないが、安やすく作つくる、運営うんえいのコストを下さげるということに関にかんしては、すでにかなり行おこなわれ、余地よちは乏とぼしい。こうした中なか、いかに値段ねだんを上あげていくかというのは、メーカーとしての課題かだいになっていた」と指摘してきしています。

また、店頭てんとうの小売こうり価格かかくが横並よこならびで引き上ひきあげられる状況じょうきょうが起おきていたことについては、「小売こうり側がわも売うりやすさから安売やすうりする傾向けいこうにあるが、そもそもかなり薄利はくりのビジネスであるうえ、この30年ねんでそれが行き過いきすぎて、小売こうりで働はたらいている人ひとたちの環境かんきょうが厳きびしくなったり、人口じんこう減少げんしょうなども背景はいけいに小売こうり店てんが消滅しょうめつしたエリアも出でてきたりしている。高たかく売うれるなら高たかく売うりたい、というのが本音ほんねではないか」と指摘してきしています。

そのうえで「原材料げんざいりょう費ひが上あがってくれば売価ばいかに反映はんえいさせなければいけないのは当然とうぜんの流ながれだが、大だい前提ぜんていとして法律ほうりつやルールにのっとった形かたちでやらなければならず、そうしなければ値上ねあげ自体じたいがすべて悪わるいものにされかねない。日にち清しん食品しょくひんは、リーディングカンパニーで責任せきにんある立場たちばならば、適正てきせいな方法ほうほうでやっていただきたいと思おもう」と話はなしていました。