しかし2015年ねんには35人にんにまで抑え込おさえこみ、すべて海外かいがいから入り込はいりこんだケースだったため、日本にっぽんはWHO＝世界せかい保健ほけん機関きかんからはしかの「排除はいじょ状態じょうたい」にあると認みとめられました。

2019年ねんにははしかの感染かんせんの報告ほうこくが相次あいつぎ、1年間ねんかんで744人にんが感染かんせんしたと報告ほうこくされましたが、2020年ねんの新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだい以降いこうは海外かいがいとの人ひとの往来おうらいが少すくなくなったこともあって低ひくい水準すいじゅんとなり、おととしは6人にん、去年きょねんも6人にんでした。

ことしは5月つきの時点じてんですでに上回うわまわっています。

「インドから帰国きこくした人ひとをきっかけに3次じ感染かんせんまで起おきていて、さらに感染かんせんが広ひろがるのか、収束しゅうそくするのか、注視ちゅうしする必要ひつようがある」

「同おなじ場所ばしょに数すう分間ふんかん、短みじかい時間じかん一緒いっしょにいるだけで感染かんせんしてしまう可能かのう性せいがある。それほど感染かんせん力りょくが強つよい病気びょうきだ」

中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅによりますと、熱ねつは2日にちほどでいったん下さがったあと再ふたたび上あがるのが特徴とくちょうで、40度ど近ちかくまで上あがり、発熱はつねつは1週間しゅうかんほど続つづくということです。

また、発疹はっしんは症状しょうじょうが出で始はじめてから数すう日にちたたないと出でないため、最初さいしょのうちは、はしかと判断はんだんしにくいこともあるということです。

さらに、感染かんせんによる合併症がっぺいしょうとして肺炎はいえんや脳炎のうえんが引き起ひきおこされ、重症じゅうしょう化かするケースもあります。

特とくに脳炎のうえんについては、およそ1000人にんに1人にんの割合わりあいで起おき、中なかには亡なくなるケースもあります。

アメリカのCDC＝疾病しっぺい対策たいさくセンターによりますと、はしかに感染かんせんした子こども1000人にん中ちゅう、1人にんから3人にんは、呼吸こきゅう器きや神経しんけい系けいの合併症がっぺいしょうで亡なくなるとしています。

2007年ねんには、日本にっぽん国内こくないでワクチンを接種せっしゅしていない0歳さいから1歳さいの子こどものほか、1回かいしか接種せっしゅしていない10代だいや20代だいを中心ちゅうしんに感染かんせんが広ひろがりました。

また、中高年ちゅうこうねんでも、感染かんせんを経験けいけんしておらず、ワクチンを接種せっしゅしていないか1回かいしか接種せっしゅしていない人ひとでは、感染かんせんした場合ばあいは命いのちにかかわることもあるとして、専門せんもん家かは注意ちゅういを呼よびかけています。

中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅは「はしかの最もっとも重おも篤あつな合併症がっぺいしょうは脳炎のうえんで、熱ねつが出でて発疹はっしんも出でているときに、トロトロとして呼よびかけても反応はんのうしないような状況じょうきょうが続つづくのが初期しょき症状しょうじょうだ。はしかは昔むかしから『命取いのちとりの病気びょうき』と言いわれる。特効薬とっこうやくもなく、侮あなどってはいけない病気びょうきだと認識にんしきしてほしい」と話はなしています。

そして、感染かんせんが疑うたがわれる場合ばあいは医療いりょう機関きかんに連絡れんらくしたうえで受診じゅしんしてほしいと呼よびかけています。

妊婦にんぷがはしかに感染かんせんすると、合併症がっぺいしょうのリスクが高たかいとされ、流産りゅうざんや早産そうざんの可能かのう性せいも指摘してきされています。

また、感染かんせんを防ふせぐためのワクチンは、ウイルスの毒性どくせいを弱よわめた「生なまワクチン」で、妊娠にんしんしている場合ばあいは接種せっしゅを受うけることが適当てきとうではないとされています。

はしかを防ふせぐためには、あらかじめワクチンを接種せっしゅしておくことが大切たいせつです。

ただ、妊娠にんしんしていることに気付きづかずにワクチンを接種せっしゅしてしまっても、リスクは低ひくいとされています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは新型しんがたコロナの影響えいきょうで医療いりょう機関きかんや保健所ほけんじょがひっ迫ひっぱくしたことや、医療いりょう機関きかんの受診じゅしんを控ひかえるなどして接種せっしゅを受うけられなかった人ひとがいたとみられるとしています。

このため厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、新型しんがたコロナの影響えいきょうで定期ていき接種せっしゅの期間きかん中ちゅうに接種せっしゅできなかった場合ばあいには期間きかん外がいでも定期ていき接種せっしゅと同様どうように扱あつかうことができるよう運用うんようしていて、定期ていき接種せっしゅの対象たいしょう者しゃとあわせて接種せっしゅを呼よびかけるよう自治体じちたいに求もとめています。

接種せっしゅ率りつが数すうポイント下さがったことについて、専門せんもん家かは懸念けねんを抱だいています。

神奈川かながわ県けん衛生えいせい研究所けんきゅうじょ 多屋たや所長しょちょう

「1歳さいの時点じてんでワクチンを受うけそびれると、次つぎは小学校しょうがっこうの入学にゅうがく前まえまで接種せっしゅの機会きかいがない。この接種せっしゅ率りつが続つづくと、毎年まいとし5万まん人にん程度ていどの子こどもたちが、はしかのワクチンを受うけていないということになり、社会しゃかい全体ぜんたいに大おおきなインパクトを与あたえる危機きき的てきな状況じょうきょうだ。感染かんせんが拡大かくだいするとワクチンが不足ふそくする事態じたいも考かんがえられるので、今いまのうちに接種せっしゅを受うけてほしい」

また、子こどもの頃ころなどに、はしかに感染かんせんした場合ばあいには、抗体こうたいがある可能かのう性せいもあります。

かかりつけのクリニックや、近所きんじょの内科ないかなどで「はしかの抗体こうたいがあるか調しらべたい」と伝つたえて受診じゅしんすれば調しらべることができます。

結果けっかが判明はんめいするまでに1週間しゅうかんほどかかり費用ひようも数すう千せん円えん必要ひつようですが、確実かくじつとされています。

専門せんもん家かは「ワクチンの接種せっしゅ歴れきが分わからないのであれば、いますぐにでも検査けんさを受うけてほしい」と強調きょうちょうしています。

また、はしかの抗体こうたいと同時どうじに、風疹ふうしんやおたふくかぜ、水みずぼうそうの抗体こうたいも調しらべることをすすめています。

そして、抗体こうたいが十分じゅうぶんでなかった場合ばあいは、成人せいじんであってもワクチンを接種せっしゅするようすすめています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、はしかにかかったことがなく2回かいの接種せっしゅを受うける機会きかいがなかった人ひとのうち、特とくに、医療いりょう関係かんけい者しゃや児童じどう福祉ふくし施設しせつの職員しょくいん、学校がっこうの職員しょくいんなど、はしかにかかるリスクが高たかい人ひとや、かかることで周まわりへの影響えいきょうが大おおきい人ひと、それに流行りゅうこう国こくに渡航とこうする予定よていがある人ひとには、かかりつけ医いに相談そうだんするなどして接種せっしゅを検討けんとうしてほしいとしています。

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょも、はしかの予防よぼうにはワクチン接種せっしゅが最もっとも有効ゆうこうだとして、観光かんこう客きゃくと接せっする機会きかいの多おおい人ひとや、医療いりょう関係かんけい者しゃ、はしかの流行りゅうこうしている海外かいがいへ出でかける予定よていのある人ひとなどに、ワクチンの接種せっしゅ歴れきを確認かくにんしてほしいと呼よびかけています。

「はしかはどこで誰だれが感染かんせんするか分わからない。治療ちりょう法ほうがなく命いのちに関かかわる可能かのう性せいもあり、ワクチンで予防よぼうすることの重要じゅうよう性せいはかなり高たかい。はしかに感染かんせんすることを考かんがえればワクチンの副ふく反応はんのうは重おもくなく、てんびんにかけるとメリットはかなり高たかいと思おもう。はしかの患者かんじゃ数すうは減へってきて自然しぜん感染かんせんしてしまうという恐怖きょうふが薄うすらいできているが、はしかの恐おそろしさを再さい認識にんしきしてほしい」