ＴＰＰ新しん協定きょうていを公表こうひょう 米べい離脱りだつで２に０ぜろ項目こうもくの凍結とうけつなど明記めいき

それによりますと、焦点しょうてんとなっていたアメリカの離脱りだつを受うけて実施じっしを先送さきおくりする「凍結とうけつ」項目こうもくは合あわせて２に０ぜろで、医薬品いやくひんの開発かいはつデータの保護ほご期間きかんや著作ちょさく権けんの保護ほご期間きかんなど「知的ちてき財産ざいさん」に関にかんする項目こうもくが多おおく含ふくまれています。

また、海外かいがいに進出しんしゅつした企業きぎょうがその国くにの急きゅうな制度せいどの変更へんこうなどによって損害そんがいを受うけた場合ばあい、国くにを相手取あいてどり国際こくさい的てきな仲裁ちゅうさい機関きかんに訴訟そしょうを起おこすことができる「ＩＳＤＳ条項じょうこう」と呼よばれる制度せいどなども凍結とうけつの対象たいしょうとなりました。日本にっぽん政府せいふの関係かんけい者しゃは「こうした項目こうもくが凍結とうけつされることによる日本にっぽんへの影響えいきょうは極きわめて限定げんてい的てきだ」と述のべました。

１いち１いちか国かこくは、将来しょうらい的てきにアメリカが復帰ふっきした際さいには、凍結とうけつを解除かいじょすることで一致いっちしており、協定きょうていには、アメリカの復帰ふっきが見込みこまれる場合ばあいやいずれかの締約ていやく国こくの要請ようせいがある場合ばあいなどに、内容ないようの見直みなおしを行おこなうことも明記めいきされました。

また、協定きょうていの発効はっこう条件じょうけんは参加さんか国こくの半数はんすう以上いじょうに当にあたる６ろくか国かこくが国内こくない手続てつづきを終おえることとしているほか、名称めいしょうをＴＰＰから「ＣＰＴＰＰ」にするとしています。

共同きょうどう記者きしゃ会見かいけんで茂木もぎ大臣だいじんは、「極きわめて短たん期間きかんで高たかい水準すいじゅんを維持いじしたバランスの取とれた内容ないようになった。アメリカやほかのアジア・太平洋たいへいよう諸国しょこく、地域ちいきに対にたいしても積極せっきょく的てきなメッセージとなったのではないか」と述のべ、意義いぎを強調きょうちょうしました。

今回こんかいの閣僚かくりょう会合かいごうでは、いったん大筋おおすじ合意ごういが確認かくにんされたものの、その後そのごカナダが異論いろんを唱となえ、予定よていされていた首脳しゅのう会合かいごうが開催かいさいできない事態じたいとなり、１いち１いちか国かこくが足並あしなみをそろえて協定きょうていを発効はっこうに導みちびけるのか不安ふあんも残のこす結果けっかとなりました。

共同きょうどう議長ぎちょう「各国かっこくの利益りえき保たもてる合意ごうい」

ＴＰＰ＝環太平洋かんたいへいようパートナーシップ協定きょうていの参加さんか１いち１いちか国かこくが協定きょうていの発効はっこうで大筋おおすじ合意ごういに達たっしたことを受うけて、共同きょうどう議長ぎちょうとして茂木もぎ経済けいざい再生さいせい担当たんとう大臣だいじんとともに会見かいけんに臨のぞんだベトナムのアイン商工しょうこう相しょうは、「高たかい自由じゆう化かの水準すいじゅんを維持いじしながら、各国かっこくの利益りえきを保たもてる合意ごういとなった。自由じゆう貿易ぼうえきを促進そくしんし、地域ちいきにおける経済けいざい協力きょうりょくを高たかめる内容ないようだ」と述のべ、大筋おおすじ合意ごういの内容ないようを評価ひょうかしました。

そのうえで、アイン商工しょうこう相しょうは「アメリカが離脱りだつしたときは、ＴＰＰの枠組わくぐみを維持いじすることは難むずかしいと考かんがえられていた。まだ完全かんぜんに合意ごういできていない点てんも残のこっているが、難むずかしい部分ぶぶんはもう終おわり、確実かくじつに新あたらしい協定きょうていの実現じつげんに近ちかづいている」と述のべました。

経団連けいだんれん会長かいちょう「戦略せんりゃく的てきな意義いぎ大おおきい」

経団連けいだんれんのサカキ原げん会長かいちょうは「アメリカが離脱りだつを表明ひょうめいして以来いらい、日本にっぽん政府せいふが発揮はっきしてきたリーダーシップのたまものであり、心こころから歓迎かんげいする。内うち向むき志向しこうの政策せいさくや保護ほご主義しゅぎ的てきな動うごきが世界せかい的てきに広ひろまることが懸念けねんされる中なかで、アジア太平洋たいへいよう地域ちいきにまたがる包括ほうかつ的てきで高こう水準すいじゅんの貿易ぼうえき投資とうしに関にかんするルール作づくりが前進ぜんしんすることの戦略せんりゃく的てきな意義いぎは大おおきい」というコメントを出だしました。

（※木きへんに神かみ）　

専門せんもん家か「輸出ゆしゅつ拡大かくだいや関係かんけい強化きょうかに効果こうか」

シンガポールのシンクタンク、「ＲＳＩＳ」のフィデル・ビネレスシニアアナリストは、シンガポールやベトナムなどＴＰＰに参加さんかするＡＳＥＡＮあせあん＝東南アジアとうなんあじあ諸国しょこく連合れんごうの国々くにぐにへの影響えいきょうについて、「アメリカ市場しじょうへのアクセスはないが、高たかいレベルでの自由じゆう貿易ぼうえきの枠組わくぐみで合意ごういできたため、日本にっぽんをはじめとする参加さんか国こくへの輸出ゆしゅつ拡大かくだいや関係かんけい強化きょうかに効果こうかがある」と話はなしています。

また、ＴＰＰから離脱りだつしたアメリカについては「ＡＳＥＡＮあせあんにおける政治せいじ的てき、経済けいざい的てきな影響えいきょう力りょくが低下ていかするおそれがある。多国たこく間かんの枠組わくぐみ作づくりは、日本にっぽんや、ＲＣＥＰ＝東アジアひがしあじあ地域ちいき包括ほうかつ的てき経済けいざい連携れんけいに参加さんかする中国ちゅうごくがリードしている状況じょうきょうだ。ＡＳＥＡＮあせあんはアメリカ以外いがいの市場しじょうに活路かつろを見みいだそうとするため、中国ちゅうごくはＲＣＥＰを通をつうじてさらなる影響えいきょう力りょくをもてるようになる」と分析ぶんせきしています。