9年ねん前まえの袴田はかまだ巌いわおさん再審さいしん決定けってい後ご 当時とうじの地裁ちさい裁判さいばん長ちょうが異例いれいの意見いけん書しょ

9年ねん前まえに再審さいしんを認みとめる決定けっていを出だした静岡しずおか地方ちほう裁判所さいばんしょの元もと裁判さいばん長ちょうが、当時とうじ、審理しんりの長期ちょうき化かを避さけるため検察けんさつの不服ふふく申し立もうしたてに対にたいして反論はんろんする異例いれいの意見いけん書しょを提出ていしゅつしていたことがわかりました。この元もと裁判さいばん長ちょうが今回こんかい、NHKのインタビューに応おうじ、結果けっかとして再審さいしんが始はじまるまでに長ながい時間じかんがかかったことについて「袴田はかまださんや姉あねのひで子ひでこさんに申し訳もうしわけない」と胸むねの内うちを明あかしました。

袴田はかまだ巌いわおさん（87）は、57年ねん前まえの1966年ねんに今いまの静岡しずおか市し清水しみず区くで一家いっか4人にんが殺害さつがいされた事件じけんで死刑しけいが確定かくていしましたが、無実むじつを訴うったえて裁判さいばんのやり直やりなおしを求もとめ、今月こんげつ27日にちに再審さいしんの初はつ公判こうはんが開ひらかれました。

再審さいしんを最初さいしょに申し立もうしたててから実際じっさいに始はじまるまで40年ねん以上いじょうかかっていて、この間このかん、9年ねん前まえの2014年ねんに静岡しずおか地裁ちさいが一いち度ど、再審さいしん開始かいし決定けっていを出だしました。

しかし、検察けんさつが不服ふふくを申し立もうしたて、決定けっていは東京とうきょう高裁こうさいで取り消とりけされ、ことし3月つきに再ふたたび再審さいしんが認みとめられるという経緯けいいをたどっています。

こうした経緯けいいの中なかで、9年ねん前まえに再審さいしん開始かいし決定けっていを出だし、袴田はかまださんの釈放しゃくほうも認みとめた静岡しずおか地裁ちさいの村山むらやま浩昭ひろあき 元もと裁判さいばん長ちょうが当時とうじ、審理しんりの長期ちょうき化かを避さけるため検察けんさつの不服ふふく申し立もうしたてに対にたいして具体ぐたい的てきな理由りゆうを述のべて反論はんろんする異例いれいの意見いけん書しょを東京とうきょう高裁こうさいに提出ていしゅつしていたことが、新あらたにわかりました。

NHKが入手にゅうしゅした文書ぶんしょには「検察官けんさつかんは新あたらしい主張しゅちょうをしているわけではなく、すでに検討けんとう済ずみの事柄ことがらばかりであり、何なんら有効ゆうこうな反論はんろんになっていない」などと、不服ふふくの申し立もうしたてには理由りゆうがないとする主張しゅちょうが強つよい表現ひょうげんで書かかれています。

今回こんかい、村山むらやま元もと裁判さいばん長ちょうがテレビカメラの前まえで初はじめてインタビューに応おうじ、この意見いけん書しょについて袴田はかまださんのために再審さいしんを早はやく始はじめてほしいという思おもいがあったとして「高裁こうさいへの最後さいごの意見いけん表明ひょうめいとして、言いうべきことは言いっておきたかった」と当時とうじの心境しんきょうを語かたりました。

その後そのご、東京とうきょう高裁こうさいで再審さいしん開始かいし決定けっていが覆くつがえされたことについては「どうして取り消とりけされないように決定けっていを書かけなかったのかと後悔こうかいしている。結果けっかとして再審さいしん開始かいしが遠とおのいたことについては大変たいへん残念ざんねんであると同時どうじに、袴田はかまださんやひで子ひでこさんに申し訳もうしわけないという気持きもちだ」と胸むねの内うちを明あかしました。

今月こんげつ27日にちの初はつ公判こうはんで、出廷しゅっていが免除めんじょされた袴田はかまださんに代かわって法廷ほうていに立たったひで子ひでこさんは「巌いわおに真しんの自由じゆうを与あたえてくださいますようお願おねがい申し上もうしあげます」と訴うったえ、一方いっぽう、検察けんさつは改あらためて有罪ゆうざいを求もとめる立証りっしょうをしました。

村山むらやま元もと裁判さいばん長ちょうは87歳さいの袴田はかまださんが今いまも死刑しけい囚しゅうとして生活せいかつしていることをふまえ「決定けっていが取り消とりけされてからの9年間ねんかんは無駄むだだったのではないか。この間このかんに再審さいしんを開ひらくことができていれば、袴田はかまださんはすでに無罪むざいになって日常にちじょうを過すごせたのではないかと思おもう。ひで子ひでこさんが願ねがうように、巌いわおさんが死刑しけいから解き放ときはなたれて本当ほんとうに自由じゆうの身みになる日ひが早はやく来きてほしい」と話はなしていました。