日本一が決まると、大阪・ミナミの道頓堀には多くの人が集まることが予想されます。
人が密集すれば、去年、韓国・ソウルで起きたような群集事故につながるおそれもあるとして、専門家が注意を呼びかけています。
道頓堀 阪神リーグ優勝の際にも大勢の人が
大阪・ミナミの道頓堀には、大きなイベントなどがあると大勢の人が集まります。
ことし9月に阪神がリーグ優勝した際も、集まったファンがバンザイをしたり「六甲おろし」を合唱したりして優勝を祝い、中には道頓堀川に飛び込む人もいました。
「群集事故」に巻き込まれないために
群集の行動や事故に詳しい大阪工業大学の吉村英祐 特任教授は、身動きがとれないほどに人が密集すると、「群集事故」が起きるおそれがあると指摘します。
去年10月には、韓国・ソウルの繁華街イテウォンで、ハロウィーンを前に仮装した若者などが密集し、日本人2人を含む150人以上が亡くなりました。
こうした事故を防ぐにはどうしたらいいのか、聞きました。
Q:私たちはどんなことに注意すればいいのでしょうか?
大阪工業大 吉村特任教授
「人が密集している場所では、足元に物が落ちていても見えにくいため転倒しやすく、1人でもつまずくと大きな事故につながるリスクがあります。特にお年寄りや背が低い人、それに子どもを肩車している人は危険なので、近づかない方が賢明です。危険を感じたらその場から引き返すことも考えてほしい」
Q:危険性を判断する目安は?
「1平方メートルあたり5~6人を超えると、引き返そうと思っても後ろから押されるなどして引き返せなくなります。目安は、エレベーターの中に例えると、定員オーバーのブザーが鳴りそうかどうか。鳴りそうだと感じるような場所は避けるようにしてください」
“以前よりも人が集まりやすい”
また、吉村さんは、次の3つの要因で以前よりも道頓堀に人が集まりやすい状況になっているとして、注意を呼びかけています。
(1)スマホとSNSの普及
「ガラケー」が主流だった当時よりも動画や写真を簡単に撮影できるようになった上、SNSで拡散することで注目を集めやすくなっている
(2)インバウンドの観光客が増加
これまでの状況を知らずに訪れる海外の観光客が増えることが予想される
(3)道頓堀の遊歩道の整備
川沿いの遊歩道が以前よりも整備され、橋だけでなく、近くの店舗からも直接、川に近づけるようになった
59年ぶりの“関西対決”が後味の悪いものにならないよう、みんなでルールを守って行動したいですね。