米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は10日、自動運転の「ロボタクシー」開発から撤退すると発表した。今後はドライバーが車を制御する運転支援機能の開発に力を入れる。
GMはロボタクシーから撤退する理由について、「事業規模を拡大するには相当の時間とリソースが必要とされる。ロボタクシー市場の競争も激化している」と説明した。
ロボタクシー事業はGMが90%を保有するクルーズ社が手がけていた。自動運転技術を担当していた同社の従業員はGMに移籍して、自家用車向けの「スーパークルーズ」のような運転支援機能開発などを担う。これによって年間10億ドル(約1500億円)のコスト削減を見込む。
GMは今後、完全自動運転車よりも運転支援機能に重点を置く意向。ロボタクシー開発を続けた場合、さらに100億ドル以上が必要になると言い添えた。
ロボタクシー市場には、ウーバーと組んだグーグル傘下のウェイモなどが参入。配車サービスや人が運転するタクシーサービスとの競争も激化している。テスラは今秋、ハンドルもブレーキもアクセルもない新しい無人運転車の計画や、テスラ車の持ち主が自分の使っていない時に車を貸し出せるロボタクシーサービスの計画を発表した。
しかしGMは、この分野での競争は採算が合わないと判断した。メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は10日、投資家に対し、ロボタクシーサービスは中核事業ではないと判断したと述べ、自動運転技術から運転支援機能に切り替えることは、車の買い手に提供する製品の役に立つと説明した。