▽オリンピック・パラリンピックの日本人選手などの活躍による、光をあらわす「金(キン)」と
▽政治の裏金問題などの影をあらわす「金(かね)」の2つの意味を示しているということです。
「今年の漢字」は、京都市に本部がある「日本漢字能力検定協会」がその年の世相を表す漢字ひと文字を一般から募集し、最も多かった字が選ばれます。
1995年から行われていて30回目となることしは、11月1日から12月9日までに寄せられた22万1900通あまりの応募の中から最も多いおよそ1万2100票を集めた「金」の文字が選ばれました。
京都市東山区にある清水寺では、午後2時すぎ、森清範 貫主が大きな和紙に「金」の字を一気に書き上げました。
「金」が選ばれたのは、2021年以来、5回目です。
協会では、「金」の字が選ばれた理由として
▽パリオリンピックやパラリンピックに出場したアスリートが数多くの金メダルを獲得したほか、大谷翔平選手が3回目のMVPを獲得するなど値千「金」の活躍だったほか、「佐渡島の金山」が世界文化遺産に登録されたことなど、光をあらわす「金(キン)」と、
▽政治の裏金問題や金目当ての闇バイト強盗事件、止まらない物価高騰など、影をあらわす「金(かね)」の2つの意味を示しているということです。
【ノーカット動画】発表のようす
他の候補は…
ことしは1位の「金」(キン・かね)に関連する文字が多くあった一方、元日に起きた能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報が発表されたことなどから「災害」に関連する文字も上位に入っています。
「日本漢字能力検定協会」によりますと、1位の「金」に関連して、12位に(やみ)、13位に(こう)、14位に(うら)、15位に(せい)が入っています。
2位は(さい)で、元日の能登半島地震やその翌日の航空機事故など、「災」(わざわい)とともに始まった1年だったことをあげていて、1位の「金」との差は、2300票あまりでした。
さらに4位には(しん)が入り、能登半島地震のほか、南海トラフ地震臨時情報が発表されたことを理由にあげています。
3位は(しょう)でした。大谷翔平選手の活躍に多くの国民が勇気を与えられたとしています。
5位には(しん)が入り20年ぶりに新紙幣が発行されたことや、新しい総理大臣が就任したことなどが印象に残る出来事だったとしています。
6位は衆議院選挙やアメリカ大統領選を受けて(せん)でした。
トップ20
1位「金」12148票
2位「災」 9772票
3位「翔」 7487票
4位「震」 7427票
5位「新」 6545票
6位「選」 6071票
7位「変」 6027票
8位「暑」 5674票
9位「楽」 4562票
10位「米」 4335票
11位「大」 4048票
12位「闇」 3939票
13位「高」 3690票
14位「裏」 2905票
15位「政」 2623票
16位「幸」 2224票
17位「和」 1799票
18位「税」 1785票
19位「愛」 1762票
20位「戦」 1666票
筆を執った森清範 貫主「皆さんの思いが集中」
筆を執った清水寺の森清範 貫主は「金」(キン・かね)が選ばれたことについて「国民の皆さんの思いがこれに集中していると思う。一番には、パリオリンピックにおいて大変活躍された選手への思いが大きく、それから政治、あるいは社会での『金』(かね)に集中したのではないか」と述べました。
その上で「日本の情勢や世界の世相を考えて、『和』という字が書けるような社会になってほしい。社会も人も調和することが望まれているのではないか」と話していました。
大阪の商店街では
「今年の漢字」に「金」(キン・かね)が選ばれたことについて、大阪市内の商店街ではさまざまな声が聞かれました。
買い物に来ていた男性は「ことしはオリンピックの金メダルがあったので、暗いニュースも多い中で、明るい話題になっていいと思います」と話していました。
また、別の男性は、「政治とカネというか、『裏金』が大きな話題になったので、納得できます」と話していました。
一方、商店街を訪れた女性は「自分の商売の景気は悪くなかったですが、『金』(きん)がすごく高騰したのに、その前に売ってしまったので儲からなかくて残念です」と話していました。
飲食店の従業員の男性は、2位以降の漢字の中から印象に残った漢字に「災(さい)」を選び、「ウクライナの戦争やイスラエル情勢があり、ショックでした」と話しました。
また、19歳の男性は「選(せん)」を選び、「ことしから選挙に行けるようになって、初めて投票したので楽しい1年でした」と振り返りました。
このほか、阪神タイガースのファンの男性は「金はあまりピンとこない。ことしの漢字は『大山』(おおやま)です。阪神の大山選手が残留することになったので」とうれしそうに話していました。
「今年の漢字」とは
「今年の漢字」は、京都市に本部がある「日本漢字能力検定協会」が1995年に始めました。
その年の世相を表す漢字ひと文字を全国から募集し、最も多かったものを「今年の漢字」として、毎年12月12日前後に京都市東山区の清水寺で発表しています。
大きな和紙に一気に書き上げる様子は師走の風物詩になっているほか、その年を振り返るきっかけのイベントとして注目を集めています。
歴代の「ひと文字」は?
に選ばれたのは「震」でした。
この年には阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件などが起きました。
は「災」。
台風や地震、豪雨などの天災やイラクでの人質事件も起きました。
は「新」でした。
政権が交代し、新内閣が発足。
イチロー選手が大リーグ新記録を達成し、また裁判員制度など新たな制度が始まった年でした。
は「税」でした。
この年、消費税率が17年ぶりに引き上げられました。
は「令」。
元号が「平成」から「令和」となりました。
は「密」。
新型コロナが流行し、感染防止のため「3密」を避けるよう呼びかけられました。
は「金」。
57年ぶりに日本で開催された東京オリンピック・パラリンピックで日本選手が多くの金メダルを獲得しました。
そして、は「戦」。
現在も続くロシアによるウクライナ侵攻が始まった年でした。
は「税」。
2014年に選ばれて以来2回目でした。
1年を通して増税の議論が行われたほか、インボイス制度の導入などさまざまな制度改正や検討が行われました。