アルファベットのタイルを縦か横に並べて単語を作り、得点を競うゲーム「スクラブル」。先月開催されたスペイン語のスクラブル大会で優勝したのは、スペイン語が話せないというニュージーランドの男性だった。
ナイジェル・リチャーズ氏は50代のニュージーランド人。スペイン南部グラナダで開かれた今年の大会で、同国やアルゼンチン、ベネズエラ、コロンビアなどからの参加者を相手に22連勝し、優勝を果たした。
リチャーズ氏は「スクラブル界のタイガー・ウッズ」とも呼ばれ、これまでに世界選手権を含む200近い大会を制覇。世界英語スクラブル選手協会のランキングでトップに立っている。
その才能は母国語の英語だけにとどまらず、2015年にはフランス語の大会で優勝。フランス語は「ボンジュール」くらいしか知らないと報じられ、話題になった。
友人として長年、リチャーズ氏を支えてきたリズ・ファーガーランド氏が当時CNNとのインタビューで語ったところによると、同氏はフランス語のスクラブル辞典に載っていた40万近い単語を、9週間で暗記した。単語が並ぶページを見て、丸ごと記憶する能力があるという。
本人がインタビューに応じることはめったにない。一人でいることを好み、自転車が趣味で、喫煙も飲酒もせず、テレビを見たりラジオを聞いたりすることもないとされる。
スペインの大会で2位になったベンジャミン・オライソラ氏は「信じがたいほど屈辱的」な敗北だと語り、リチャーズ氏を「非常に特殊な能力」がある「天才」と評した。難解な単語を使って対戦相手の意表を突く傾向があるとも指摘した。