気象庁の観測によりますと26日午前9時、フィリピンで熱帯低気圧が台風1号に変わりました。
中心の気圧は1002ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は18メートル、最大瞬間風速は25メートルで中心から半径110キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いています。
台風はゆっくりとした速さで北へ進んでいて、今後、暴風域を伴いながら北東に進む見込みです。
気象庁は、今後の進路に注意するよう呼びかけています。
ことしは台風の発生が遅く、気象庁が統計を取り始めた1951年以降では7番目の遅さです。
【動画】気象予報士解説
今後の見通しについて、船木正人 気象予報士の解説です。
※26日正午前の気象情報で放送しました。
データ放送では動画はご覧になれません。
なぜことしは発生が遅い?
気象庁によりますと、ことしの台風1号の発生は統計を取り始めた1951年以降7番目の遅さです。
発生が遅れたのは、熱帯の積乱雲の活動が大きく関係しています。
台風が発生するのは日本のはるか南の、太平洋西部の熱帯域です。
例年、この時期は低気圧に覆われて雨雲が次々とわき、熱帯低気圧を経て台風になりますが、ことしは雨雲ができにくくなっているということです。
その原因が両側の海域の気候です。
東側の太平洋中部から東部にかけてと西側のインド洋では、去年から海面水温が高い状態が続いています。
このうち太平洋中部から東部の海面水温が高くなる現象は「エルニーニョ現象」と呼ばれています。
水温が高い2つの海域では海水の蒸発が盛んで、上空で雨雲を発生させたあと乾いた空気となって太平洋西部の上空に流れ込み積乱雲の活動が抑えられます。
このため太平洋西部では雨雲ができにくい状況が続きました。
一方、台風の発生が遅れていても数が減るとは限りません。
気象庁は太平洋中部から東部の海域で続いていた「エルニーニョ現象」が終息に向かい「ラニーニャ現象」が起きる可能性があるとしています。
「ラニーニャ現象」が起きると海面水温が低くなるため、太平洋西部では逆に海面水温が高くなり、一転して台風が発生しやすくなる可能性があるといことです。
気象庁は「一般的に台風シーズンと呼ばれる時期は夏の後半から秋にかけてなのでいま台風の数が少ないからといって安心できる状況ではない。ことしの夏は梅雨前線に流れ込む湿った空気が例年より多くなるとも予想されているため、早め早めの備えを心がけてほしい」と話しています。