住宅じゅうたくやビル建築けんちくに“遠隔えんかく検査けんさ”普及ふきゅうへ 国交こっこう省しょうが新あらたな指針ししん

住宅じゅうたくやビルを建築けんちくする際さいには、安全あんぜん性せいに関にかんして専門せんもん機関きかんなどの検査けんさを受うけることが義務ぎむづけられていて、現在げんざいは、建設けんせつ会社かいしゃの設計せっけい担当たんとうの社員しゃいんなどが現地げんちに出向でむいて検査けんさを受うけています。

これについて国土こくど交通こうつう省しょうは、4月つきに、デジタル技術でじたるぎじゅつを活用かつようして遠隔えんかくで行おこなう方法ほうほうを普及ふきゅうさせようと、遠隔えんかくでの検査けんさに関にかんする考え方かんがえかたをまとめた新あらたな指針ししんを作成さくせいしました。

それによりますと、検査けんさ機関きかんの担当たんとう者しゃが最低さいてい1人にん、現場げんばにいる必要ひつようがありますが、ほかの検査けんさ担当たんとう者しゃや建設けんせつ会社かいしゃの社員しゃいんは、それぞれのオフィスからオンラインの会議かいぎシステムなどで参加さんかすることができます。

そして、現場げんばから送おくられて来くる映像えいぞうを見みながら、検査けんさに必要ひつようなやりとりを行おこなうことができるとしています。

建設けんせつ業界ぎょうかいでは、4月つきから新あらたな時間じかん外がい労働ろうどうの上限じょうげん規制きせいが適用てきようされ、人手ひとで不足ふそくの懸念けねんが強つよまっていますが、国土こくど交通こうつう省しょうは、指針ししんを示しめすことで遠隔えんかくでの検査けんさを普及ふきゅうさせ、社員しゃいんの移動いどう時間じかんの短縮たんしゅくなどを通をつうじて働はたらき方かた改革かいかくを進すすめたい考かんがえです。

建設けんせつ会社かいしゃ 仮想かそう空間くうかん「メタバース」を活用かつようした検査けんさの開発かいはつも

遠隔えんかく検査けんさの導入どうにゅうによって、建設けんせつ会社かいしゃも働はたらき方かた改革かいかくにつながると期待きたいしています。

大手おおてゼネコンの清水しみず建設けんせつでは、例たとえば、埼玉さいたま県けんに地上ちじょう7階かい建だてのビルを建設けんせつする場合ばあい、検査けんさのために設計せっけい担当たんとうの社員しゃいん5人にんが、東京とうきょう都内とないの本社ほんしゃから片道かたみち1時間じかんをかけて現場げんばに出向でむく必要ひつようがありました。

しかし、遠隔えんかく検査けんさが導入どうにゅうされれば、1人にんあたり年間ねんかん60時間じかん近ちかく移動いどう時間じかんを減へらせると見込みこんでいます。

さらに、この会社かいしゃでは、遠隔えんかく検査けんさの精度せいどをさらに向上こうじょうさせようと開発かいはつを進すすめています。

それが、仮想かそう空間くうかん「メタバース」を活用かつようした検査けんさです。

現地げんちでカメラやスキャナーを使つかって、検査けんさ対象たいしょうの建物たてものの3Dデータを取得しゅとくしてメタバース空間くうかんに再現さいげんします。

オフィスなどで特殊とくしゅなゴーグルを掛かけると、建物たてものの中なかに実際じっさいにいるかのような状態じょうたいとなり、メタバース空間くうかん上じょうで、もともとの設計せっけい図ずのデジタルデータと照合しょうごうすることで、ずれなどを発見はっけんしやすくなるということです。

さらに、メタバース空間くうかんでは、高たかいところからふかんした視点してんでの検査けんさも可能かのうで、現地げんちでは確認かくにんが難むずかしい部分ぶぶんも、より正確せいかくに検査けんさできるということです。

清水しみず建設けんせつデジタルデザインセンターの宮本みやもと敬たかし行ゆき設計せっけい長ちょうは「メタバースを利用りようすれば、時間じかんや場所ばしょを選えらばず、そのあとも繰り返くりかえしチェックすることができ、建物たてものの品質ひんしつも上あがるのではないか。検査けんさの遠隔えんかく化かを進すすめることによって、建設けんせつ業ぎょうの時間じかん外がい労働ろうどうの規制きせいを無理むりなくクリアできるようにしていきたい」と話はなしていました。