《調査ちょうさ概要がいよう》

NHKは、先月せんげつ5日にちから3日間にちかん、全国ぜんこくの18歳さい以上いじょうを対象たいしょうにコンピューターで無む作為さくいに発生はっせいさせた固定こてい電話でんわと携帯けいたい電話でんわの番号ばんごうに電話でんわをかけるRDDという方法ほうほうで世論せろん調査ちょうさを行おこないました。

調査ちょうさの対象たいしょうになったのは、3129人にんで、49％にあたる1534人にんから回答かいとうを得えました。

《憲法けんぽう改正かいせいの必要ひつよう性せい》

今いまの憲法けんぽうを改正かいせいする必要ひつようがあると思おもうかどうか聞きいたところ、「改正かいせいする必要ひつようがあると思おもう」が36％、「改正かいせいする必要ひつようはないと思おもう」が19％、「どちらともいえない」が41％で、去年きょねんの同おなじ時期じきに行いった調査ちょうさとほぼ同おなじ割合わりあいとなりました。

（2023年ねん調査ちょうさ:必要ひつようある35％、必要ひつようない19％、どちらともいえない42％）

《“改正かいせいが必要ひつよう”の理由りゆう》

「改正かいせいする必要ひつようがあると思おもう」と答こたえた人ひとに理由りゆうを聞きいたところ、「日本にっぽんを取とりまく安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょうの変化へんかに対応たいおうするため必要ひつようだから」が47％と最もっとも多おおく、「国くにの自衛じえい権けんや自衛隊じえいたいの存在そんざいを明確めいかくにすべきだから」が22％、「プライバシーの権利けんりや環境かんきょう権けんなど、新あらたな権利けんりを盛り込もりこむべきだから」が15％、「アメリカに押おしつけられた憲法けんぽうだから」が7％でした。

《“改正かいせいは必要ひつようない”の理由りゆう》

憲法けんぽうを「改正かいせいする必要ひつようはないと思おもう」と答こたえた人ひとに理由りゆうを聞きいたところ、「戦争せんそうの放棄ほうきを定さだめた憲法けんぽう9条じょうを守まもりたいから」が65％と最もっとも多おおく、「基本きほん的てき人権じんけんが守まもられているから」が13％、「すでに国民こくみんの中なかに定着ていちゃくしているから」が11％、「アジア各国かっこくなどとの国際こくさい関係かんけいを損そこなうから」が6％でした。

《9条じょう改正かいせいの必要ひつよう性せい》

憲法けんぽう9条じょうについて、改正かいせいする必要ひつようがあると思おもうかどうか聞きいたところ、「改正かいせいする必要ひつようがあると思おもう」が31％、「改正かいせいする必要ひつようはないと思おもう」が29％、「どちらともいえない」が35％で、去年きょねんの同おなじ時期じきに行いった調査ちょうさと比くらべて、いずれも同どう程度ていどとなりました。

（2023年ねん調査ちょうさ:必要ひつようある32％、必要ひつようない30％、どちらともいえない34％）

《9条じょう“改正かいせいが必要ひつよう”の理由りゆう》

憲法けんぽう9条じょうを「改正かいせいする必要ひつようがあると思おもう」と答こたえた人ひとに理由りゆうを聞きいたところ、「自衛じえい力りょくを持もてることを憲法けんぽうにはっきりと書かくべきだから」が60％と最もっとも多おおく、「国連こくれんを中心ちゅうしんとする軍事ぐんじ活動かつどうにも参加さんかできるようにすべきだから」が20％、「自衛隊じえいたいも含ふくめた軍事ぐんじ力りょくを放棄ほうきすることを明確めいかくにすべきだから」が8％、「海外かいがいで武力ぶりょく行使こうしができるようにすべきだから」が6％でした。

《9条じょう“改正かいせいは必要ひつようない”の理由りゆう》

憲法けんぽう9条じょうを「改正かいせいする必要ひつようはないと思おもう」と答こたえた人ひとに理由りゆうを聞きいたところ、「平和へいわ憲法けんぽうとしての最もっとも大事だいじな条文じょうぶんだから」が67％と最もっとも多おおく、「改正かいせいしなくても、憲法けんぽう解釈かいしゃくの変更へんこうで対応たいおうできるから」が13％、「海外かいがいでの武力ぶりょく行使こうしの歯止はどめがなくなるから」が11％、「アジア各国かっこくなどとの国際こくさい関係かんけいを損そこなうから」が5％でした。

《世論せろん調査ちょうさ結果けっか 専門せんもん家かはどうみたか》

【改憲かいけんに向むけ議論ぎろん進すすめるべきとの立場たちば】関学かんがく大だい 井上いのうえ武史たけし教授きょうじゅ

今いまの憲法けんぽうを改正かいせいする必要ひつようがあると思おもうかどうかの回答かいとうが去年きょねんの調査ちょうさとほぼ同おなじ割合わりあいとなったことについて、憲法けんぽう学がくが専門せんもんで、憲法けんぽう改正かいせいに向むけた議論ぎろんを進すすめるべきだという立場たちばの関西かんさい学院がくいん大学だいがくの井上いのうえ武史たけし教授きょうじゅは「最近さいきんは憲法けんぽうに関にかんする議論ぎろんが低調ていちょうで国民こくみんを巻き込まきこんだ議論ぎろんにはなっておらず、それが数字すうじにも出でているのではないか。憲法けんぽうは私わたしたちの国くにや社会しゃかいをよりよくするもので、その都度つど生いきている人ひとたちが必要ひつような改正かいせいを施ほどこすのが私わたし自身じしんは望のぞましいと考かんがえており、70年ねん以上いじょうも改革かいかくできていない憲法けんぽうが本当ほんとうに生いきた憲法けんぽうなのかというところは問とい続つづけないといけない問題もんだいだと思おもう」と指摘してきしています。

また憲法けんぽう9条じょうについて「ロシアによるウクライナ侵攻しんこう以降いこう、憲法けんぽう9条じょう改正かいせいについては若干じゃっかん関心かんしんが高たかまったと思おもうが、これまでとは異ことなり日本にっぽんが侵略しんりゃく国こくになることへの歯止はどめとしてではなく、日本にっぽんが被害ひがい者しゃにならないようにするために9条じょうを整備せいびしたほうがいいのではないかという、従来じゅうらいとは違ちがう方向ほうこうからの関心かんしんではないか」と話はなしています。

【今いまは憲法けんぽうを変かえるべきではないとの立場たちば】東大とうだい 石川いしかわ健治けんじ教授きょうじゅ

また憲法けんぽう学がくが専門せんもんで、今いまは憲法けんぽうを変かえるべきではないという立場たちばの東京とうきょう大学だいがくの石川いしかわ健治けんじ教授きょうじゅは「ウクライナ戦争せんそうの長期ちょうき化かで、おととしから続つづいた動揺どうようが収おさまってきたこともありパニックに踊おどらされず、比較的ひかくてき安定あんていした民意みんいが今回こんかいの結果けっかになっているのではないか。今いま進すすんでいる改憲かいけん論議ろんぎはとにかく一いち度ど憲法けんぽうの条文じょうぶんを変かえるという方向ほうこうだけが出でているわけで、何なにを守まもるのかという部分ぶぶんの議論ぎろんがなされないように思おもう」と指摘してきしています。

また憲法けんぽう9条じょうについて「安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょうの激変げきへんということが強調きょうちょうされているわりには、世論せろんは激変げきへんしていないところがあり、冷静れいせいさが保たもたれている。一方いっぽうですごく警戒けいかい感かんを持もち始はじめているのではないかと見みており、日にち米べい同盟どうめいが強化きょうかされ、中国ちゅうごくとの対立たいりつがあおられる状況じょうきょうになると、潜在せんざい的てきに戦争せんそうの可能かのう性せいがあっていつ火ひがつくかだけの問題もんだいになっていて、その危険きけんさに直感ちょっかん的てきに気付きづいているのではないか」と話はなしています。