スウェーデン南部マルメで11日に開催された欧州最大級の国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン」の決勝で、スイス代表の歌手ネモさんが優勝した。
ネモさんは、男女の枠に当てはまらない性自認「ノンバイナリー」の自分を受け入れるまでの心境を歌った曲「The Code」で観客を魅了した。
ユーロビジョンでノンバイナリーの歌手が優勝したのは初めて。スイス代表としては、1988年のセリーヌ・ディオン以降で初の栄冠となった。
ネモさんは受賞後、「この大会が約束通りに、平和とあらゆる人の尊厳を支持し続けるよう願っている」と語った。
今年のユーロビジョンではイスラエルの参加に抗議の声が上がり、開催地マルメでデモが展開された。主催の欧州放送連合(EBU)は同国の参加を擁護し、「非政治的」な大会だと主張した。
決勝ではイスラエル代表の歌手エデン・ゴランさんのパフォーマンに歓声が上がる一方で、ブーイングを浴びせたり、背を向けて立ち去ったりする観客もみられた。
会場の外では警官らが、パレスチナ解放や大会ボイコットを唱えるデモ集団を取り囲み、警戒態勢を敷いた。
決勝直前には、オランダ代表のヨースト・クラインさんが舞台裏でのトラブルを理由に失格となった。詳細は発表されていないが、会場のスクリーンに登場したEBU代表にはファンからブーイングが飛んだ。
アイルランド代表のバンビー・サグさんはCNNとのインタビューで、2年前のロシアのようにイスラエルを出場禁止としなかったのは「間違った判断」だと主張した。
ユーロビジョンは前年の優勝国が会場となるため、来年はスイスで開催される。