道路どうろ舗装ほそう工事こうじ 契約けいやくと異ことなり「再生さいせい骨ぼね材ざい」使用しよう 72件けん 国交こっこう省しょう調査ちょうさ

道路どうろの舗装ほそう工事こうじをめぐっては、「NIPPO」と「鹿島かしま道路どうろ」などが、国くにや自治体じちたい、高速こうそく道路どうろ会社かいしゃから受注じゅちゅうした工事こうじで、新品しんぴんのアスファルトを使つかう契約けいやくだったにもかかわらず、使用しよう済ずみのアスファルトを加工かこうした「再生さいせい骨ぼね材ざい」と呼よばれる材料ざいりょうを使用しようしていたと公表こうひょうしています。

これを受うけて国土こくど交通こうつう省しょうは6月つき、過去かこ2年ねんに国くにや高速こうそく道路どうろ会社かいしゃから一定いっていの規模きぼ以上いじょうの舗装ほそう工事こうじを受注じゅちゅうした全国ぜんこくすべての会社かいしゃに対にたいし、同様どうようの事案じあんがないか報告ほうこくするよう求もとめました。

その結果けっかがまとまり、対象たいしょうとなる1104件けんのうち72件けんの工事こうじが該当がいとうしたと、17日にちに公表こうひょうしました。

工事こうじを受注じゅちゅうした会社かいしゃは「NIPPO」と「鹿島かしま道路どうろ」以外いがいにも複数ふくすう社しゃにわたりますが、再生さいせい骨ぼね材ざいを使つかったアスファルトはほとんどが「NIPPO」の子会社こがいしゃか「鹿島かしま道路どうろ」のプラントから出荷しゅっかされていて、72件けん中ちゅう70件けんに上のぼります。

いずれも新品しんぴんのアスファルトを使つかう契約けいやくだったにもかかわらず再生さいせい骨ぼね材ざいが使つかわれ、出荷しゅっかの際さいには新品しんぴんのアスファルトとされていたということです。

ほかには、

▽日本にっぽん道路どうろが受注じゅちゅうした国道こくどうの工事こうじで、前田まえだ道路どうろのプラントが材料ざいりょうの出荷しゅっか時じに再生さいせい骨ぼね材ざいと明記めいきしていたのにそのまま施工しこうされたケースや、

▽鹿島かしま道路どうろが受注じゅちゅうした工事こうじでは、はじめから再生さいせい骨ぼね材ざいを注文ちゅうもんして使つかっていたケースもありました。

72件けんのうち大半たいはんはすでに「NIPPO」や「鹿島かしま道路どうろ」が公表こうひょうしていて、会社かいしゃはそれぞれ外部がいぶの弁護士べんごしによる調査ちょうさ委員いいん会かいを設もうけて、原因げんいんや再発さいはつ防止ぼうし策さくについて調査ちょうさしています。

国土こくど交通こうつう省しょうは今後こんご、会社かいしゃからの報告ほうこくを踏ふまえて、厳正げんせいに対処たいしょするとしています。

アスファルト 「再生さいせい骨ぼね材ざい」使用しようの現状げんじょう

道路どうろの舗装ほそうに使つかうアスファルトは、原油げんゆから製造せいぞうされた製品せいひんと石いしや砂すななどの「骨ほね材ざい」を混まぜた材料ざいりょうを、路面ろめんに敷設ふせつします。

再生さいせい骨ぼね材ざいは、道路どうろからはがしたアスファルトを砕くだいて加工かこうしたもので、再ふたたび新あたらしいアスファルトなどと混まぜて舗装ほそうに使つかわれます。

国土こくど交通こうつう省しょうによりますと、アスファルトの再さい利用りようは処分しょぶん場所ばしょの不足ふそくなどを背景はいけいに、1960年代ねんだいには始はじまっていて、1991年ねんにリサイクル法ほうが制定せいていされたことを受うけ、旧きゅう建設省けんせつしょうの直轄ちょっかつ工事こうじでは再生さいせい骨ぼね材ざいの使用しようが原則げんそく化かされました。

国土こくど交通こうつう省しょうの調査ちょうさでは現在げんざい、使用しよう済ずみのアスファルトの9割わり以上いじょうは再生さいせい骨ぼね材ざいとして使つかわれています。

一方いっぽう、再生さいせい骨ぼね材ざいを使用しようした場合ばあいの耐久たいきゅう性せいについての検証けんしょうが十分じゅうぶんでないことから、交通こうつう量りょうが多おおい国土こくど交通こうつう省しょうの一部いちぶの国道こくどうや高速こうそく道路どうろ会社かいしゃの発注はっちゅうする舗装ほそう工事こうじでは、再生さいせい骨ぼね材ざいではなく新規しんきの骨ほね材ざいを使用しようする契約けいやくが交かわされています。

今回こんかい、問題もんだいが発覚はっかくした工事こうじは、いずれも契約けいやくで新規しんきの骨ほね材ざいが指定していされていたにもかかわらず、発注はっちゅう者しゃに無断むだんで再生さいせい骨ぼね材ざいを使用しようしていました。

国土こくど交通こうつう省しょうは、耐久たいきゅう性せいへの影響えいきょうについて判断はんだんするとともに、再生さいせい骨ぼね材ざいを使用しようしたことで生しょうじた費用ひようの差額さがくへの対応たいおうなども検討けんとうすることにしています。

専門せんもん家か「どこに原因げんいんあったのか明あきらかに」

アスファルト舗装ほそうを研究けんきゅうしている金沢かなざわ工業こうぎょう大学だいがくの高橋たかはし茂樹しげき教授きょうじゅは、一連いちれんの問題もんだいについて、「新規しんきの材料ざいりょうや再生さいせい混合こんごう物ぶつを使つかう工事こうじは何なん十じゅう年ねんも前まえから分わけられていて、プラントも含ふくめてみんな知しっているはずなので、なぜこのようなことが起おきたのかと驚おどろいた」と述のべました。

問題もんだい点てんについて「日本にっぽんは長年ながねんアスファルトのリサイクルに取り組とりくみ、世界せかいでも評価ひょうかされている。基本きほん的てきには新品しんぴんと同等どうとうの性能せいのうはあるが、より性能せいのうの高たかいアスファルトを求もとめる工事こうじに対にたいしてリサイクルした材料ざいりょうでどこまで対応たいおうできるかはまだ不明ふめいな点てんがある」と指摘してきしています。

さらに、問題もんだいの背景はいけいとして「かつての土木どぼく工事こうじは発注はっちゅう者しゃ側がわが細こまかく監督かんとくしていたが、監督かんとくを減へらして受注じゅちゅう者しゃの責任せきにんで進すすめる『責任せきにん施工しこう』の流ながれになってきた。働はたらき方かた改革かいかくが求もとめられる中なかで手間てまも減へらせているが、その前提ぜんていは性善説せいぜんせつだ。今回こんかいの問題もんだいでみずからの仕事しごとに疑うたがいをかけたことは反省はんせいすべきで、より厳きびしい検査けんさが必要ひつようという議論ぎろんもありえることを自覚じかくし、どこに原因げんいんがあったのか、きちんと明あきらかにしてほしい」と話はなしています。