世界せかい初はつ ブラックホールの輪郭りんかく撮影さつえいに成功せいこう

撮影さつえいしたのは、地球ちきゅうから5500万まん光年こうねん離はなれたおとめ座ざの「Ｍえむ87」と呼よばれる銀河ぎんがの中心ちゅうしんにあるブラックホールです。

ブラックホールは極きわめて強つよい重力じゅうりょくで光ひかりや電波でんぱも吸い込すいこみ直接ちょくせつ見みることができないため、研究けんきゅうグループはブラックホール周辺しゅうへんのガスやチリが出だす電波でんぱを観測かんそくしました。

観測かんそくは南米なんべいチリにあるアルマ望遠鏡ぼうえんきょうなど世界せかい６ろくか所かしょの電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょうをつなぐことで、口径こうけいがおよそ１いち万まんキロという地球ちきゅうサイズの巨大きょだいな望遠鏡ぼうえんきょうを構築こうちくし、人間にんげんの目めのおよそ300万まん倍ばいというこれまでにない解像度かいぞうどを実現じつげんして行おこなわれました。

そして得えられたデータをもとに画像がぞう化かした結果けっか、世界せかいで初はじめて「ブラックホールの影かげ」と呼よばれる黒くろい輪郭りんかくをとらえることに成功せいこうしたとして画像がぞうを公開こうかいしました。

研究けんきゅうグループによりますと、ブラックホールの周囲しゅういのガスやちりなどが出だす強つよい電波でんぱが赤あかや白しろのドーナツ状じょうの輪わとして示しめされ、その内側うちがわには重力じゅうりょくの影響えいきょうで電波でんぱが観測かんそくできない「ブラックホールの影かげ」が黒くろい穴あなのように見みえています。

この画像がぞうから「ブラックホールの影かげ」は直径ちょっけいがおよそ1000億おくキロメートルと太陽たいよう系けいがすっぽりと入はいる大おおきさでブラックホールの質量しつりょうは太陽たいようのおよそ65億おく倍ばいに達たっする超ちょう巨大きょだいなものだとわかったということです。

ブラックホールは宇宙うちゅうに多おおく存在そんざいするとされますが地球ちきゅうから遠とおいことなどから、これまでは強つよい重力じゅうりょくの影響えいきょうを受うけたほかの天体てんたいの動うごきなどをもとに、存在そんざいする場所ばしょを推定すいていしたり、想像そうぞう図ずを描えがいたりすることしかできませんでした。

研究けんきゅうグループでは今回こんかいの画像がぞうは、ブラックホールが存在そんざいすることを直接ちょくせつ示しめす成果せいかだとしていて、ブラックホールを直接ちょくせつ観測かんそくする道みちが開ひらかれたことで銀河ぎんがや宇宙うちゅうの成り立なりたちに深ふかく関かかわるブラックホールの謎なぞの解明かいめいが進すすむと期待きたいされています。

謎なぞの天体てんたい ブラックホール

ブラックホールは極きわめて強つよい重力じゅうりょくで、光ひかりや電波でんぱを吸い込すいこむため、観測かんそくすることが困難こんなんで、成り立なりたちや進化しんかの過程かていなど、最もっとも謎なぞの多おおい天体てんたいです。

大おおきさに対にたいして非常ひじょうに重おもい天体てんたいで、質量しつりょうが太陽たいようと同おなじブラックホールがあった場合ばあい、直径ちょっけいはおよそ６ろくキロメートルになるとされています。

ブラックホールがつくられる仕組しくみは大おおきな恒星こうせいが死しを迎むかえた時ときに、みずからの重力じゅうりょくに押おしつぶされてブラックホールになると考かんがえられていますが、宇宙うちゅうには質量しつりょうが太陽たいようの100万まん倍ばいから100億おく倍ばいという超ちょう巨大きょだいブラックホールがあることも知しられていて、それらがどのようにできたのかは解明かいめいされていません。

また、ブラックホールは多おおくの銀河ぎんがの中心ちゅうしんにあるとされ、星ほしの材料ざいりょうとなるガスやちりを強つよい重力じゅうりょくで引き付ひきつけながら膨大ぼうだいなエネルギーを生み出うみだしていることから、銀河ぎんがや宇宙うちゅうの成り立なりたちにも深ふかく関かかわっていると考かんがえられています。

今回こんかい、ブラックホールを直接ちょくせつ観測かんそくする道みちが開ひらかれたことでこうした謎なぞの解明かいめいにつながることが期待きたいされています。

「人類じんるいが初はじめて目めにする姿すがた」

記者きしゃ会見かいけんで国際こくさい研究けんきゅうグループで日本にっぽんの代表だいひょうを務つとめる国立こくりつ天文台てんもんだいの本間ほんま希のぞみ樹じゅ教授きょうじゅはブラックホールの輪郭りんかくを捉とらえた画像がぞうを公開こうかいし、「これが人類じんるいが初はじめて目めにするブラックホールの姿すがたです。きれいな輪わが見みえ真ん中まんなかが黒くろく抜ぬけています。ブラックホールが光ひかりさえ出ださないという事実じじつが表おもてわれています」と述のべました。

そのうえで、「たった１いち枚まいの写真しゃしんだが、アインシュタインの一般いっぱん相対そうたい性せい理論りろんで予言よげんされて以来いらい100年ねんたってブラックホールの存在そんざいを視覚しかく的てきに証明しょうめいするものであり、銀河ぎんがの真ん中まんなかにブラックホールが存在そんざいすることを決定けっていづけるもので、非常ひじょうに大おおきな意味いみを持もった１いち枚まいだ」と述のべました。

また、本間ほんま教授きょうじゅはブラックホールの輪郭りんかくを捉とらえた画像がぞうを公開こうかいし、「ブラックホールの黒くろい穴あなを捉とらえることができる視力しりょくを得えることができたことが大おおきなマイルストーン。ブラックホールの周まわりで起おきるいろいろな現象げんしょうを解き明ときあかすツールを手てにしたと言いえます。まさに、新あたらしい時代じだいの幕開まくあけで今後こんごはブラックホールから噴出ふんしゅつする『ジェット』の構造こうぞうを明あきらかにしたいです」と話はなしました。

研究けんきゅう成果せいかの意義いぎは

記者きしゃ会見かいけんで国際こくさい研究けんきゅうグループのメンバーで国立こくりつ天文台てんもんだいの秦はた和弘かずひろ助じょ教きょうは今回こんかいの成果せいかの意義いぎを解説かいせつしました。

この中なかで秦はた助じょ教きょうは、「研究けんきゅう成果せいかの意義いぎは２ふたつあり、１ひとつ目めはブラックホールの存在そんざいと、『時空じくうの歪ゆがみ』を目めで見みて視覚しかく的てきに捉とらえたことです。アインシュタインが一般いっぱん相対そうたい性せい理論りろんを唱となえて強つよい重力じゅうりょくがあると時空じくうがゆがむことを提言ていげんして100年ねんがたったいま、その現場げんばを視覚しかく的てきに捉とらえることができました。もう１ひとつが天文学てんもんがく的てきな側面そくめんの成果せいかで、『活動かつどう銀河ぎんが中心ちゅうしん核かく』と呼よばれる、宇宙うちゅうで最もっとも明あかるく輝かがやく天体てんたいの正体しょうたいを解明かいめいしたことです。これまで正体しょうたいについては周辺しゅうへんの間接かんせつ的てきな現象げんしょうから巨大きょだいブラックホールだと信しんじるしかありませんでした。しかし、今回こんかいの観測かんそくによってブラックホールがその正体しょうたいであることが決定けってい的てきになりました」と話はなしました。

観測かんそくと挑戦ちょうせんの歴史れきし

ブラックホールの存在そんざいは、100年ねん余あまり前まえ、アインシュタインが発表はっぴょうした「一般いっぱん相対そうたい性せい理論りろん」をもとに予言よげんされました。

星ほしなどの膨大ぼうだいな質量しつりょうがごく狭せまい範囲はんいに圧縮あっしゅくされると、極きわめて強つよい重力じゅうりょくによって光ひかりすら逃のがれられなくなることが理論りろん的てきに導みちびかれたのです。

しかし、実際じっさいの観測かんそくでは長ながい間ま見みつからず、ブラックホールとされる天体てんたいが初はじめて見みつかったのは50年ねん以上いじょうたった1971年ねんでした。

アメリカのＸ線えっくすせん観測かんそく衛星えいせいによる観測かんそくで、温度おんどが非常ひじょうに高たかく、質量しつりょうが太陽たいようの10倍ばいという天体てんたいが見みつかり、周囲しゅういのガスなどを高速こうそくで吸い込すいこんでいるブラックホールだと考かんがえられたのです。

その後そのご、非常ひじょうに遠とおくにありながら明あかるく輝かがやいて見みえる天体てんたいには、エネルギー源げんとしてブラックホールがあるとされるなど、候補こうほと考かんがえられる天体てんたいが次々つぎつぎに観測かんそくされるようになりました。

しかし、どうしても見みることができなかったのが、黒くろい穴あなのように見みえる「ブラックホールの影かげ」の部分ぶぶん、地球ちきゅうから遠とおくにあるブラックホールはこれまでの望遠鏡ぼうえんきょうで観測かんそくするには限界げんかいがあったためです。

そこで、考え出かんがえだされたのが、世界せかい各地かくちの電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょうをつないで地球ちきゅうサイズの望遠鏡ぼうえんきょうとしてブラックホールを見みる方法ほうほうです。

この方法ほうほうを用もちいると人間にんげんの目めのおよそ300万まん倍ばいというハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうと比くらべても2000倍ばい以上いじょうの解像度かいぞうどを実現じつげんでき、遠とおくの天体てんたいの観測かんそくも可能かのうとなりました。

この方法ほうほうの開発かいはつには日本にっぽんも大おおきく貢献こうけんしていて2011年ねんには、国立こくりつ天文台てんもんだいなどの研究けんきゅうグループが、電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょうをつなぐ方法ほうほうを用もちいて、今回こんかい、撮影さつえいに成功せいこうした「Ｍえむ87」銀河ぎんがのブラックホールの位置いちをほぼ特定とくていしていました。

世界せかい初はつの画像がぞう 言いえることは

ドーナツ状じょうの輪わ、内側うちがわの黒くろい部分ぶぶんが世界せかい初はつのブラックホールの輪郭りんかくを撮影さつえいした画像がぞうです。

ドーナツの下もとの白しろい部分ぶぶんは、温度おんどが高たかく電波でんぱが強つよい部分ぶぶん、上うえの赤あかい部分ぶぶんはそれよりも温度おんどが低ひくく、電波でんぱが弱よわい部分ぶぶん、そして電波でんぱを出ださない部分ぶぶんは黒くろく表あらわされています。

ブラックホールは極きわめて強つよい重力じゅうりょくで光ひかりや電波でんぱなどを吸い込すいこんで閉じ込とじこめます。

白しろや赤あかで見みえるドーナツ状じょうの輪わは周囲しゅういのガスやちりなどが電波でんぱを出だしているもので、中心ちゅうしんの黒くろい穴あなは電波でんぱが観測かんそくできない「ブラックホールの影かげ」と言いわれる領域りょういきです。

画像がぞうの分析ぶんせきから「Ｍえむ87」銀河ぎんがの「ブラックホールの影かげ」の直径ちょっけいはおよそ1000億おくキロと太陽たいよう系けいがすっぽりと入はいる大おおきさであることも分わかりました。

そして、このブラックホールの質量しつりょうは太陽たいようのおよそ65億おく倍ばいあり、ブラックホールの中なかでも極きわめて大おおきいものだとわかったということです。

また、研究けんきゅうグループによりますとドーナツ状じょうの輪わの上下じょうげで色いろに違ちがいがあったことからブラックホールが自転じてんしている可能かのう性せいがあるということです。

研究けんきゅうグループによりますと、ブラックホールは「Ｍえむ87」銀河ぎんがの中心ちゅうしん部ぶにあり、この付近ふきんからはジェットと呼よばれる高速こうそくのガスなどが噴出ふんしゅつしていることがわかっていますが、今回こんかいの撮影さつえいでは捉とらえることができなかったということです。

このため、今後こんご、さらに撮影さつえい方法ほうほうを改良かいりょうしブラックホールの全容ぜんよう解明かいめいを進すすめたいとしています。

日本人にっぽんじん研究けんきゅう者しゃも重要じゅうような役割やくわり果はたす

電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょうによるブラックホールの撮影さつえいを果はたした国際こくさい研究けんきゅうプロジェクト、「Ｅい-ＨえいちＴてぃ-」＝「イベント・ホライズン・テレスコープ」には世界せかいの11以上いじょうの国くにと地域ちいきから200人にんを超こえる天文学てんもんがく者しゃが参加さんかしています。

日本人にっぽんじん研究けんきゅう者しゃもおよそ20人にんが参加さんかし、重要じゅうような役割やくわりを担にないました。

このうち、日本にっぽんチームの代表だいひょうを務つとめる国立こくりつ天文台てんもんだいの本間ほんま希のぞみ樹じゅ教授きょうじゅは、離はなれた場所ばしょにある複数ふくすうの電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょうをつないで天体てんたいを観測かんそくする専門せんもん家かで、日本にっぽんにおける第だい一いち人にん者しゃです。

2012年ねんにＥＨＴが正式せいしきな国際こくさいプロジェクトとして発足ほっそくすると、中心ちゅうしんメンバーの１いち人にんとして研究けんきゅうグループをけん引けんいんしてきました。

本間ほんまさんたちが取り組とりくんだのは、観測かんそくしたデータからより正確せいかくなブラックホールの画像がぞうを導き出みちびきだす方法ほうほうの開発かいはつです。

ＥＨＴではアメリカのハワイとアリゾナ州しゅう、チリ、メキシコ、スペインそれに南極なんきょくの世界せかい６ろくか所かしょの電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょうで一斉いっせいにブラックホールを観測かんそくし、画像がぞう化かしますが、大だい部分ぶぶんの望遠鏡ぼうえんきょうがないエリアはデータが得えられないため、画像がぞうがぼやけたり、実際じっさいとは異ことなる画像がぞうになったりしまうことが課題かだいでした。

そこで本間ほんま教授きょうじゅは医療いりょうなどの分野ぶんやで実用じつよう化かが進すすむ、少すくないデータから正ただしい画像がぞうにたどりつく、最新さいしんの情報じょうほう処理しょりの手法しゅほうに目めを付つけ、予測よそくされるブラックホールの画像がぞうの特徴とくちょうを条件じょうけんとして与あたえることでコンピューターがより正確せいかくな画像がぞうを選び出えらびだす独自どくじのプログラムを開発かいはつしました。

そして、去年きょねん６月ろくがつ、実際じっさいに各地かくちの望遠鏡ぼうえんきょうから届とどいたデータをもとに画像がぞう化かを試こころみたところ、見事みごとにブラックホールの黒くろい輪郭りんかくの画像がぞうが現あらわれたのです。

ほかの国くにのチームも別べつの２ふたつの方法ほうほうで画像がぞうを作成さくせいしましたが、いずれの方法ほうほうでも同おなじような画像がぞうが得えられたということで、画像がぞうの信頼しんらい性せいがより高たかまったということです。

本間ほんま教授きょうじゅは「『ブラックホールを見みたい』という理由りゆうにひかれ、多おおくの人ひとが協力きょうりょくしてくれました。歴史れきし的てきな成果せいかに貢献こうけんできてうれしい」と話はなしていました。

年としに数すう回かい、小学校しょうがっこうなどの講演こうえん会かいに出向でむいて宇宙うちゅうの魅力みりょくについて語かたっている本間ほんま教授きょうじゅ。

子こどもたちの純粋じゅんすいな疑問ぎもんに答こたえることも科学かがく者しゃの使命しめいだと考かんがえています。

本間ほんま教授きょうじゅは「子こどもたちの質問しつもんはすごくて、『ブラックホールはありますか？』と直球ちょっきゅうで聞きかれることもありましたが、『あります』とはっきり答こたえられるようになりました。こうした質問しつもんに答こたえようとすることは、僕ぼくらにとっても次つぎの研究けんきゅうを目指めざす原動力げんどうりょくになります」と話はなしていました。

日本人にっぽんじん研究けんきゅう者しゃ「新あらたな時代じだいに突入とつにゅう」

ブラックホールの輪郭りんかくの撮影さつえいに貢献こうけんした研究けんきゅう者しゃの１いち人にん、マサチューセッツ工科大学まさちゅ-せっつこうかだいがくヘイスタック観測かんそく所しょの秋山あきやま和徳かずのり博士はかせは、観測かんそくされたデータをもとに、画像がぞう化かするチームのリーダーをつとめました。

撮影さつえいの成功せいこうについて秋山あきやま博士はかせは、「送おくられてきた観測かんそくデータを見みたとたん、ブラックホールが撮影さつえいできていると確信かくしんできた。それを画像がぞう処理しょりして、見みることができた瞬間しゅんかん、興奮こうふんし、非常ひじょうにうれしかった。ブラックホールの存在そんざいがアインシュタインによって予言よげんされて100年ねんたつが、ようやく到達とうたつできたという思おもいだ。私わたしたちは、ブラックホールを撮影さつえいできる望遠鏡ぼうえんきょうを手てに入いれることができ、きょうをもって、宇宙うちゅう物理ぶつり学がくの新あらたな時代じだいに突入とつにゅうしたと言いえると思おもう」と述のべました。

また、今回こんかいのプロジェクトで台湾たいわんのチームに関かかわった、井上いのうえ允まこと国立こくりつ天文台てんもんだい名誉めいよ教授きょうじゅは、「長年ながねん、研究けんきゅうしてきたが、ブラックホールの存在そんざいを見みて確認かくにんできて感激かんげきした。今回こんかいの成果せいかは、21世紀せいきの科学かがくにおいて、最もっとも重要じゅうような成果せいかの１ひとつになると思おもう。日本人にっぽんじんの研究けんきゅう者しゃが世界せかい各地かくちでデータの解析かいせきなどで、大おおきな貢献こうけんをしたこともうすばらしく、ブラックホールで何なにが起おきているのかこれからさらにわかると思おもうと非常ひじょうに楽たのしみだ」と話はなしています。

科学かがく者しゃ「最もっとも重要じゅうような視覚しかく的てきな証拠しょうこをつかんだ」

ブラックホールの輪郭りんかくの撮影さつえいに成功せいこうしたことについて、アメリカの首都しゅと、ワシントンでも10日にち、国際こくさい研究けんきゅうプロジェクトに参加さんかした科学かがく者しゃたちが記者きしゃ会見かいけんを開ひらきました。

この中なかで、プロジェクトのまとめ役やくをつとめたシェパード・ドールマン博士はかせは、「ブラックホールは宇宙うちゅうで最大さいだいの謎なぞの物体ぶったいで、見みることはできないと思おもわれてきたが、われわれは見みることに成功せいこうした。本当ほんとうにめざましい成果せいかで、ブラックホールの存在そんざいを示しめす、最もっとも重要じゅうような視覚しかく的てきな証拠しょうこをつかんだ」と述のべ、撮影さつえいの意義いぎを強調きょうちょうしました。

また、別べつの科学かがく者しゃは、「ブラックホールの撮影さつえいの成功せいこうによってＳＦえすえふ＝サイエンスフィクションは科学かがくの事実じじつになった。３さん年ねん前まえの重力じゅうりょく波はの観測かんそくとともにアインシュタインの理論りろんの証明しょうめいになった」と表現ひょうげんし、科学かがくの歴史れきし上じょうに残のこる成果せいかだとしています。

一方いっぽうで、ドールマン博士はかせは、撮影さつえいが成功せいこうした背景はいけいには、各国かっこくの科学かがく者しゃたちがそれぞれの得意とくい分野ぶんやでの経験けいけんを結集けっしゅうする、国際こくさい的てきな協力きょうりょくがあったとし、日本にっぽんの貢献こうけんについても「国立こくりつ天文台てんもんだいをはじめ、多おおくの日本にっぽんの研究けんきゅう者しゃと綿密めんみつに連携れんけいしてきた。データの画像がぞう化かで日本にっぽんは今回こんかいの成功せいこうの鍵かぎとなる貢献こうけんをしたと思おもう」と述のべました。

松本まつもと零れい士しさんも見守みまもる

「銀河ぎんが鉄道てつどう999」など宇宙うちゅうを舞台ぶたいにした漫画まんがを多おおく描えがいてきた松本まつもと零れい士しさんは、10日にち夜よるの発表はっぴょうの瞬間しゅんかんを自宅じたくでインターネット中継ちゅうけいで見守みまもりました。

ブラックホールの輪郭りんかくの画像がぞうが画面がめんに映し出うつしだされると、「ん－」と低ひくいうなり声ごえを何なん度ども出だしながら、見入みいっていました。

そして、研究けんきゅう者しゃの説明せつめいや記者きしゃの質疑しつぎ応答おうとうにじっと聞き入ききいっていました。

松本まつもとさんは、ブラックホールに小ちいさい頃ころから強つよい興味きょうみを持もち、科学かがく雑誌ざっしや天文てんもん学がくの本ほんを読よんで自分じぶんの妄想もうそうを入いれて想像そうぞうで描えがいてきたといい、「子こどもの頃ころからずっと考かんがえ続つづけてきたブラックホールをこの目めで見みることができてうれしい」と話はなしていました。

これまで作品さくひんの中なかで描えがいてきたブラックホールとの違ちがいについては、「真ん中まんなかが黒くろく丸まるい様子ようすは、子こどもの頃ころに思おもっていたものとほとんど同おなじで、不思議ふしぎな気持きもちだ」と話はなす一方いっぽう「これまで黒くろい穴あなの周まわりは渦うずを巻まき、暗くらいイメージで描えがいてきたが今回こんかい、黒くろい部分ぶぶんの周まわりがとても明あかるく写うつっているのには驚おどろいた」と述のべました。

そのうえで、「実際じっさいの画像がぞうで見みえたことは、創作そうさく活動かつどうへの影響えいきょうが大おおきい。今回こんかい見みえた画像がぞうをもとに、また新あらたな想像そうぞうがどんどん湧わいてくる。今後こんごの作品さくひんの重要じゅうような参考さんこうにしたい」と話はなしていました。

そして、「願ねがいわくば、研究けんきゅう者しゃの方ほうにさらに頑張がんばってもらって、立体りったい的てきに見みてみたいし、できることなら、自分じぶんがこのブラックホールの中なかに入はいって、どうなっているのか確認かくにんしたい。私わたしの年としになると、友人ゆうじんも３さん分ぶんの２にが亡なくなっている。ブラックホールに入はいれば、時空じくうを超こえて、父ちちや母はは、祖父母そふぼ、それに友人ゆうじんたちに会あえるのではないか、生命せいめいに限界げんかいはあるのか、その先さきはどうなっているのか、興味きょうみはつきない」と興奮こうふん気味ぎみに話はなしていました。

菅かん官房かんぼう長官ちょうかん「歴史れきし的てきな成果せいかだ」

菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは午前ごぜんの記者きしゃ会見かいけんで、「ブラックホールの真相しんそうを知しるための新あらたな一いち歩ほとして歴史れきし的てきな成果せいかであり、今後こんごとも宇宙うちゅうの解明かいめいにつながる研究けんきゅうが進展しんてんしていくことを期待きたいしたい」と述のべました。