演説の中でキム委員長は、物別れに終わったベトナムの首都ハノイでの2回目の米朝首脳会談に関連して、「わたしたちが対話と協議を通じた問題の解決を重視しているのはもちろんだが、一方的な要求をするアメリカの対話方法に興味はない」と述べ、完全な非核化まで制裁を解除しないというアメリカの姿勢を批判しました。
一方で、キム委員長は「トランプ大統領との個人的な関係はすばらしい」と強調し、「アメリカが正しい姿勢でわたしたちと共有できる方法をみつけるという条件で、3回目の首脳会談を行おうというならば、わたしたちとしても、もう1度行う用意がある」と述べて、米朝首脳会談に意欲を示しました。
キム委員長は「ことしの末までは忍耐心を持って、アメリカの勇気ある決断を待つ」と述べました。
キム委員長は、演説で2回目の米朝首脳会談が物別れに終わった責任はアメリカにあると主張し、譲らない姿勢を強調しましたが、アメリカも北朝鮮の完全な非核化まで制裁を解除しないとする立場を変えておらず、3回目の首脳会談の開催にむけた調整は難航が予想されます。
キム委員長「アメリカとの対じは長期化する様相」
演説の中で、キム委員長は、アメリカなど国際社会からの制裁について「アメリカは制裁にしがみつき、先に武装解除させようとしている。アメリカが制裁解除を条件にして、われわれの利益に反する要求をしている状況なので、アメリカとの対じは長期化する様相で、制裁も続くことになるだろう」と述べて、キム委員長みずからも、制裁解除は容易でないという見通しを示しました。
そのうえで「制裁はわれわれに対する耐え難い挑戦であり、決して許せない。長い間続いた核の脅威を核で終わらせたように、敵対勢力の制裁はみずからの力で一掃しなければならない」と述べて、完全な非核化まで制裁を解除しないとするアメリカに対抗していく姿勢を強調しました。
「南北は同民族」を繰り返し強調
また、キム委員長は演説で、韓国に対して「すでに中断することになっていたアメリカとの合同軍事演習をうわべだけ変えて再び強行している。アメリカの時代錯誤的な傲慢と敵視政策を根本から終わらせなければ、われわれとの関係の前進や平和は期待できない」と述べて、規模を縮小しながらもアメリカとの軍事演習を続けていることを批判しました。
そのうえで、韓国政府が米朝間の対話を促していることについて「仲介者や促進者としてふるまうのではなく、民族の一員として民族の利益を守る当事者になるべきだ。民族共同の利益を侵害している外部勢力に依存した政策を終わらせて、すべてのことを、われわれとの関係改善に傾けなければならない」と述べました。
演説の中で、キム委員長は南北が同じ民族であることを繰り返し強調していて、アメリカに対して制裁解除などをさらに強く働きかけるよう、ムン・ジェイン(文在寅)政権に促すねらいがあるものとみられます。