性せい同一どういつ性せい障害しょうがいを「精神せいしん障害しょうがい」の分類ぶんるいから除外じょがいへ ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-

この中なかで、心こころと体からだの性せいが一致いっちしない「性せい同一どういつ性せい障害しょうがい」について、これまでの「精神せいしん障害しょうがい」の分類ぶんるいから除外じょがいし、その名称めいしょうを「性別せいべつ不ふ合ごう」に変更へんこうしました。

そのうえで、ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-は、障害しょうがいと分類ぶんるいされなくても、当事者とうじしゃが望のぞめば生殖せいしょく能力のうりょくをなくす手術しゅじゅつなどの医療いりょう行為こういを受うける権利けんりは保障ほしょうされるべきだとしています。

デンマークの代表だいひょうは「精神せいしん障害しょうがいの分類ぶんるいから除外じょがいしたことは、あらゆる人ひとたちが尊厳そんげんのある生活せいかつを送おくることにつながる大おおきな一いち歩ほだ」と述のべ、今回こんかいの変更へんこうを歓迎かんげいしました。

性せい同一どういつ性せい障害しょうがいの人ひとたちが、「障害しょうがい」とされることによって受うけてきた差別さべつが解消かいしょうされ、社会しゃかいの理解りかいへとつながるのか注目ちゅうもくされます。

ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-「社会しゃかいに強つよいサイン」

「性せい同一どういつ性せい障害しょうがい」を精神せいしん障害しょうがいの分類ぶんるいから除外じょがいすることで合意ごういしたことについて、ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-で「国際こくさい疾病しっぺい分類ぶんるい」を担当たんとうするロバート・ヤコブ氏しは「性せい同一どういつ性せい障害しょうがいは精神せいしん的てきな病気びょうきでも身体しんたい的てきな病気びょうきでもないとわれわれが考かんがえるようになることは、社会しゃかいにとって強つよいサインになるだろう」と述のべ、その意義いぎを強調きょうちょうしました。

そして、「障害しょうがいという項目こうもくから外はずすことによって、これからは『性別せいべつ不ふ合ごう』と呼よばれる人ひとたちがこれまで着きせられてきた汚名おめいを返上へんじょうすることにつながる」と述のべ、今回こんかいの変更へんこうによって、これまで「性せい同一どういつ性せい障害しょうがい」の人ひとたちが受うけてきた差別さべつが解消かいしょうされることに期待きたいを示しめしました。

厚あつ労ろう省しょう担当たんとう者しゃ「配慮はいりょ進すすんだ」

会議かいぎに出席しゅっせきした厚生こうせい労働ろうどう省しょうの池田いけだ千絵子ちえこ総括そうかつ審議しんぎ官かんは、「精神せいしん障害しょうがいから除外じょがいされたということは、さまざまな配慮はいりょが進すすんできたということだと思おもう。各かく加盟かめい国こくからは、新あたらしい分類ぶんるいに、スムーズに、きっちりと移行いこうしたいという意見いけんが多おおく出でていた」と話はなしていました。

性せい同一どういつ性せい障害しょうがいめぐる世界せかい状況じょうきょう

心こころと体からだの性せいが一致いっちしないトランスジェンダー、性せい同一どういつ性せい障害しょうがいの人ひとたちがみずから望のぞむ性せいで暮くらせるよう、各国かっこくは、法律ほうりつ上じょう、性別せいべつを変更へんこうしたり、名前なまえを変更へんこうしたりといった制度せいどを設もうけています。

なかでも、性別せいべつの変更へんこうについては、生殖せいしょく能力のうりょくをなくす手術しゅじゅつを受うける必要ひつようがあるかどうか各国かっこくで議論ぎろんになっています。

アメリカでは、カリフォルニア州しゅうのように手術しゅじゅつを受うけなくても、性別せいべつを変更へんこうできる州しゅうもあれば、手術しゅじゅつを受うければ変かえられる州しゅう、それに、変更へんこうそのものを認みとめない州しゅうもあり、対応たいおうが分わかれています。

ヨーロッパでは、ヨーロッパ人権じんけん裁判所さいばんしょがおととし、性別せいべつを変更へんこうするために生殖せいしょく能力のうりょくをなくす手術しゅじゅつを義務ぎむづけることは、「人権じんけん侵害しんがい」だとする判断はんだんを出だしていて、手術しゅじゅつを必要ひつようとしない国くにが増ふえています。

生殖せいしょく能力のうりょくをなくす手術しゅじゅつをめぐっては、ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-＝世界せかい保健ほけん機関きかんも2014年ねん、性別せいべつ変更へんこうのために手術しゅじゅつを受うける必要ひつようがあるとすることに反対はんたいする声明せいめいを発表はっぴょうしています。

ＬＧＢＴと障害しょうがいの変遷へんせん

心こころと体からだの性せいが一致いっちしないトランスジェンダー、性せい同一どういつ性せい障害しょうがいについて、ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-などの医学いがく界かいでは、1950年代ねんだいごろから、同どう性愛せいあいと同おなじ種類しゅるいの病気びょうきとして扱あつかってきましたが、その後そのご、1960年代ねんだいには同どう性愛せいあいとは別べつの病気びょうきとして、区別くべつするようになりました。

そして、80年代ねんだいに入はいると、性せい同一どういつ性せい障害しょうがいということばが使つかわれるようになり、1990年ねんに行おこなわれた国際こくさい疾病しっぺい分類ぶんるいの改訂かいていで、この名称めいしょうが正式せいしきに採用さいようされ障害しょうがいとして位置いちづけられることになりました。

これを機きに日本にっぽんでも、性せい同一どういつ性せい障害しょうがいという名称めいしょうが定着ていちゃくしていきました。

性せい同一どういつ性せい障害しょうがいは、精神せいしん障害しょうがいとして分類ぶんるいされてきましたが、2013年ねん、アメリカ精神せいしん医い学会がっかいは、「障害しょうがい」ということばを使つかわない性別せいべつ違和いわという名称めいしょうに変更へんこうしました。

専門せんもん家かによりますと、世界せかい的てきに、性的せいてきマイノリティの人権じんけんの保護ほごを求もとめる声こえが高たかまっている状況じょうきょうから、性せい同一どういつ性せい障害しょうがいの人ひとを障害しょうがいという枠組わくぐみから除外じょがいしていこうという考え方かんがえかたが広ひろまっているということです。

一方いっぽう、同どう性愛せいあいに分類ぶんるいされるレズビアンやゲイについて、ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-は、1990年ねんの国際こくさい疾病しっぺい分類ぶんるいの改訂かいていで精神せいしん障害しょうがいの分類ぶんるいから除外じょがいし、差別さべつ的てきなイメージの払拭ふっしょく（ふっしょく）につながったとしています。