ゲノム
編集という
最新の
技術を
使って、
卵を
産めないように
遺伝子を
操作した
外来魚の「ブルーギル」を
作りだすことに
国の
水産研究・
教育機構の
研究グループが
成功しました。ブルーギルは
外来魚として
各地で
問題を
引き起こしていて、
将来的に
湖などに
放すことで
駆除できる可能性があるとしています。ブルーギルは
北米原産の
淡水魚で、
昭和30
年代に
日本に
持ち込まれました。
各地で
繁殖して
在来の
魚を
捕食して
生態系に
大きな影響を
与えるなどしたため、
捕獲する
取り組みが
行われているものの、
効果が
小さく
問題となっています。
三重県にある国立研究開発法人水産研究・教育機構の岡本裕之グループ長らの研究グループは、ゲノム編集と呼ばれる最新の技術を使って、遺伝子を操作したオスのブルーギルを作り出しました。
このオスの子孫は、メスに卵ができにくくなるよう遺伝子が操作がされていて、世代を重ねるほど卵を産めないメスが増えてブルーギルを減らすことができるとしています。
ゲノム編集を使って新たな品種を作り出す取り組みは近年、急速に進んでいますが、環境省によりますと、外来種の駆除にゲノム編集の技術を使おうという研究は国内では初めてではないかとしています。
水産研究・教育機構増養殖研究所の岡本裕之グループ長は「環境への影響など十分に配慮しながら社会の理解も得て実施できるように進めていきたい」と話していました。
外来生物駆除 これまでの取り組み
外来生物を駆除しようという取り組みは、これまでさまざまな方法で試みられてきました。
昭和24年には小笠原諸島で、サトウキビの害虫を駆除するためにアメリカから「オオヒキガエル」が持ち込まれましたが、害虫よりも小笠原諸島の貴重な昆虫を食べて繁殖し、問題となりました。
沖縄県や鹿児島県の島では、ハブを減らすために「マングース」を放しましたが、絶滅危惧種に指定されている「アマミノクロウサギ」などの貴重な野生生物を捕食して深刻な問題となるなど、ねらったとおりの成果があがらない時代がありました。
しかし、1970年代から遺伝子を操作するさまざまな方法がでてきて、繁殖能力を変化させることができるようになったことから、一定の成果をあげるようになってきています。
沖縄県では、野菜に被害を与える外来種のハエの一種、「ウリミバエ」を減らすため、放射線を当てることで卵ができない特殊なウリミバエを作って放すことで、20年以上かけて根絶することができました。
こうした取り組みは、かんきつ類の害虫であるミカンコミバエを対象にして行われたほか、サツマイモの害虫であるイモゾウムシでも行われ、一定の成果をあげています。
ただし、外来魚の駆除などにこの方法を応用することは難しいとされてきました。
近年、急速に普及してきたゲノム編集という技術では、魚も含めたほぼすべての動物の遺伝子の操作が可能だとされていて、応用する研究が進んでいます。
しかし、一部の専門家からは、思いもかけない生態系への影響がでるおそれがあり、慎重に実施するべきだという声も上がっています。