訴状は4月11日付けで、訴追する側としてアメリカの連邦捜査機関で日本の国税庁にあたるIRS=内国歳入庁の特別捜査官の名前が記されています。
以下、詳しい内容をお伝えします。
訴状には捜査に基づく事実として
▼水原容疑者が「ブックメーカー」と呼ばれる賭け屋と交わしたとするやり取りの詳細や
▼大谷選手の銀行口座にアクセスした経緯、
▼口座からの送金の状況など違法賭博にのめり込んでいった経緯などが詳しく記されています。
携帯電話 ブックメーカーと数百のテキストメッセージ
それによりますと捜査当局が調べた水原容疑者の携帯電話の記録には、南カリフォルニアで活動する違法スポーツ賭博組織を巡る捜査の対象となっている「ブックメーカー1」やその仲間とされる「ブックメーカー2」との間の数百のテキストメッセージが含まれていたということです。
2021年9月8日ごろ 違法賭博のアカウント番号とパスワードを付与
このなかで水原容疑者は2021年9月8日ごろブックメーカー、いわゆる賭け屋側から違法賭博のウェブサイトのアカウント番号とパスワードを付与されました。
9月24日ごろ「UCLAに賭けたが、完敗した!!!」
そのおよそ2週間後の9月24日ごろ、水原容疑者は賭け屋側に「UCLAに賭けたが、完敗した!!!」というメッセージを送信。
さらに「引き出しと支払いはどのような仕組みになっているのか」とたずね、勝とうが負けようが日曜日の夜に清算するという内容の返信を受け取ります。
賭け屋側から再三 送金の確認を求められる
そして10月27日ごろ、水原容疑者は賭け屋側から「『ブックメーカー1』があなたのプレイを見てあすまでに清算してほしがっている」というメッセージを受け取り、「クレジットカードかデビットカードで支払う方法はあるか。銀行口座への送金も出来る」などと返信。
その後、賭け屋側から再三、送金の確認を求められたのに対し、銀行にキャンセルされたなどとやり取りを続けます。
11月10日 4万ドル日本円で600万円あまりを送金
そして11月10日に「4万送金できた。1度に4万しか送金できないようだ」と応え、4万ドル、日本円で600万円あまりを送金したとしています。
12月8日「5万の送金を依頼した」
さらに12月8日には「5万の送金を依頼した。受理されたら連絡する」と伝えています。
2022年1月2日ごろ「すべて負けてしまった」
2022年1月2日ごろ、水原容疑者は賭け屋側に「私のアカウントは再起動できるのか。すべて負けてしまった」とたずねます。
すると賭け屋側は「5万、バンプした」と回答。
特別捜査官によると“バンプ”は違法賭博の隠語で、賭けられる上限の金額を引き上げることを意味しているといいます。
1月15日ごろ 上限額の引き上げを依頼
さらに1月15日ごろ、水原容疑者は「くそっ、全部負けた(笑)…。5万、バンプできないか。もし負けたら、しばらくはこれで最後になる」と話し、再び賭けの上限額の引き上げを依頼します。
2月1日から送金巡り「30万追加で送金」
その後、2月1日から賭け屋側と再び送金を巡ってやり取りし、このなかで「10万をすでに失ったが、きょう30万、追加で送金の手続きをした」として、送金額として30万ドル、日本円で4600万円近くの金額を示しています。
しかしその月末の2月28日ごろ賭け屋側が水原容疑者に対し「やあ、良い週末を過ごしたか。追加の送金をいまだに受け取っていない」として改めて送金を依頼。
3月6日ごろ「少しだけバンプしてもらえないか」
すると3月6日ごろ水原容疑者は賭け屋側に「少しだけバンプ(上限額の引き上げ)してもらえないか。それがオーケーであれば水曜日に負けた分を送金する。追加で多額の送金をするには1週間待つ必要がある」と送信していたということです。
賭けの勝ち分は自身の銀行口座に預金
また特別捜査官は銀行口座や賭け屋とのやり取りなどから水原容疑者は賭けの勝ち分は自身の銀行口座に預金していたとしています。
その具体例として2022年5月19日ごろ賭け屋側が水原容疑者に「よい日を過ごしているだろうか。あなたが4万7260の電子送金を受け取ったかちょうど確認していた」というメッセージを送り、そのころ水原容疑者名義の口座に4万7260ドル、日本円で720万円あまりの入金があったということです。
2022年5月以降 1億5千万円超の負け金 上限額引き上げる悪循環に
また2022年5月以降のメッセージは水原容疑者が賭け屋側に100万ドル、日本円で1億5千万円を超える負け金を負っていたにも関わらず、賭け屋側が水原容疑者の賭けの上限額を繰り返し引き上げる悪循環に陥っていたことを示しているとしています。
2022年11月14日ごろ「私が支払わないという心配は必要ない!!」
このなかで2022年11月14日ごろに水原容疑者が賭け屋側に「このスポーツ賭博は苦手だ(笑)…。またバンプしてもらえるチャンスはあるか??知ってのとおり、私が支払わないという心配は必要ない!!」とメッセージ。
12月9日ごろ「上限200引き上げて 母に誓って 最後の頼みだ」
そして12月9日ごろには「最後に上限を200引き上げてもらえないか?母に誓ってこれがアメリカに戻って返済する前の最後の頼みだ。頼みつづけて申し訳ない…」と送ると、賭け屋側は同じ日にこれに応じたとしています。
2023年5月20日 賭け屋側「最低200万送れるか確認したい」
2023年5月20日、賭け屋側は水原容疑者に「あなたがうまくいってないのは知っている。バンプするのはかまわないが、(上限額の引き上げ)6月1日に最低200万送れるか確認したい」とメッセージし、200万ドル、日本円で3億円あまりとみられる数字を示します。
上限額の引き上げ繰り返し賭博をエスカレート
そのおよそ1か月後の6月22日ごろ、水原容疑者は「またやらかした(笑)…。最後にもう1回だけ、バンプ(上限額の引き上げ)してもらえないか?もし負けたらしばらくはこれで最後だ」と送信。
これに対し同日、賭け屋側は「わかった」とした上で毎週、一定の高額な金額を送金するなら好きなだけ賭けの上限額を引き上げることが出来るという内容の回答を送信。
このころから水原容疑者は上限額の引き上げを繰り返し賭博をエスカレートさせていきました。
6月23日ごろ「オレって最悪だ(笑)…。やめられない。」
6月23日ごろ、水原容疑者は「オレって最悪だ(笑)…。やめられない。最後にもう1回だけバンプしてくれないか?(上限額の引き上げ)これが当分の間、最後の引き上げだと約束する」とメッセージし、賭け屋側はこれを応諾。
6月24日ごろ「本当に本当に最後のバンプをできないか」
その翌日の6月24日ごろ水原容疑者はさらに「問題がある(笑)…。本当に本当に最後のバンプをできないか。(上限額の引き上げ)これはマジだ。本当に最後だ」と送ると、賭け屋側は絵文字付きの返信で「やったぞ」とした上で毎週、一定の高額の送金を保証するよう念を押しています。
賭け屋「大谷選手がイヌの散歩 連絡取れるか聞いてみよう」
そして2023年11月17日ごろ賭け屋側は水原容疑者に対し「おい一平、金曜日の2時だぞ。なんでオレの電話を返さないんだ。オレはいまニューポートのビーチにいるが、大谷選手がイヌの散歩をしているのを見かけたぞ。おまえが電話をよこさないから大谷選手に近づいて話しかけて、どうしたらおまえに連絡を取れるか聞いてみようと思う。いますぐ電話をくれ」などと、脅すような内容のメッセージを送信。
11月19日ごろ「暗号資産で大金失う (賭博)でも甚大な打撃」
するとおよそ2日後の11月19日ごろ水原容疑者は「正直に言うよ。自分はここ数年、暗号資産で大金を失った。このスポーツ(賭博)でも甚大な打撃を受けた」とメッセージしています。
また2023年12月15日ごろ、賭け屋側は水原容疑者に「忙しいのはわかるが敬意を示す必要がある。今夜までに電話してくれ。何時だろうとどんなに遅かろうとかまわない」とメッセージしたのに対し、水原容疑者は「本当にすまない。無礼なことをするつもりはないんだ。ほかにもいろいろあってただめちゃくちゃ忙しかったんだ。最近すべてが本当にきつい」と返信。
賭け屋「きょう中に連絡なければオレの手には負えない」
そして2024年1月6日ごろ、賭け屋側は水原容疑者に「おまえのせいで収拾がつかなくなっている。きょう中に連絡がなければオレの手には負えない」と送ると、水原容疑者は「すまない。2日前に日本から戻ってきて、またあすには出発する。戻るのは1月中旬になる。正直に言うといま大変なんだ。支払いを始める前に少し時間が必要なんだ」と返信していました。