軍事侵攻続くウクライナの前線「花びら地雷」の被害深刻に - Easy News

ロシアによる軍事ぐんじ侵攻しんこうが続つづくウクライナの前線ぜんせんでは、「花はなびら地雷じらい」と呼よばれる対人たいじん地雷じらいによるウクライナの兵士へいしの被害ひがいが深刻しんこくになっています。

地雷じらいが埋うめられるなどした可能かのう性せい国土こくどの4分ぶんの1余あまりに

ウクライナの非常ひじょう事態じたい庁ちょうによりますと、ロシアによる軍事ぐんじ侵攻しんこうで、地雷じらいが埋うめられるなどした可能かのう性せいがある面積めんせきはおよそ15万まん6000平方キロメートルへいほうきろめ-とるで、国土こくどの4分ぶんの1余あまりに相当そうとうするということです。地雷じらいによる兵士へいしの死傷ししょう者しゃ数すうは明あきらかにされていませんが、被害ひがいは甚大じんだいだとみられています。

また市民しみんにも被害ひがいが及およんでいて、非常ひじょう事態じたい庁ちょうによりますと、今月こんげつの時点じてんで、地雷じらいなどの爆発ばくはつ物ぶつで亡なくなった人ひとは258人にん、けがをした人ひとは626人にんにのぼるということです。

特とくに戦闘せんとうの前線ぜんせんでは、対人たいじん地雷じらいによる被害ひがいが深刻しんこくになっています。

無差別むさべつな被害ひがいを与あたえる対人たいじん地雷じらいは、国際こくさい条約じょうやくで使用しようや製造せいぞうが禁止きんしされていて、ウクライナを含ふくむ160以上いじょうの国くにと地域ちいきは加盟かめいしているものの、ロシアは加盟かめいしていません。

「花はなびら地雷じらい」12センチほどと小型こがた空中くうちゅうから散布さんぷ

中なかでも「花はなびら地雷じらい」と呼よばれる対人たいじん地雷じらいは、12センチほどと小型こがたで、ロケット弾だんに仕込しこまれて空中くうちゅうから散布さんぷされます。

地面じめんに落おちた数すう分ふん後ごに起動きどうしますが、草くさむらなどに紛まぎれて見みつかりにくく、踏ふんだり、つかんだりすると、中なかに入はいった液体えきたいが漏もれ出でて爆発ばくはつする仕組しくみです。

非常ひじょう事態じたい庁ちょうによりますと、広範囲こうはんいに散布さんぷされるのも特徴とくちょうで、ロケット弾だん1発はつにつき300個こ以上いじょうが搭載とうさいされ、多連装たれんそうのロケット砲ほうであれば1度どの発射はっしゃで5000個こ近ちかくが散布さんぷされ、その範囲はんいは150ヘクタールに及およぶとしています。

去年きょねん、ウクライナ軍ぐんが反転はんてん攻勢こうせいを進すすめる中なか、ロシア軍ぐんが大量たいりょうに使用しようしたとされ、東部とうぶドネツク州しゅうや南部なんぶへルソン州しゅうなどの前線ぜんせんでウクライナ軍ぐんの兵士へいしの被害ひがいが相次あいつぎました。

地雷じらい除去じょきょ部門ぶもんの責任せきにん者しゃ「花はなびら地雷じらい」の脅威きょういを強調きょうちょう

ウクライナの非常ひじょう事態じたい庁ちょうで地雷じらい除去じょきょ部門ぶもんの責任せきにん者しゃをつとめるイワン・シェペリエフさんは、と話はなし、前線ぜんせんで連鎖れんさ的てきに被害ひがいを拡大かくだいさせるとして、「花はなびら地雷じらい」の脅威きょういを強調きょうちょうしています。

ウクライナ軍ぐんの兵士へいし右足みぎあしの一部いちぶを失うしなう大だいけが

ウクライナ軍ぐんの兵士へいし、ドミトロ・ミハイロフスキーさん（40）は去年きょねん9月つき、東部とうぶドネツク州しゅうバフムトの前線ぜんせんで「花はなびら地雷じらい」を踏ふみ、右足みぎあしの一部いちぶを失うしなう大だいけがを負おいました。

ミハイロフスキーさんは、ロシア軍ぐんに見みられないよう真夜中まよなかに移動いどうを命めいじられ、足元あしもとが見みえないなか、無線むせん機きの誘導ゆうどうを頼たよりに暗闇くらやみに歩あゆみを進すすめた瞬間しゅんかん、踏ふんだのが「花はなびら地雷じらい」だったといいます。

ミハイロフスキーさん

「爆発ばくはつ音おんではなく『ポン』というこもった音おとがしました。衝撃しょうげきはなく、ただ痛いたみだけがありました。倒たおれていると『足あしがなくなっている』と言いわれました。そこで『花はなびら地雷じらい』だったと気きがついたんです」

ミハイロフスキーさんは、被害ひがいにあった日ひの日にち中ちゅう、ロシア軍ぐんがロケット弾だんを発射はっしゃし、その一部いちぶから「花はなびら地雷じらい」がまかれるのを見みていました。その直後ちょくごには、周辺しゅうへんで行動こうどうしていた別べつのグループから悲鳴ひめいが上あがるのも聞きいていたということです。

ミハイロフスキーさんが地雷じらいによってけがを負おい、治療ちりょうのために運はこばれたときには、同おなじように足あしの一部いちぶを失うしなった兵士へいしが2人にんいたということです。

ミハイロフスキーさんは戦線せんせんから戻もどされたあと、足あしの失うしなった部分ぶぶんと義足ぎそくが適応てきおうするために、6回かいもの手術しゅじゅつを必要ひつようとしたということです。いまは、日常にちじょう生活せいかつを送おくるために、西部せいぶビンニツァ州しゅうの施設しせつでリハビリに取り組とりくんでいます。

ミハイロフスキーさん

「何なによりも悲かなしいことは若わかい世代せだいの地雷じらいの被害ひがいが多おおいことです。戦争せんそうが続つづくかぎり、同おなじように傷きずつく人ひとたちが増ふえていくばかりでしょう」

「花はなびら地雷じらい」で手足てあしの一部いちぶを失うしなう人ひとが相次あいつぐ

ウクライナでは「花はなびら地雷じらい」など対人たいじん地雷じらいによって、手足てあしの一部いちぶを失うしなう人ひとが相次あいついでいます。

西部せいぶ・ビンニツァ州しゅうにある義肢ぎしの製作せいさくやリハビリ支援しえんを行おこなう施設しせつでは、ロシアによる軍事ぐんじ侵攻しんこうの前まえは事故じこや病気びょうきなどで足あしを失うしなった人ひとの利用りようがほとんどでしたが、施設しせつの責任せきにん者しゃバレンティン・サルマノフさんによりますと、今いまでは訪おとずれる人ひとの3割わり近ちかくが地雷じらいによる被害ひがいを受うけた人ひとだということです。

特とくに去年きょねん、ウクライナ軍ぐんが反転はんてん攻勢こうせいを仕掛しかけてからは、足あしなどを負傷ふしょうして施設しせつを訪おとずれる兵士へいしが増ふえ、その多おおくが「花はなびら地雷じらい」の脅威きょういを口くちにしたということです。

サルマノフさん

「前線ぜんせんが攻勢こうせいに転てんじるとき、兵士へいしたちはざんごうから出でて敵てきの陣地じんちを攻撃こうげきします。兵士へいしたちから聞きいた話はなしでは、敵てきの陣地じんちには地雷じらいが大量たいりょうに仕掛しかけられた場所ばしょがあり、そこで被害ひがいにあうのです」

施設しせつの医師いし部分ぶぶん的てきなけがに適応てきおうする義肢ぎしを作つくること難むずかしい

また「花はなびら地雷じらい」による被害ひがいでは、けがの程度ていどにも特徴とくちょうがあるといいます。

施設しせつの医師いしによりますと、「花はなびら地雷じらい」は致命傷ちめいしょうを負おわせるほどの威力いりょくはないものの、つま先つまさきやかかとなど、体からだの一いち部分ぶぶんが失うしなわれるなどの大だいけがを負おわせるということです。

こうした部分ぶぶん的てきなけがに適応てきおうする義肢ぎしを作つくることは難むずかしく、歩あるくための義足ぎそくをつけるために切断せつだん手術しゅじゅつなどを余儀よぎなくされることも多おおいということです。

ボロディミル・ダニリュク医師いし

「義肢ぎしは種類しゅるいがそれほど多おおくありません。けがをした部分ぶぶんに適切てきせつな義肢ぎしを選えらび、適応てきおうさせるのは簡単かんたんではないのです」

日本にっぽん地雷じらい除去じょきょの取り組とりくみを主導しゅどう的てきに支援しえん

ウクライナは国際こくさい社会しゃかいの支援しえんを受うけながら「花はなびら地雷じらい」など地雷じらい除去じょきょのための取り組とりくみを進すすめています。

中なかでも日本にっぽんは、レーダーで地中ちちゅうの様子ようすが分わかる高性能こうせいのうの金属きんぞく探知たんち機きや、短時間たんじかんで除去じょきょができる大型おおがたの地雷じらい除去じょきょ機きといった先進せんしん的てきな機材きざいの提供ていきょうをはじめ、地雷じらいの被害ひがいが長ながく続つづくカンボジアにウクライナの地雷じらい除去じょきょの作業さぎょう員いんを招まねいて技術ぎじゅつを伝つたえる研修けんしゅうを行おこなうなど人材じんざい育成いくせいも進すすめていて、主導しゅどう的てきに支援しえんを行おこなっています。

今月こんげつ4日にちには、地雷じらい対策たいさくの国際こくさいデーに合あわせて、日本にっぽんの支援しえんでUNDP＝国連こくれん開発かいはつ計画けいかくを通をつうじて、地雷じらい探知たんち機き570台だいや防護ぼうご服ふく475着ちゃくなどが供与きょうよされました。

広ひろ範囲はんいにわたる地雷じらい除去じょきょにかかる時間じかんは数すう百ひゃく年ねんに及およぶという試算しさんも出でていて、日本にっぽんは、今後こんごはウクライナ国内こくないで必要ひつような機材きざいの生産せいさんや人材じんざいの育成いくせいが進すすめられるよう技術ぎじゅつ協力きょうりょくを進すすめていく方針ほうしんです。