米べいカリフォルニア州しゅうの名門めいもん、南みなみカリフォルニア大学だいがく（ＵＳＣ）は１７日にちまでに、来月らいげつの卒業式そつぎょうしきで総代そうだいを務つとめるイスラム教徒きょうとの学生がくせいのスピーチを中止ちゅうしすると発表はっぴょうした。

ＵＳＣの副学長ふくがくちょうは全学ぜんがくに向むけたオンライン書簡しょかんを通とおして、ＳＮＳや中東情勢ちゅうとうじょうせいの影響えいきょうで学内外がくないがいに激はげしい感情かんじょうが広ひろがり、卒業式そつぎょうしきの安全あんぜんと混乱こんらんをめぐる相当そうとうのリスクが生しょうじていると説明せつめいした。

アスナ・タバッスムさん（２１）はイスラム教徒きょうとの南みなみアジア系米国人けいべいこくじん。来月らいげつ１０日とおかの卒業式そつぎょうしきで、総代そうだいとしてスピーチをする予定よていだった。

総代そうだいに選えらばれたことは「最高さいこうの栄誉えいよ」で、両親りょうしんも喜のぞんでいたと話はなす。

タバッスムさんは米べいイスラム関係委員会かんけいいいんかい（ＣＡＩＲ）のロサンゼルス支部しぶを通とおしたオンライン声明せいめいで、「この決定けっていにショックを受うけている。同時どうじに、私わたしの口くちを封ふうじようとする憎悪ぞうおの動うごきに、大学だいがくが屈くっしたことに対たいして深ふかい失望しつぼうを感かんじる」「憎悪ぞうおを広ひろめようとする人ひとびと々には驚おどろかないが、自分じぶんの大学だいがくに見捨みすてられたことに驚おどろいている」と述のべた。

さらに、大学だいがくに具体的ぐたいてきな脅威きょういの詳細しょうさいを尋たずねたが返答へんとうはなく、スピーチの際さいに警備けいびを強化きょうかする対策たいさくも提示ていじされていないとして、中止ちゅうしの根拠こんきょに疑念ぎねんを示しめした。

タバッスムさんの専攻せんこうは生体医工学せいたいいこうがくだが、副専攻ふくせんこうのひとつにジェノサイド（集団殺害しゅうだんさつがい）への抵抗ていこうを選えらんだ。また、インスタグラムの自己紹介じこしょうかいに反はんイスラエルのサイトのリンクを載のせたとして学内がくないの親おやイスラエル団体だんたいから激はげしく非難ひなんされたことがあり、「それも大学側だいがくがわが屈くっした理由りゆうのひとつでは」と話はなしている。

副学長ふくがくちょうは言論げんろんの自由じゆうとは無関係むかんけいの決定けっていだと述のべたが、ＣＡＩＲは「卑怯ひきょう（ひきょう）な中止決定ちゅうしけっていが憎悪ぞうおの声こえを増長ぞうちょうさせる」と批判ひはんした。

タバッスムさんは、大学側だいがくがわが決定けっていを翻ひるがえすことに唯一ゆいいつの望のぞみをかけていると語かたった。