大型おおがた連休れんきゅうを前まえにホテルを予約よやくしようとしたとき、そう感かんじた方ほうもいるのではないでしょうか。昨年度さくねんどの平均へいきんの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうが発表はっぴょうされ、ホテルなどの「宿泊しゅくはく料りょう」は、前まえの年度ねんどより25点てん5％上昇じょうしょうしました。影響えいきょうは、働はたらく人ひとの「出張しゅっちょう」にも…。上昇じょうしょうはいつまで続つづくのか、取材しゅざいしました。

宿泊しゅくはく料りょう（前ぜん年度ねんど比ひ）20年間ねんかんの推移すいいは

“ホテル代だいが高たかいのでふだんの生活せいかつで節約せつやく”

ホテルなどの宿泊しゅくはく料金りょうきんが上あがっていることについて、東京とうきょう・新宿しんじゅくで話はなしを聞ききました。

都内とないに住すむ60代だいの女性じょせい

「ライブなどでもあちこち行いきますが、コロナ前まえに比くらべるととても上あがっていると感かんじます。出費しゅっぴの増加ぞうかはきついですが、楽たのしむことを1番ばんにしているので他たでやりくりしています」

神奈川かながわ県けんに住すむ30代だいの女性じょせい

「観光かんこうや仕事しごとで東京とうきょうに出でてくる時ときにホテル代だいが上あがったなと思おもいます。駅えきから近ちかいところを選えらんでいましたが、遠とおくてもいいかなと思おもうようになりました」

テーマパークに行いくため友人ゆうじんと一緒いっしょに長野ながの県けんから訪おとずれた30代だいの女性じょせい

「千葉ちば県けんで2泊はくする予定よていですが、前まえに泊とまった時ときより値上ねあがりしているなと思おもいました。ホテル代だいが高たかいということもあり、旅行りょこうのためにふだんの生活せいかつでも節約せつやくをしてきました」

出張しゅっちょうの宿泊しゅくはく費ひ 上限じょうげん引き上ひきあげる企業きぎょうも

こうした中なか、社員しゃいんが出張しゅっちょうする際さいの宿泊しゅくはく費ひの上限じょうげんを引き上ひきあげる企業きぎょうも出でています。

東京とうきょう・港みなと区くに本社ほんしゃを置おくIT企業きぎょうは求人きゅうじんサイトの運営うんえいなどを行おこなっていて、200人にん以上いじょうの社員しゃいんが働はたらいています。

この会社かいしゃでは去年きょねん12月つきまでは社員しゃいんが出張しゅっちょうする際さいの宿泊しゅくはく費ひについて、1泊はくにつき上限じょうげんを全国ぜんこくで一律いちりつ1万まん円えんとしてきましたが、ことし1月つきから1万まん3000円えんに引き上ひきあげました。

会社かいしゃによりますと、全国ぜんこく的てきにホテルの宿泊しゅくはく料金りょうきんが上昇じょうしょうし、出張しゅっちょうの際さい宿泊しゅくはく費ひの上限じょうげんを超こえるケースが増ふえたためだとしています。

この会社かいしゃの宮崎みやざき県けんのオフィスに勤つとめる中村なかむら駿しゅん太ふとしさんは去年きょねん1か月かげつから2か月かげつに1度ど、東京とうきょうの本社ほんしゃに出張しゅっちょうしていましたが、夏なつごろから宿泊しゅくはく費ひの上昇じょうしょうを感かんじていたといいます。

それまでは、本社ほんしゃから徒歩とほ圏内けんないのホテルを利用りようしていましたが、次第しだいに予算よさん内ないのホテルを見みつけることができなくなり、電車でんしゃで乗り換のりかえが必要ひつようなエリアにも範囲はんいを広ひろげてホテルを探さがすようになったということです。

中村なかむらさんによると、宿泊しゅくはく費ひの上限じょうげんが引き上ひきあげられてからは、本社ほんしゃ周辺しゅうへんのホテルを予約よやくできるようになったということです。

中村なかむら駿しゅん太ふとしさん

「上限じょうげんが引き上ひきあげられたことであまり時間じかんをかけずにスムーズに予約よやくができるようになり、非常ひじょうに助たすかっています。ホテルからの移動いどうの時間じかんを考慮こうりょしなくていいので、働はたらきやすくなったと実感じっかんしています」

株式かぶしき会社かいしゃリブセンス 楠本くすもと匠たくみ 執行しっこう役員やくいん

「宿泊しゅくはく費ひの上限じょうげんを引き上ひきあげることで生産せいさん性せいや営業えいぎょう効率こうりつ、業務ぎょうむ効率こうりつといったところに寄与きよできるのではないかと思おもっている。表面ひょうめん上じょうの費用ひようは増ふえるが、生産せいさん性せいを上あげて働はたらきやすい環境かんきょうを作つくることで総合そうごう的てきにはプラスの影響えいきょうが大おおきいのではないかと考かんがえている」

客室きゃくしつの平均へいきん単価たんか 上昇じょうしょうのホテルでは

国内外こくないがいの旅行りょこう客きゃくの需要じゅよう回復かいふくなどを背景はいけいに客室きゃくしつの平均へいきん単価たんかが上あがる中なか、競争きょうそう力りょくをさらに高たかめようと、フロアの改装かいそうなどに積極せっきょく的てきに取り組とりくむホテルもあります。

東京とうきょう・新宿しんじゅくのホテルでは去年きょねん1月つき以降いこう、1200室しつ以上いじょうある客室きゃくしつの稼働かどう率りつが月つきごとの平均へいきんで90％を超こえる状況じょうきょうが続つづいています。

去年きょねんの客室きゃくしつの平均へいきん単価たんかは▼コロナ禍か前まえの2019年ねんとの比較ひかくではおよそ1.2倍ばいの水準すいじゅんとなったほか▼直近ちょっきんのことし3月つきも去年きょねんの同おなじ月つきに比くらべおよそ1.3倍ばいの水準すいじゅんとなりました。

ホテルによりますと、背景はいけいには、国内外こくないがいの旅行りょこう客きゃくなどの需要じゅようが大おおきく回復かいふくしているほか、物価ぶっかの上昇じょうしょうに伴ともない食材しょくざいや光熱こうねつ費ひなどのコストが上あがっていることがあるとしています。

こうした中なか、このホテルでは競争きょうそう力りょくをさらに高たかめようとフロアの改装かいそうなどに積極せっきょく的てきに取り組とりくんでいます。

去年きょねん12月つき一部いちぶの客室きゃくしつフロアでじゅうたんや壁紙かべがみの貼はり替がえや高こう機能きのうのドライヤーやシャワーの導入どうにゅうを進すすめたのに続つづき、来月らいげつ以降いこうは順次じゅんじ、別べつのフロアでも同様どうようの改装かいそうを行おこなう計画けいかくだとしています。

またロビーでは去年きょねん、待ち時間まちじかんを短縮たんしゅくするため、自動じどうチェックイン機きの数かずを増ふやしたほか、ことし2月つきにはエントランスに空港くうこう行いきのバスを待まつための休憩きゅうけい所しょを新あらたに設もうけました。

新宿しんじゅくワシントンホテル企画きかく課か 横内よこうち兼けん課長かちょう

「価格かかくが上あがる中なかでも、コストパフォーマンスは非常ひじょうに重要じゅうようで、価格かかくに見合みあっているとお客おきゃくさんが実感じっかんできるようなソフト、ハードの改善かいぜんを図はかっていかなければならない。滞在たいざい満足まんぞく度どや付加ふか価値かちの向上こうじょうをどんどん進すすめていきたい」

専門せんもん家か “ホテル代だいの上昇じょうしょうというトレンド もうしばらく続つづく”

ニッセイ基礎研究所にっせいきそけんきゅうしょの安田やすだ拓たく斗と研究けんきゅう員いんは宿泊しゅくはく料金りょうきんが上昇じょうしょうしていることについて、「コロナが終おわってきて需要じゅようが大おおきく回復かいふくする中なか、人手ひとで不足ふそくが発生はっせいしている。人手ひとでを獲得かくとくするために賃金ちんぎんを上あげなければいけない状況じょうきょうで、その価格かかく転嫁てんかがホテル代だいに起おきている。また、物価ぶっか上昇じょうしょうによるコストの増加ぞうかをホテル代だいに価格かかく転嫁てんかする動うごきもみられる」と指摘してきしました。

その上うえで、今後こんごの宿泊しゅくはく料金りょうきんの動向どうこうについては「人手ひとで不足ふそく感かんはもう少もうすこし続つづくことが予想よそうされ、ホテルで使つかわれる経費けいひも高水準こうすいじゅんで推移すいいしていくため、もうしばらくホテル代だいの上昇じょうしょうというトレンドは続つづいていくとみている」と述のべました。

また国内こくない旅行りょこう客きゃくの動向どうこうについては「物価ぶっかが上昇じょうしょうし、ホテル代だいも高騰こうとうする中なか、個人こじんの実質じっしつ所得しょとくは低下ていかしてきているので、旅行りょこうにさける予算よさんも限かぎられてくると思おもう。そうした意味いみではホテル代だいが安やすい地方ちほうなどに目めを向むける観光かんこう客きゃくもいるのではないか」と話はなしていました。

昨年度さくねんどの平均へいきんの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすう 結果けっかは【詳くわしく】

総務そうむ省しょうによりますと、昨年度さくねんどの平均へいきんの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうは、生鮮せいせん食品しょくひんを除のぞいた指数しすうが、前まえの年度ねんどより2.8％上昇じょうしょうしました。

1981年度ねんど以来いらい41年ねんぶりの高たかい水準すいじゅんとなった前まえの年度ねんどの3.0％より0.2ポイント縮小しゅくしょうしました。

このうち「生鮮せいせん食品しょくひんを除のぞく食料しょくりょう」は前まえの年度ねんどより7.5％上昇じょうしょうしました。

具体ぐたい的てきには、▼「鶏卵けいらん」は24.5％、▼「アイスクリーム」は11.6％、▼外食がいしょくの「ハンバーガー」は9.2％、▼「あんパン」と「からあげ」は7.2％上あがりました。

また、▼「宿泊しゅくはく料りょう」は、観光かんこう需要じゅようの回復かいふくなどを背景はいけいに25.5％上昇じょうしょうしました。

一方いっぽう、政府せいふの負担ふたん軽減けいげん策さくなどで、▼「電気でんき代だい」はマイナス15.5％、▼「都市としガス代だい」はマイナス11.7％となりました。

また先月せんげつの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうは生鮮せいせん食品しょくひんを除のぞいた指数しすうが、去年きょねんの同おなじ月つきより2.6％上昇じょうしょうし、2月つきから0.2ポイント縮小しゅくしょうしました。

このうち「生鮮せいせん食品しょくひんを除のぞく食料しょくりょう」は去年きょねんの同おなじ月つきから4.6％上昇じょうしょうしました。

上昇じょうしょう率りつは前まえの月つきから0.7ポイント縮小しゅくしょうし、去年きょねん9月つきから7か月かげつ連続れんぞくで前まえの月つきを下回したまわりました。

総務そうむ省しょうは「外食がいしょくでは人件じんけん費ひの上昇じょうしょうに関連かんれんした値上ねあげの動うごきも出でている。足あしもとの円えん安やすが食料しょくりょう品ひんなどの価格かかくに影響えいきょうするか確認かくにんしていきたい」としています。

生鮮せいせん食品しょくひん エネルギーを除のぞいた指数しすうは3.9％上昇じょうしょう

19日にち、公表こうひょうされた昨年度さくねんどの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうで生鮮せいせん食品しょくひんとエネルギーを除のぞいた指数しすうは前まえの年度ねんどから3.9％上昇じょうしょうしました。

上昇じょうしょう率りつは前まえの年度ねんどから1.7ポイント高たかくなりました。

総務そうむ省しょうによりますと第だい2次じオイルショックの影響えいきょうが続つづいていた1981年度ねんどの4.0％以来いらい42年ねんぶりの高たかい水準すいじゅんとなりました。

政府せいふによるエネルギーの負担ふたん軽減けいげん策さくが昨年度さくねんどの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうの上昇じょうしょう率りつを押し下おしさげていますが、生鮮せいせん食品しょくひんとエネルギーを除のぞいた指数しすうでは上昇じょうしょう率りつは前まえの年度ねんどよりも大幅おおはばに上昇じょうしょうしました。