そして「首脳宣言はほぼ完成している。あすの会議の最後に採択される予定だ」と述べました。
ラブロフ外相としては、ロシアの立場に一定の配慮もなされたとして妥協する考えを示したとみられます。
ゼレンスキー大統領は冒頭、ロシア軍が部隊を撤退させたウクライナ南部のヘルソン州の州都ヘルソンに触れ「ウクライナにとってヘルソンの奪還はこれまでの戦闘の転換点となるものだ。ロシアによる破壊的な戦争は今こそ終わらせなければならず、終わらせることはできるはずだと私は確信している」と述べて、奪還の成果を強調するとともに、さらなる領土の奪還に向け自信を示しました。 そして各国首脳に対し、ロシアによる核戦力の放棄やロシア側に捕らえられた捕虜の解放、それにウクライナの領土の保全などに向けて支持を訴えました。 そのうえでゼレンスキー大統領は「平和は世界で共通する価値であり、世界中の一人一人にとって重要なものだ。G19のリーダーの皆さんも賛同してくれると信じている」と述べ、ロシアをG20のメンバーに見なさない形で非難するとともに、戦闘の早期終結に向けて各国が団結するよう呼びかけました。
習主席としては、ウクライナ情勢に直接言及しないことでロシアへの配慮を見せ、ロシアに制裁を科すアメリカなどを批判したものです。 さらに習主席は「イデオロギーで線を引き、集団で政治をしたり陣営で対抗したりすることは世界を分断させ、世界の発展と人類の進歩を妨げるだけだ」と述べ、アメリカなどをけん制しました。
インドネシアのバリ島で開幕したG20の首脳会議では、初日の15日、ウクライナ情勢を背景にした、エネルギーや食料の価格高騰などへの対応をめぐるセッションが行われました。 外交筋によりますとこのセッションでは、ロシアのラブロフ外相が欧米各国の制裁などを非難する、これまでの主張を繰り返したということです。 これに対しフランスのマクロン大統領が即座に反論するなど、欧米各国はロシアによるウクライナ侵攻を相次いで非難したということです。 首脳らが対面で向き合った初日の議論から、欧米各国とロシアとが互いに非難する展開となり対立が浮き彫りとなっています。
会談の冒頭、ラブロフ外相は「ことしになって10回目となる会談を行うことをうれしく思っている。ロシアと中国の首脳も定期的に会っている」と述べ、中国との間で緊密な関係を維持していると強調しました。 そのうえで「われわれの包括的なパートナーシップと戦略的な相互関係は継続されると確信している。われわれは2国間関係の可能性を制限なく拡大するため新たな機会を利用できるはずだ」と述べ、協力関係をさらに深めたい考えを示しました。 プーチン大統領に代わってG20に出席しているラブロフ外相は、ウクライナに侵攻したロシアの立場を主張しましたが、欧米各国などから非難が相次いでいて、中国との会談で両国関係をアピールし、孤立していないと印象づけるねらいもあるとみられます。
ロシア国営のタス通信によりますと、会談の冒頭で王毅外相は「きのう、あなたが入院したとする情報を受け取ったが、すぐにフェイクニュースだとわかった。このような偽の情報が広がることをなくすためにも、顔をあわせて会談することが重要だ」などと述べたということです。 これに対して、ラブロフ外相は「私の健康にお気遣いいただき感謝する。私が入院したというのは欧米のメディアによる新たなフェイクだった」と述べ、14日、ラブロフ外相が健康上の問題で、現地の病院に搬送されたなどとする欧米の一部の報道内容を否定しました。 そのうえで、ロシア外務省がSNSで投稿した映像を念頭に「この件ではっきりさせたいのは、私は、ふだん着だったが、きのうは休んでおらず、きょうの会議の準備をしていた」と述べ、健康状態に問題はないと強調しました。
ウクライナ ゼレンスキー大統領がオンラインで演説
中国 習近平主席「一方的な制裁措置を撤回すべき」
エネルギーなどめぐるセッション 欧米とロシアが互いに非難
ラブロフ外相 “健康に問題はない” 中国外相との会談で言及