当初の計画では21日午後11時55分ごろに月面への着陸に挑む予定ですが、開発担当者によりますと太陽電池パネルが光を受けられない向きのままでバッテリーが充電できず、改善の見通しが立っていないということです。
JAXAは、スペインやアメリカにある通信用のアンテナを使いながら探査機に信号を送って状況の改善を図る方針で、その結果を踏まえ、22日未明までに着陸に挑むかどうかを慎重に判断する予定です。
状況が改善されれば、月を通りすぎる前に軌道を修正するなどして着陸に挑むということで、開発責任者は着地場所が柔らかい砂地などであれば成功する可能性もあるとしています。
日本はこれまで、月面に着陸した実績がなく、成功すれば、旧ソビエト(1966年)、アメリカ(1966年)、中国(2013年)に続く4番目となります。 計画では、「OMOTENASHI」は、ロケットから分離されたあと探査機が持つガスジェットを噴射して、月に向けて軌道を修正。そして、月に降り立つ直前に、着陸態勢に入るため、向きを変えるとともに、探査機そのものを回転させながら姿勢を安定させます。 大気のある地球と異なり、パラシュートを開いて減速することができないので速度を落とすための固体ロケットを進行方向に噴射。時速をおよそ180キロまで落として月に衝突させます。 探査機にはあらかじめ、衝撃を吸収する緩衝材を入れるなど、複数の対策が施されていて、まさに月に「体当たり」で着陸する計画。成功したかどうかは、地球に送られる電波で確認することにしています。 「OMOTENASHI」はミッションとして、月面着陸のほか、月に向かう軌道に入った後、被ばく線量を1分ごとに計測する予定で、有人での月探査活動に備えて、放射線環境に関するデータを集めることにしています。 月面に降り立つことができれば、世界最小の月面着陸機になるということで、注目されます。
「アルテミス計画」は宇宙飛行士を再び月に送る計画で、アメリカが中心となって進め、日本やヨーロッパなども参加しています。 1960年代から70年代、人類を月面に送り込んだ「アポロ計画」と同様、ギリシャ神話にちなんで名付けられ、「アルテミス」は「アポロ」の双子の妹で、月の女神とされています。 計画ではまずは、3つの段階で月を目指します。
その後、第2段階として2024年を目標に実際に宇宙飛行士を乗せて月を周回する試験飛行を行い、第3段階として2025年を目標に宇宙飛行士が月面に降り立つ計画です。 計画どおりに実現すれば、1972年にアポロ17号が宇宙飛行士を乗せて月面に着陸して以来、およそ半世紀ぶりのこととなります。 さらにその先には月を周回する新しい宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設し、宇宙飛行士を定期的に送り込んで滞在できるようにする計画です。 この計画では月を拠点として、2030年代には火星に有人着陸することも見据えています。 NASAは当初、2024年までに宇宙飛行士を月に降り立たせることを目指していましたが、ロケットの開発が遅れて打ち上げがずれ込んでいました。 今回の計画でNASAは初めての女性飛行士の月面着陸を目指すほか、日本人宇宙飛行士が月面に降り立つことも検討されています。
「OMOTENASHI」とは
「アルテミス計画」とは