日本新闻: 旧統一教会の被害者救済法案が衆院可決賛成多数で

旧きゅう統一とういつ教会きょうかいの被害ひがい者しゃ救済きゅうさいに向むけて悪質あくしつな寄付きふを規制きせいする新あらたな法案ほうあんは、衆議院しゅうぎいん本ほん会議かいぎで、自民じみん・公明こうめい両りょう党とうや立憲りっけん民主みんしゅ党とうなどの賛成さんせい多数たすうで可決かけつされました。

法案ほうあんは参議院さんぎいんに送おくられ、会期かいき末まつの今月こんげつ10日にち、成立せいりつする見通みとおしです。

旧きゅう統一とういつ教会きょうかいの被害ひがい者しゃ救済きゅうさいを図はかる法案ほうあんは、法人ほうじんなどが霊感れいかんなどの知見ちけんを使つかって不安ふあんをあおり、寄付きふが必要ひつよう不可欠ふかけつだと告つげるなど、個人こじんを困惑こんわくさせる不当ふとうな勧誘かんゆう行為こういを禁止きんししています。

また、野党やとう側がわがマインドコントロールによる寄付きふの禁止きんしを求もとめていたことを踏ふまえ、法人ほうじんなどに対にたいし、個人こじんの自由じゆうな意思いしを抑圧よくあつし、適切てきせつな判断はんだんが困難こんなんな状況じょうきょうに陥おちいることがないようにするなどの配慮はいりょ義務ぎむを課かすとしています。

さらに罰則ばっそくも設もうけられ、禁止きんし行為こういに違反いはんし、行政ぎょうせいの勧告かんこくや命令めいれいにも従したがわなかった場合ばあいには、1年ねん以下いかの懲役ちょうえきか100万まん円えん以下いかの罰金ばっきんの刑事けいじ罰ばつが科かされます。

法案ほうあんは、事前じぜんの協議きょうぎにより野党やとう側がわの主張しゅちょうも反映はんえいさせる異例いれいの形かたちでまとめられ、8日にちの衆議しゅうぎ院いんの特別とくべつ委員いいん会かいで、配慮はいりょ義務ぎむの規定きていの「配慮はいりょ」という文言もんごんを「十分じゅうぶんに配慮はいりょ」にするとともに、配慮はいりょ義務ぎむを怠おこたった場合ばあいに法人ほうじん名めいを公表こうひょうするなどの修正しゅうせいが加くわえられました。

そして衆議院しゅうぎいん本ほん会議かいぎで採決さいけつが行おこなわれ、自民じみん・公明こうめい両りょう党とうと、立憲りっけん民主党みんしゅとう、日本にっぽん維新いしんの会かい、国民こくみん民主みんしゅ党とうなどの賛成さんせい多数たすうで可決かけつされ、参議院さんぎいんに送おくられました。

一方いっぽう、共産党きょうさんとうは、いわゆるマインドコントロールに適切てきせつに対処たいしょできないなど、被害ひがい者しゃ救済きゅうさいや被害ひがい防止ぼうしには不十分ふじゅうぶんだとして反対はんたいしたほか、れいわ新選しんせん組ぐみも反対はんたいしました。

法案ほうあんは参議院さんぎいんに送おくられ、直ただちに本ほん会議かいぎで審議しんぎ入いりする予定よていです。そして会期かいき末まつの今月こんげつ10日にちに成立せいりつする見通みとおしです。

法案ほうあんの概要がいよう

旧きゅう統一とういつ教会きょうかいの被害ひがい者しゃ救済きゅうさいを図はかるための新あらたな法案ほうあんは、政府せいふが事前じぜんに野党やとう側がわの意見いけんも聞きき、主張しゅちょうを反映はんえいさせるという異例いれいの形かたちでまとめられました。

法案ほうあんでは、現在げんざいの法律ほうりつでは十分じゅうぶんに対応たいおうできない悪質あくしつな寄付きふを規制きせいしています。

具体ぐたい的てきには、

▽法人ほうじんなどが霊感れいかんなどの知見ちけんを使つかって不安ふあんをあおり、寄付きふが必要ひつよう不可欠ふかけつだと告つげるなど、個人こじんを困惑こんわくさせる不当ふとうな寄付きふの勧誘かんゆう行為こういを禁止きんししています。

また、

▽個人こじんに借金しゃっきんさせたり、自宅じたくなどを売うらせたりしてまで資金しきんを調達ちょうたつするよう要求ようきゅうすることも禁きんじています。

そのうえで、

▽罰則ばっそくも設もうけられ、禁止きんし行為こういに違反いはんし、行政ぎょうせいの勧告かんこくや命令めいれいにも従したがわなかった場合ばあいには、1年ねん以下いかの懲役ちょうえきか100万まん円えん以下いかの罰金ばっきんの刑事けいじ罰ばつが科かされます。

さらに、

▽野党やとう側がわが、マインドコントロールによる寄付きふの禁止きんしを求もとめてきたことを踏ふまえ、法人ほうじんなどに、

・個人こじんの自由じゆうな意思いしを抑圧よくあつし、適切てきせつな判断はんだんが困難こんなんな状況じょうきょうに陥おちいらせることや

・個人こじんや家族かぞくの生活せいかつの維持いじを困難こんなんにすることがないようにするなど、十分じゅうぶんに配慮はいりょする義務ぎむを課かすとしています。

・義務ぎむを怠おこたった場合ばあいは、勧告かんこくや法人ほうじん名めいの公表こうひょうを行おこなうとしています。

このほか、

▽被害ひがい者しゃ救済きゅうさいに向むけて、

・不当ふとうな勧誘かんゆう行為こういに基もとづく寄付きふに「取消とりけし権けん」を認みとめるほか、

・寄付きふした本人ほんにんが取り消とりけしを求もとめない場合ばあいでも、扶養ふようされている子こどもなどに一定いっていの範囲はんい内ないで「取消とりけし権けん」を認みとめ、本来ほんらい受け取うけとれるはずだった養育よういく費ひなどを取り戻とりもどせるとしています。

また、

▽法案ほうあんでは、施行しこうの2年ねん後ごに見直みなおしを行おこなう規定きていも設もうけられています。

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、法案ほうあんをめぐり「マインドコントロールによる寄付きふについては、多おおくの場合ばあい、不安ふあんを抱だいていることに乗じょうじて勧誘かんゆうされたものと言いえ『取消とりけし権けん』の対象たいしょうとなる。配慮はいりょ義務ぎむは、禁止きんし行為こういとする場合ばあいよりも、より幅広はばひろく行為こういを捉とらえることができ、民法みんぽう上じょうの損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうを容易よういにする効果こうかが高たかい」と述のべています。

一方いっぽう、政府せいふは、法案ほうあんの規制きせい対象たいしょうについて、

▽法人ほうじん格かくのない団体だんたいも含ふくめると説明せつめいしているほか、

▽集あつめられた寄付きふ金きんの帰属きぞく先さきを、組織そしきの幹部かんぶなどの個人こじんに変かえて規制きせい対象たいしょうから逃のがれる行為こういが起おきないよう、対応たいおうを検討けんとうしていくと説明せつめいしています。

配慮はいりょ義務ぎむの規定きてい修正しゅうせい内容ないよう

法案ほうあんは、自民党じみんとうや立憲りっけん民主みんしゅ党とうなどで調整ちょうせいの結果けっか、寄付きふの勧誘かんゆうを行おこなう法人ほうじんなどに課かす配慮はいりょ義務ぎむの規定きていについて、衆議院しゅうぎいんの特別とくべつ委員いいん会かいで修正しゅうせいが行おこなわれました。

具体ぐたい的てきには、配慮はいりょ義務ぎむを怠おこたったことが確認かくにんされた場合ばあい、行政ぎょうせいが勧告かんこくを行おこない、勧告かんこくに従したがわなかった場合ばあいは、法人ほうじん名めいを公表こうひょうするなどの措置そちをとることが新あらたに盛り込もりこまれました。

また、条文じょうぶんの「配慮はいりょ」という文言もんごんを「十分じゅうぶんに配慮はいりょ」とする修正しゅうせいも行おこなわれました。

与野党よやとうは、これらの修正しゅうせいによって、配慮はいりょ義務ぎむ規定きていの実効じっこう性せいが高たかまったとしています。

配慮はいりょ義務ぎむ規定きていをめぐっては、野党やとう側がわが、いわゆるマインドコントロールによる悪質あくしつな寄付きふを明確めいかくに禁止きんしすべきだとして、「禁止きんし規定きてい」に変更へんこうしたうえで、罰則ばっそくを適用てきようするとともに、「取消とりけし権けん」の対象たいしょうとすることを求もとめていましたが、与党よとう側がわは、信教しんきょうの自由じゆうや財産ざいさん権けんなど、憲法けんぽうで保障ほしょうされている権利けんりに反はんするおそれがあるとして、折り合おりあいませんでした。

このほか、修正しゅうせいでは法律ほうりつを見直みなおす規定きていについて、施行しこう後ご3年ねんから2年ねんに短縮たんしゅくされました。

本ほん会議かいぎを傍聴ぼうちょうした「宗教しゅうきょう2世せい」など被害ひがいを訴うったえる人ひとたちは

家族かぞくが多額たがくの献金けんきんをしたなどと被害ひがいを訴うったえている人ひとたちは、衆議院しゅうぎいん本ほん会議かいぎを傍聴ぼうちょうしたあと、記者きしゃ会見かいけんを行おこないました。

「小川おがわさゆり」の名前なまえで被害ひがいを訴うったえている、いわゆる宗教しゅうきょう2世せいの女性じょせいは「与野党よやとうが新法しんぽうをつくることは奇跡きせきに近ちかく、ことし8月つきに初はじめて野党やとうのヒアリングに参加さんかしたときは想像そうぞうできなかった。旧きゅう統一とういつ教会きょうかいや親おやを恨うらみ、全部ぜんぶ忘わすれようと思おもっていたが、自分じぶんの子こどもに同おなじ思おもいをさせたくないという思おもいできょうまできた」と振り返ふりかえりました。そのうえで「今後こんごも被害ひがい者しゃのことを忘わすれないでほしい。課題かだいが残のこっている部分ぶぶんも忘わすれずに、これからも議論ぎろんを続つづけてもらいたい」と述のべました。

また、元もと妻つまが旧きゅう統一とういつ教会きょうかいの信者しんじゃで、多額たがくの献金けんきんで家庭かていが崩壊ほうかいしたと訴うったえている橋田はしだ達夫たつおさんは「第だい1章しょうのページが開ひらいた。感無量かんむりょうだ」と述のべました。

自民じみん茂木もぎ幹事かんじ長ちょう「国会こっかいをいい形かたちで閉とじることができる」

自民党じみんとうの茂木もぎ幹事かんじ長ちょうは、派閥はばつの会合かいごうで「現行げんこう法制ほうせい上じょう、最大限さいだいげんの対策たいさくを盛り込もりこみ、野党やとうの提案ていあんも可能かのうなものは反映はんえいした法案ほうあんに仕上しあげることができた。いちにちも早はやい被害ひがいの救済きゅうさいと再発さいはつ防止ぼうしを図はかっていきたい」と述のべました。

そのうえで「国会こっかいは、サッカーの日本にっぽん戦せんでいうと、前半ぜんはんは相当そうとう厳きびしい戦たたかいだったが、後半こうはんにきて補正ほせい予算よさんと救済きゅうさい法案ほうあんを成立せいりつさせることで2ポイントをとり、逆転ぎゃくてんとまでは言いえないかもしれないが、いい形かたちで閉とじることができる」と述のべました。

立たつ民みん泉いずみ代表だいひょう「まずは法案ほうあんの前進ぜんしんを勝ち取かちとった」

立憲りっけん民主みんしゅ党とうの泉いずみ代表だいひょうは、党とうの代議士だいぎし会かいで「被害ひがい者しゃや弁護べんご団だんと協力きょうりょくしながら生々なまなましい被害ひがいの実態じったいを明あきらかにしてきたことが法案ほうあんにつながった。政府せいふは当初とうしょ、大変たいへん後ろ向うしろむきだったが、われわれが先さきにつくって国会こっかいに提出ていしゅつした法案ほうあんが政府せいふの考え方かんがえかたの原案げんあんになった。まずは法案ほうあんの前進ぜんしんを勝ち取かちとったことを多たとして、さらに前まえに進すすんでいきたい」と述のべました。

維新いしん藤田ふじた幹事かんじ長ちょう「これで終おわりではない」

日本にっぽん維新いしんの会かいの藤田ふじた幹事かんじ長ちょうは、党とうの代議士だいぎし会かいで「われわれも、最後さいごまで詰つめると言いってやってきた。新法しんぽうなので、このあとの影響えいきょうを注視ちゅうししていく。これで終おわりではないという気持きもちを持もっての法案ほうあんへの賛成さんせいだ」と述のべました。

共産きょうさん小池こいけ書記しょき局長きょくちょう国会こっかいの会期かいき延長えんちょう申し入もうしいれ

共産きょうさん党とうの小池こいけ書記しょき局長きょくちょうは、旧きゅう統一とういつ教会きょうかいの被害ひがい者しゃ救済きゅうさいを図はかる法案ほうあんについて十分じゅうぶんな審議しんぎ時間じかんを確保かくほする必要ひつようがあるとして、尾辻おつじ参議院さんぎいん議長ぎちょうに対にたいし、10日にちまでの国会こっかいの会期かいきを今月こんげつ16日にちまでの6日間にちかん、延長えんちょうするよう申し入もうしいれました。

このあと、小池こいけ氏しは記者きしゃ団だんに対にたいし「配慮はいりょ義務ぎむを禁止きんし規定きていにしておらず、根本こんぽん的てきな問題もんだいが解決かいけつされていない。各党かくとう・各かく会派かいはが知恵ちえを出し合だしあって、より実効じっこう性せいのある法案ほうあんにしていくことが国会こっかいとしての責務せきむだ」と述のべました。