アメリカとの
関係強化を
進めるフィリピン。
背景には中国への抑止力強化を念頭に2022年発足したマルコス政権が前政権と一線を画し、対米関係の重視にかじを切ったことがあります。
フィリピンはことし2月、2国間の協定に基づき、アメリカ軍がフィリピン国内で使用できる基地や拠点を現在の5か所から新たに4か所増やし合わせて9か所にすることで合意しました。
4か所のうち、3か所を台湾に近い海軍基地と陸軍基地、それに民間の空港とし、残る1か所は南シナ海に面した西部パラワン州の最南端の離島にある施設としています。
合意の背景には台湾や南シナ海での有事の際にアメリカ軍が機動的に展開することを可能にする狙いがあるとみられます。
一方、抑止力の強化を念頭にアメリカ軍との共同訓練にもフィリピンは力を入れていて、国内で最大となるマニラ北部の基地、「フォート・マグサイサイ」では3月末両国の軍から合わせて3000人が参加しました。
訓練ではロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでも使用されているアメリカの高機動ロケット砲システム「ハイマース」についてフィリピン軍の兵士が運用方法などを学んだほか、アメリカ軍の指揮官が戦術などを指導し実戦を想定した演習なども行いました。
アメリカは今後、フィリピンの基地内に指揮所や備蓄倉庫などを建設し有事への備えを急ピッチで進めるとしていて、両国は防衛力の強化を進めています。
基地抱えるフィリピン北部では不安の声が
一方、
アメリカ軍が
利用する
基地や
拠点が
新たにおかれる
地域では
今後アメリカと
中国との
対立に
巻き込まれるのではないかという
不安の
声が
上がっています。
フィリピン北部のカガヤン州。
海軍基地と民間空港の2か所を抱えるこの州は、台湾との間のルソン海峡に面しています。
州北部にある港町で漁業を営むレクソン・カーリングさん(30)です。
15年にわたり漁で生計を立て家族4人を養っています。
町では今、州政府が中国などからの資本を受けて港の整備を進める開発プロジェクトが持ち上がっていて、レクソンさんは大きな期待を寄せています。
しかし、アメリカ軍の受け入れが本格的に始まれば、港の開発が実現されなくなるのではないかと懸念しています。
さらに今後、1歳と7歳の2人の娘たちの生活への影響についても心配しています。
レクソンさんは「戦争への不安が生活の身近にある状況です。子供たちはどのように暮らしていけばよいのだろうか」と不安を口にしました。
地元の州知事「町が標的に 基地や拠点は別の場所に」
地元カガヤン
州のマンバ
知事は
台湾をめぐり
米中の
争いが
起これば、
州内に
置かれる
アメリカ軍の
拠点は
攻撃の
対象に
なるとして
政府の
決定に
反対を
表明しています。
マンバ知事は州政府のラジオ放送やインターネットでの配信放送を通じアメリカ軍の受け入れに反対を呼びかけていて「戦争で町は標的にされてしまう。私は住民を救いたいだけで、基地や拠点はどこか別の場所に持っていってほしい」と話していました。
これに対し、マルコス大統領は、アメリカ軍による基地や拠点の使用の重要性を説明していくとして、今後、協議を通じて州政府や住民の理解と支持を得ていく方針を明らかにしています。
アメリカ側 “地域の経済振興などに貢献”
フィリピン
国内でアメリカ
軍による
基地や
拠点の
利用に
不安の
声があがる
中、アメリカ
側は、
地域の
経済振興や
災害救助など
人道支援に
貢献すると
訴え、
国民の
理解を
取り付けようと
動きだしています。
南シナ海に近いフィリピン軍のバサ空軍基地です。
ここでは大型輸送機や戦闘機が離着陸できるように2800メートルの滑走路の全面修復工事が行われています。
工事の費用はアメリカ側がすべて負担し、6600万ドルあまり、日本円にして86億円を拠出します。
工事はフィリピンの企業が請け負い、地元に経済効果が見込めるほか、災害時には、医療物資や食料などを供給できる基地としても期待されています。
3月、着工を記念する式典に参加したアメリカの駐フィリピン大使は「自然災害などでのフィリピン軍の危機対応能力の向上を訓練やインフラ建設などを通じて強化する」と呼びかけました。
政府のインフラ建設の予算が限られる中、フィリピンのガルベス国防相は「アメリカがさらに多くの事業を検討することを期待する」と応じ、今後、アメリカ軍の拠点をさらに拡大していく考えを示しました。
米CSIS上級研究員「台湾有事に備え後方支援の重要な拠点に」
アメリカの
同盟国フィリピンの
役割についてアメリカのシンクタンク、CSIS=
戦略国際問題研究所のグレゴリー・ポーリング
上級研究員は「より
広い同盟のネットワークの
一部になってもらうことだ」と
述べ、
中国への
抑止力の
向上を
念頭に、アメリカの
アジア太平洋地域の
同盟国である日本やオーストラリアを
含めた
連携の
強化だとの
考えを
示しました。
その上で「もし、フィリピンが南シナ海でアメリカ軍に命を懸けてもらうことを期待するなら、台湾をめぐって紛争が起きた場合、フィリピンが後方支援や情報収集での貢献を検討すると考えることは妥当だ」と述べました。
また、アメリカとフィリピンの2国間の協定に基づき、アメリカ軍がフィリピン国内で使用できることになった新たな拠点のうち、台湾に近い拠点について「情報収集や物資の保管拠点になるかもしれない」と述べ、台湾有事に備え長期的にアメリカ軍が即応態勢を構築する上で後方支援の重要な拠点になる可能性を指摘しました。
一方、ポーリング氏はフィリピン国内で米中の対立に巻き込まれたくないとアメリカ軍の受け入れに慎重な声が出ていることを踏まえ「もし、新たな拠点が、アメリカの利益にのみ貢献すると見なされるようになれば、政治的に拠点を維持できなくなる。両政府はフィリピンの微妙な政治状況を見誤らないよう慎重に物事を進めていくだろう」と述べました。
最強レベル「海洋熱波」で異変が この夏も北日本で気温上昇か
海面水温が極端に高くなる「海洋熱波」。去年夏の北日本の記録的な暑さにつながったとみられ、専門家は「今も最強レベルで続いている」として、この夏も北日本で気温が上がると指摘しています。さらに、イカ、カツオ、ホヤなどにも異変が。「海洋熱波」のメカニズムと影響について取材しました。
Source: NHK
Jul 20, 2024 15:07
欧州委 首相がロシアなど訪問のハンガリーに対し対応措置か
EU=ヨーロッパ連合の執行機関ヨーロッパ委員会は、ハンガリーで開催される非公式の閣僚会議に、閣僚にあたる委員を派遣しないと明らかにしました。今月からEUの議長国を務めるハンガリーのオルバン首相が、ロシアや中国を相次いで訪れるなどウクライナ和平をめぐり独自の外交を展開していることに批判が出ていることを踏まえた措置とみられます。
Source: NHK
Jul 16, 2024 09:07
ロシアと北朝鮮の新条約 第三国から攻撃は相互支援 懸念強まる
24年ぶりに北朝鮮を訪問したロシアのプーチン大統領はキム・ジョンウン(金正恩)総書記と首脳会談を行い、第三国から攻撃があった場合には、相互に支援を行うなどとした新たな条約に署名しました。両国は軍事的な協力関係を一段と高めた形で、日本を含む各国で安全保障上の懸念がさらに強まるものとみられます。
Source: NHK
Jun 20, 2024 05:06
プーチン大統領が18日から北朝鮮訪問 軍事的連携強める狙いか
ロシアと北朝鮮は、プーチン大統領が18日から北朝鮮を訪問すると発表しました。プーチン大統領が北朝鮮を訪問するのは24年ぶりで、ウクライナ侵攻が長期化する中、キム・ジョンウン(金正恩)総書記との会談を通じ、軍事的な連携をいっそう強めたいねらいもあるとみられます。
Source: NHK
Jun 17, 2024 23:06
G7サミット【2日目】中国の過剰生産問題 AI活用など議論へ
イタリアで開かれているG7サミット=主要7か国首脳会議は2日目を迎え、中国によるEV=電気自動車などの過剰生産問題が焦点になる見通しのほか、AI=人工知能の活用や規制に関する議論も予定され、G7サミットで初めてローマ教皇が出席することになっています。
Source: NHK
Jun 14, 2024 18:06
G7サミット【1日目】開幕 ゼレンスキー大統領が一部参加へ
G7サミット=主要7か国首脳会議は、イタリアでさきほど、日本時間の夕方から始まりました。初日はウクライナ情勢などについて意見を交わし、制裁で凍結したロシア中央銀行の資産を活用したウクライナ支援で合意を目指すことにしています。
Source: NHK
Jun 13, 2024 18:06
32年前の「飯塚事件」で再審認めない決定 福岡地裁
32年前、福岡県飯塚市で小学生の女の子2人が殺害されたいわゆる「飯塚事件」で、すでに死刑が執行された元死刑囚の再審=裁判のやり直しについて、福岡地方裁判所は「弁護側が新たな証拠とした2つの証言は信用できない」として、再審を認めない決定をしました。
Source: NHK
Jun 5, 2024 12:06
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