日本新闻: G7気候・エネルギー・環境相会合初日終了共同声明案明らかに

札幌さっぽろ市しで行おこなわれているG7＝主要しゅよう7か国かこくの気候きこう・エネルギー・環境かんきょう相しょう会合かいごうの初日しょにちの議論ぎろんが終了しゅうりょうしました。

各国かっこくによる共同きょうどう声明せいめい案あんが明あきらかになり、焦点しょうてんの石炭せきたん火力かりょく発電はつでんについては廃止はいし時期じきは明示めいじしない一方いっぽう、石炭せきたんや天然てんねんガスなどで二に酸化さんか炭素たんその排出はいしゅつ削減さくげんの対策たいさくが取とれない場合ばあい、段階だんかい的てきに廃止はいしする方針ほうしんです。

脱だつ炭素たんそ社会しゃかいの実現じつげんと経済けいざい安全あんぜん保障ほしょうの強化きょうかなどをテーマに、15日にちから始はじまった会合かいごうには、西村にしむら経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじんと西村にしむら環境かんきょう大臣だいじんが出席しゅっせきしていて、初日しょにちの議論ぎろんが終了しゅうりょうしました。

こうした中なか、16日にち採択さいたくされる予定よていの各国かっこくによる共同きょうどう声明せいめい案あんが明あきらかになり、気候きこうや環境かんきょうの分野ぶんやでは世界せかいの気温きおん上昇じょうしょうを1.5度どに抑おさえる目標もくひょうの達成たっせいに向むけ、経済けいざいを変革へんかくすることが求もとめられると強調きょうちょうしています。

その上うえでリサイクルやリユースなど「循環じゅんかん経済けいざい」の実現じつげんの重要じゅうよう性せいを強調きょうちょうし、官民かんみんで協力きょうりょくを強化きょうかすることにしています。

焦点しょうてんとなっていた石炭せきたん火力かりょく発電はつでんについては、ヨーロッパの国々くにぐにが求もとめていた廃止はいし時期じきの明示めいじは見送みおくられる一方いっぽう、石炭せきたんや石油せきゆ、天然てんねんガスで二に酸化さんか炭素たんその排出はいしゅつ削減さくげんの対策たいさくが取とれない場合ばあい、段階だんかい的てきに廃止はいしする方針ほうしんが盛り込もりこまれ、一定いっていの歩み寄あゆみよりがはかられた形かたちです。

また、中国ちゅうごくなどとの間まで獲得かくとく競争きょうそうが激はげしくなっている重要じゅうよう鉱物こうぶつの安定あんてい調達ちょうたつに向むけて新あらたに行動こうどう計画けいかくを取とりまとめるとしています。

鉱山こうざんの開発かいはつや重要じゅうよう鉱物こうぶつのリサイクルなどで主要しゅよう7か国かこくとして1兆ちょう円えんの財政ざいせい支出ししゅつを行おこなう方針ほうしんです。

さらにLNG＝液化えきか天然てんねんガスの安定あんてい調達ちょうたつに向むけても、各国かっこくで開発かいはつを進すすめる重要じゅうよう性せいを強調きょうちょうしています。

一方いっぽう、自動車じどうしゃ部門ぶもんの脱だつ炭素たんそ化かについては、欧米おうべいの国々くにぐにが導入どうにゅう目標もくひょうを定さだめるべきと主張しゅちょうしているのに対にたいして、ハイブリッド車しゃが多おおい日本にっぽんは慎重しんちょうな立場たちばで、議論ぎろんが続つづいています。

ただ、工場こうじょうなどから出でた二に酸化さんか炭素たんそを水素すいそと合成ごうせいし、排出はいしゅつ量りょうを実質じっしつゼロにできる「合成ごうせい燃料ねんりょう」については、技術ぎじゅつ開発かいはつを加速かそくさせる方向ほうこうで各国かっこくとも一致いっちしているものと見みられます。

共同きょうどう声明せいめいは16日にち採択さいたくされる予定よていで、ウクライナ侵攻しんこうや米べい中ちゅうの対立たいりつが続つづくなか、一致いっちしたメッセージを打ち出うちだせるかが焦点しょうてんです。

「重要じゅうよう鉱物こうぶつ」激はげしくなる獲得かくとく競争きょうそう

「重要じゅうよう鉱物こうぶつ」は、電気でんき自動車じどうしゃのバッテリーや半導体はんどうたいの材料ざいりょうなどとして世界せかい的てきに需要じゅようが高たかまっています。

なかでも電気でんき自動車じどうしゃは、車体しゃたい価格かかくの3分ぶんの1をバッテリーが占しめるとも言いわれ、重要じゅうよう鉱物こうぶつの確保かくほが自動車じどうしゃの生産せいさんや販売はんばいに大おおきな影響えいきょうを与あたえる状況じょうきょうになっています。

IEA＝国際こくさいエネルギー機関きかんの調査ちょうさによりますと、2040年ねんの重要じゅうよう鉱物こうぶつの需要じゅようは2020年ねんと比くらべて、リチウムが12.8倍ばい、ニッケルが6.5倍ばい、コバルトが6.4倍ばいなどと今後こんごも需要じゅようは拡大かくだいする見通みとおしです。

しかし、その産出さんしゅつは一部いちぶの国くにに限かぎられ、リチウムはおよそ半数はんすうがオーストラリア、コバルトはおよそ7割わりがアフリカのコンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国こく、ニッケルは半数はんすうをインドネシアとオーストラリアが占しめています。

このため重要じゅうよう鉱物こうぶつを産出さんしゅつする国くにの鉱山こうざんでは中国ちゅうごく企業きぎょうなどとの間まで権益けんえきの獲得かくとく競争きょうそうが活発かっぱつになっていて、今後こんごさらに競争きょうそうは激はげしくなると予想よそうされます。

日本にっぽん企業きぎょうでも鉱山こうざんなどの権益けんえき獲得かくとくやリサイクル技術ぎじゅつ開発かいはつの動うごき

重要じゅうよう鉱物こうぶつの需要じゅようが世界せかい的てきに高たかまるなか、日本にっぽん企業きぎょうの間までは鉱山こうざんなどの権益けんえき獲得かくとくやリサイクルの技術ぎじゅつ開発かいはつに乗り出のりだす動うごきが出でています。

金属きんぞく材料ざいりょうメーカーの「JX金属きんぞく」は、重要じゅうよう鉱物こうぶつに関連かんれんする事業じぎょうを強化きょうかしていて、ことし、ブラジルにある「タンタル」と呼よばれる重要じゅうよう鉱物こうぶつの鉱山こうざんを運営うんえいする会社かいしゃに出資しゅっしし、生産せいさんに乗り出のりだしています。

タンタルは、スマートフォンなどの電子でんし部品ぶひんに使つかわれていますが、産出さんしゅつ国こくが限かぎられることから、会社かいしゃでは安定あんてい確保かくほにつながると期待きたいしています。

さらにこの会社かいしゃが取り組とりくんでいるのが、今後こんご供給きょうきゅうが増ふえる見込みこみの電気でんき自動車じどうしゃのバッテリーから「リチウム」や「コバルト」などを取り出とりだす事業じぎょうです。

おととしから福井ふくい県けんにある子会社こがいしゃで、実証じっしょう実験じっけんに取り組とりくんでいて、使用しよう済ずみのバッテリーを焼やいて砕くだいたあと、リチウムなどを取り出とりだし再さい利用りようしようとしています。

会社かいしゃでは純度じゅんどの高たかい鉱物こうぶつを大量たいりょうに回収かいしゅうする技術ぎじゅつを確立かくりつし、2030年代ねんだいの実用じつよう化かに向むけて設備せつび投資とうしを行おこなうことにしています。

” 調達ちょうたつは厳きびしくなっている権益けんえきの確保かくほに努つとめる”

JX金属きんぞくの飯田いいだ一彦かずひこ常務じょうむは「中国ちゅうごく企業きぎょうが権益けんえきを確保かくほする動うごきなどレアメタルの調達ちょうたつはどんどん厳きびしくなっている。今後こんご、半導体はんどうたい向むけの需要じゅようなども増ふえることが予想よそうされるので、上流じょうりゅう権益けんえきの確保かくほに努つとめながらサプライチェーンを多角たかく化かしていきたい」と話はなしています。

自動車じどうしゃ分野ぶんやの脱だつ炭素たんそ化か各国かっこくの取り組とりくみは

世界せかい各国かっこくは二に酸化さんか炭素たんその排出はいしゅつ量りょうの削減さくげんに向むけて、エンジン車しゃを減へらし電気でんき自動車じどうしゃなどの導入どうにゅうを拡大かくだいする目標もくひょうを打ち出うちだしています。

日本にっぽんは、2035年ねんまでに新車しんしゃ販売はんばいでハイブリッド車しゃを含ふくめた電動でんどう車しゃの比率ひりつを100％にする目標もくひょうを掲かかげています。

これに対にたいしてイギリスは2030年ねんまでに新車しんしゃ販売はんばいで電気でんき自動車じどうしゃの比率ひりつを50％から70％とし、ガソリン車しゃの販売はんばいを禁止きんしします。

さらにハイブリッド車しゃなどについても2035年ねんには販売はんばいを禁止きんしします。

アメリカでは2030年ねんの新車しんしゃ販売はんばいで電気でんき自動車じどうしゃや燃料ねんりょう電池でんち車しゃなどの比率ひりつを50％に引き上ひきあげるほか、一部いちぶの州しゅうでは2035年ねんまでにハイブリッド車しゃを含ふくむガソリン車しゃなどの販売はんばいを禁止きんしします。

一方いっぽう、EU＝ヨーロッパ連合れんごうは、2035年ねんまでにハイブリッド車しゃを含ふくむエンジン車しゃの新車しんしゃ販売はんばいを事実じじつ上じょう、禁止きんしすることを目指めざしていましたが、先月せんげつ、ドイツとの間まで合成ごうせい燃料ねんりょうの使用しようを条件じょうけんにエンジン車しゃの販売はんばい継続けいぞくを認みとめることで合意ごういしています。

日本にっぽんとしては、二に酸化さんか炭素たんその排出はいしゅつが実質じっしつゼロとされる合成ごうせい燃料ねんりょうなどの開発かいはつや普及ふきゅうを図はかりながら、ハイブリッド車しゃも含ふくめて自動車じどうしゃ分野ぶんやの脱だつ炭素たんそ化かを進すすめたい考かんがえです。

「合成ごうせい燃料ねんりょう」現状げんじょうと課題かだい

「合成ごうせい燃料ねんりょう」は、二に酸化さんか炭素たんそと水素すいそを合成ごうせいして作つくる燃料ねんりょうで、既存きそんのエンジン車しゃでも活用かつようできるのが特徴とくちょうです。

工場こうじょうなどから排出はいしゅつされた二に酸化さんか炭素たんそを原料げんりょうに製造せいぞうすれば、排出はいしゅつ量りょうを実質じっしつゼロにできるため、実用じつよう化かが期待きたいされています。

ドイツのフォルクスワーゲン傘下さんかのポルシェなどは、去年きょねん12月つきから南米なんべいのチリで風力ふうりょく発電はつでんによる電力でんりょくで作つくった水素すいそを原料げんりょうに合成ごうせい燃料ねんりょうの生産せいさんを始はじめています。

日本にっぽんでも石油せきゆ元売もとうり大手おおてのENEOSが、政府せいふの支援しえんを受うけて横浜よこはま市しの研究所けんきゅうじょで技術ぎじゅつ開発かいはつを進すすめています。

この研究所けんきゅうじょには実験じっけん用ようの製造せいぞう装置そうちがあり、すでに製造せいぞう技術ぎじゅつは確立かくりつしているということで、来年度らいねんどから同おなじ敷地しきち内ないに1日にち1バレルの合成ごうせい燃料ねんりょうを生産せいさんできる施設しせつを稼働かどうさせることにしています。

ただ現在げんざいの製造せいぞうコストは、1リットル当あたりおよそ700円えんと、ガソリンの小売こうり価格かかくの4倍ばい余あまりとなっていて、生産せいさんの効率こうりつ化かや原料げんりょうとなる水素すいそをいかに割安わりやすに調達ちょうたつするかが課題かだいとなっています。

”早はやめの商用しょうよう化かを目指めざし開発かいはつを進すすめていきたい”

ENEOSサステナブル技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょの早坂はやさか和章かずあき所長しょちょうは「むだなく原料げんりょうを合成ごうせい燃料ねんりょうにするための技術ぎじゅつ開発かいはつなどが課題かだいだが、社会しゃかいのニーズが高たかまっているので、なるべく早はやめの商用しょうよう化かを目指めざし、開発かいはつを進すすめていきたい」と話はなしています。