宮城県石巻市では
東日本大震災で
被災した
仮設住宅の
入居者などのために、
車に
本を
積み込んだ「
移動巡回図書館」を
運行してきましたが、
住まいの
再建とともに
利用者が
減少したことから23
日で
最後となり、
住民たちが
名残惜し
そうに
本を
借りていました。
トラックを
改良した
石巻市図書館の
移動巡回図書館「ひより
号」は、15
年前に
一度、
廃止されましたが、
被災した
人たちを
元気づけようと
震災の
7か月後に
運行が
再開され、
主に
仮設住宅を
回って
本を
貸し出してきました。
震災後の利用者は延べおよそ2万人、貸し出した本はおよそ10万冊に上ります。
しかし、震災から8年がすぎ住まいの再建が進んで仮設住宅の入居者が僅かになり「ひより号」の利用者も減少したことから、再びその役割を終えることになりました。
最後の運行となった23日、「ひより号」は石巻市の雄勝地区を回り、地元の住民が名残惜しそうに本を借りたり、返却したりしていました。
80代の女性は「本を読むことがいつも楽しみでした。震災の時に本を読むことで得た元気はとても大きかったです」と話していました。
石巻市図書館の飯坂隆さんは「仮設住宅の集会所で楽しむことができるように手芸の本を持って行くなど、場所によって本を選び、心の支えになろうとしてきました。復興が進んだのはうれしいですが、運行が終わり、さみしい気持ちもあります」と話していました。
ひより号とは
「ひより号」は、4トントラックを改良して車内に本棚を取り付け、およそ3000冊の本を運んできた石巻市図書館の移動巡回図書館です。
市民に読書に親しんでもらおうと昭和47年に運行が始まりましたが、利用者の減少に伴い平成16年に廃止されました。
しかし東日本大震災で市内の学校や公共施設など本を読むことができる場所が被災。
住宅を失い仮設住宅に入居した人たちに本を届け、心のケアにつなげようと、石巻市は平成23年10月「ひより号」を復活させました。
最も多いときで市内の仮設住宅の団地など、58か所を巡回した「ひより号」。
震災後の利用者は延べおよそ2万人、貸し出した本はおよそ10万冊に上ります。
東日本大震災からまもなく8年半。
石巻市内では住まいの再建が進み仮設住宅の入居者が僅かになる中で「ひより号」の利用者も減少。
昨年度の利用者は延べおよそ760人となり、23日で再びその役割を終えることになりました。