ホルモンを調節する効果がある「クロミフェン」は筋肉増強剤の副作用を抑える目的で使用されるケースがあり、WADA=世界アンチ・ドーピング機構が禁止薬物に指定しています。
NPBはバティスタ選手を3日から来年3月2日までの6か月間出場停止処分とすることを決め、球団を通じて本人に通告しました。
バティスタ選手はNPBの聞き取りに対し「身に覚えがない」と禁止薬物の意図的な摂取を否定しているということです。
バティスタ選手はドミニカ共和国にあるカープアカデミー出身の27歳の外野手で、今シーズンは103試合に出場し26本のホームランを打つなど主にチームの中軸を担っていましたが、ドーピング検査の結果を受けて広島は先月17日に1軍の出場選手登録を抹消していました。
プロ野球のドーピング検査による違反はことし6月に処分を受けたオリックスのジョーイ・メネセス選手に続き、7人目となります。
バティスタ「意図的な摂取ない 信じて」
バティスタ選手は球団を通じてコメントを出しました。
この中でバティスタ選手は「NPB、球団、チームメート、チーム関係者、カープファンの皆様、他球団ファンの皆様にご迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます。同時に私も大変ショックを受けております」としています。
そのうえで「禁止物質の陽性反応がありましたが、意図的に摂取していないことをお伝えしたいです。どうか私を信じてください。禁止薬物が自分の成績を上げる助けにはならないと考えているため、今までにステロイドや、成績を上げるために使用されるようなその他の薬品を使用したことは1度もありません」と、改めて意図的な摂取を否定しました。
そして「これからの私にできる唯一のことは、今後選手としてプレーできるよう毎日一生懸命練習していくことだけです。もし球団に契約を継続してもらえるなら、カープの勝利に貢献し、優勝できるようすべてに対して100%の力で臨み、最善を尽くしたいです」とコメントしています。
コミッショナー「厳正に対応」
プロ野球の斉藤惇コミッショナーは今シーズン、ドーピング違反が2件相次いだことを受けて「大変残念に思っている。公正なプロ野球を維持していかなければならないし、来年は東京オリンピックもあるのでこの問題には厳正に対応していかなくてはならない。改めて選手自身に注意していただく必要はあるが、われわれも球団とともに啓発活動にさらに力を入れていきたい」とコメントしています。
カープアカデミー出身 “生え抜き”の存在
サビエル・バティスタ選手はドミニカ共和国出身の27歳の外野手で、長打力が持ち味の右バッターです。
ドミニカ共和国にある球団施設「カープアカデミー」の出身で、23歳だった平成27年の秋のキャンプに練習生として参加しました。
練習を重ねて翌年の平成28年から育成選手としてプレーし、おととしのシーズン途中には1軍での出場が可能な支配下選手に登録され、いきなり61試合で11本のホームランを打ちました。
そして昨シーズンは99試合に出場してチームで3番目に多い25本のホームランを打ってチームのリーグ3連覇に貢献しました。
今シーズンは持ち前の長打力に加え、守備も安定してファーストでの起用が多くなり、シーズン序盤から中軸を任されました。
1軍の出場選手登録を抹消されるまで103試合の出場で打率2割6分9厘、64打点、ホームランはチームトップの26本を打っていました。
広島にとってバティスタ選手は、外国人選手とはいえカープアカデミーで若いころから鍛え上げてきたいわば「生え抜き」とも言える存在です。
チームの中で貴重な長距離バッターとして年々成績をあげていただけに、球団内ではドーピング検査で陽性反応を示したことに衝撃が走っています。