ロシアのプーチン政権せいけんへの批判ひはんを続つづけたナワリヌイ氏しについて、ロシアの当局とうきょくは16日にち、収監しゅうかんされていた刑務所けいむしょで死亡しぼうしたと発表はっぴょうしました。

当局とうきょくは、これまでに詳くわしい死因しいんを発表はっぴょうしていませんが、ナワリヌイ氏しの支援しえん団体だんたいの幹部かんぶによりますと、刑務所けいむしょを訪おとずれた母親ははおやと弁護士べんごしは「死因しいんは『突然とつぜん死し症候しょうこう群ぐん』だ」と言いわれたとしています。

一方いっぽう、母親ははおやらは直接ちょくせつ、遺体いたいを確認かくにんできず、独自どくじに死因しいんを検証けんしょうできない状態じょうたいが続つづいています。

こうした中なか、ロシアの独立どくりつ系けいメディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」は、ナワリヌイ氏しが収監しゅうかんされていた刑務所けいむしょの受刑じゅけい者しゃの話はなしとして、当局とうきょくが死亡しぼうを発表はっぴょうした16日にちの前日ぜんじつ、15日にちの夜よるに「刑務所けいむしょ内ないで不可解ふかかいな騒動そうどうが始はじまった」として、突然とつぜん、警備けいびが強化きょうかされ、数すう台だいの車くるまが出入でいりする音おとが聞きこえたなどと伝つたえています。

そして16日にちの朝あさになって、ナワリヌイ氏しが死亡しぼうしたことが刑務所けいむしょ内ないで伝つたわり始はじめたとしています。

また、遺体いたいは刑務所けいむしょがあった北極ほっきょく圏けんにあるロシア北部ほくぶヤマロ・ネネツ自治じち管区かんくの中心ちゅうしん都市としサレハルドに搬送はんそうされたということですが、救急きゅうきゅう隊たいの関係かんけい者しゃの話はなしとして遺体いたいには複数ふくすうのあざがあったと伝つたえています。

あざの1つは胸むねにあったとされ、関係かんけい者しゃの話はなしとして心臓しんぞうマッサージを行おこなった際さいの痕跡こんせきの可能かのう性せいがあるとしていますが、心臓しんぞうが停止ていしした経緯けいいなどは不明ふめいだとしています。

ロシアでは、人権じんけん団体だんたいのもとに連邦れんぽう捜査そうさ委員いいん会かいに対にたいして遺族いぞくへの遺体いたいの返還へんかんを求もとめる声こえが19日にちの午前ごぜん中ちゅうまでに5万まん件けん以上いじょう寄よせられていて、ナワリヌイ氏しの死因しいんをめぐって波紋はもんが広ひろがっています。

ナワリヌイ氏しの妻つま「祖国そこくのために闘たたかい続つづける」

死亡しぼうしたナワリヌイ氏しの妻つま、ユリアさんは19日にち、SNSにビデオメッセージを公開こうかいし「ウラジーミル・プーチンが私わたしの夫おっとを殺害さつがいした。われわれはプーチンがアレクセイを殺害さつがいした理由りゆうは分わかっている。それについては近々ちかぢか話はなしたい」と述のべ、ナワリヌイ氏しの死亡しぼうにプーチン政権せいけんが関与かんよしたとして強つよく非難ひなんしました。

そのうえで「私わたしはアレクセイ・ナワリヌイの仕事しごとを続つづけ、祖国そこくのために闘たたかい続つづける。私わたしの隣となりに立たって、怒いかりを分わかち合あってください。われわれの将来しょうらいを殺ころした者ものたちに対にたいする怒いかりや憎にくしみだ」と述のべ、ナワリヌイ氏しに代かわってプーチン政権せいけんを批判ひはんする運動うんどうを続つづけていく考かんがえを示しめしました。

ナワリヌイ氏しの妻つま EU外相がいしょう会議かいぎに参加さんか

死亡しぼうしたナワリヌイ氏しの妻つま、ユリアさんは19日にち、ベルギーで行おこなわれているEU＝ヨーロッパ連合れんごうの外相がいしょう会議かいぎに参加さんかしました。

会議かいぎに先立さきだって、EUの外相がいしょうにあたるボレル上級じょうきゅう代表だいひょうは記者きしゃ団だんに対にたいし、「ロシア国内こくないの反はん体制たいせい派はをどう支援しえんするかについて政治せいじ的てきメッセージを送おくる」と述のべました。

さらにボレル上級じょうきゅう代表だいひょうは「加盟かめい国こくはナワリヌイ氏しの死しに責任せきにんがある者ものへの制裁せいさいを提案ていあんするだろう。最大さいだいの責任せきにん者しゃはプーチン大統領だいとうりょう自身じしんだ」と非難ひなんし、外相がいしょう会議かいぎでは、制裁せいさいについても話し合はなしあわれるという見通みとおしを示しめしました。

ロシア大統領だいとうりょう府ふ「遺体いたいの返還へんかん 関与かんよしていない」

ロシア大統領だいとうりょう府ふのペスコフ報道ほうどう官かんは19日にち、死亡しぼうが発表はっぴょうされたナワリヌイ氏しについて、記者きしゃ団だんから遺族いぞくにいつ遺体いたいが返還へんかんされるのか質問しつもんされたのに対にたいし「われわれはこの問題もんだいに関与かんよしていない。これは政権せいけんの職務しょくむではない」と述のべました。

ナワリヌイ氏しの死因しいんについては「調査ちょうさが進すすめられていて、必要ひつようなあらゆる措置そちがとられている。結果けっかは公表こうひょうされておらず不明ふめいだ」としたうえで、欧米おうべい諸国しょこくからプーチン政権せいけんに対にたいする批判ひはんが高たかまっていることに対にたいし「粗暴そぼうな発言はつげんは絶対ぜったいに許ゆるさない」と反発はんぱつしました。

また、プーチン大統領だいとうりょうがナワリヌイ氏しの死亡しぼうについてどのような反応はんのうを示しめしたのか質問しつもんされたのに対にたいし「付け加つけくわえることは何なにもない」と述のべました。

プーチン政権せいけんを批判ひはんした人物じんぶつ これまでも殺害さつがいや不審ふしん死し

ロシアではこれまでもプーチン政権せいけんを厳きびしく批判ひはんしてきた人物じんぶつが殺害さつがいされたり、不審ふしんな死しをとげたりしています。

【2006年ねん】

プーチン政権せいけんに批判ひはん的てきな新聞しんぶん「ノーバヤ・ガゼータ」のアンナ・ポリトコフスカヤ記者きしゃがモスクワの自宅じたくアパートで銃じゅうで撃うたれて殺害さつがいされました。

ポリトコフスカヤ記者きしゃは、ロシア南部なんぶのチェチェン紛争ふんそうでロシア軍ぐんによる市民しみんへの拷問ごうもんや誘拐ゆうかいといった人権じんけん侵害しんがいが起おきていると報道ほうどうしていました。

事件じけんの実行じっこう犯はんは逮捕たいほされましたが、その後そのごも誰だれが指示しじしたのかなど全容ぜんようは解明かいめいされていません。

また同おなじ年とし、イギリスに亡命ぼうめいした治安ちあん機関きかんFSB＝連邦れんぽう保安庁ほあんちょうの元もと職員しょくいんアレクサンドル・リトビネンコ氏しが、亡命ぼうめい先さきのロンドンで体調たいちょう不良ふりょうを訴うったえて死亡しぼうしました。

リトビネンコ氏しの体内たいないからは猛毒もうどくの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつポロニウムが検出けんしゅつされたことから、毒どく

殺ころされたものとみられています。

【2015年ねん】

ロシアの野党やとう指導しどう者しゃボリス・ネムツォフ元もと第だい1副ふく首相しゅしょうがモスクワ中心ちゅうしん部ぶで銃じゅうで撃うたれて殺害さつがいされ、実行じっこう犯はんが殺人さつじんなどの罪つみに問とわれましたが、誰だれの指示しじだったのか動機どうきなどは分わかっていません。

【2023年ねん】

そして、ロシアで去年きょねん6月つき武装ぶそう反乱はんらんを起おこした民間みんかん軍事ぐんじ会社かいしゃワグネルの創設そうせつ者しゃプリゴジン氏しが乗のっていた自家用じかようジェット機じぇっときが8月つきに墜落ついらくし、プリゴジン氏しは死亡しぼうしました。

プーチン政権せいけん側がわは、ジェット機じぇっときの機内きないで手りゅう弾しゅりゅうだんが爆発ばくはつしたとしていますが詳細しょうさいは明あきらかにしていません。

いずれのケースについてもプーチン政権せいけんは関与かんよを否定ひていしていますが、アメリカなどは政権せいけん側がわが背後はいごにいるという見方みかたを示しめし非難ひなんしています。