米国務省“中国がロシアに軍事支援すれば米中関係に深刻な影響”
こうした中、アメリカ国務省でアジア政策を統括するクリテンブリンク国務次官補は22日、オンラインで記者会見し「われわれは、中国がウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに軍事支援を検討していることを深く懸念している」と述べました。
そして、中国がウクライナ情勢の政治的な解決に向けた文書を発表する考えを示していることを念頭に「中国は公の場では平和の支持者としてふるまおうとしている。しかし、陰ではロシアの残虐な軍事侵攻を支え続け、いまや軍事支援を行うかもしれないというところまで少しずつ近づいている」と述べ、強く批判しました。
その上で「われわれは、中国がロシアにウクライナで使用する殺傷能力がある兵器を供与したり、いわゆる“制裁逃れ”を支援したりすれば、米中関係に深刻な影響を及ぼすと明確に伝えた」と述べ、改めて警告しました。
ただ「バイデン政権は、機密解除に向けた作業を行っているものの、情報公開の時期などについて最終的な決定はしていない」と伝えています。 また、欧米の政府当局者の話として「中国は必ずしも最新の武器を供与するわけではなく、ロシア軍が戦場で消耗した弾薬や欧米の制裁で生産できなくなった電子機器などを補給する可能性がある」と伝えています。
プーチン大統領は「国家の安全と主権を守るカギは近代的で効率的な陸軍や海軍だ」と述べ、軍備の近代化や増強を進める考えを強調しました。 そのうえで「ことし、大陸間弾道ミサイル『サルマト』の実戦配備を行う。また極超音速ミサイル『キンジャール』の大量製造を継続していく。そして、海上発射型の極超音速ミサイル『ツィルコン』の大量供給を始める」と述べ、ロシア軍が保有する陸や海そして空軍の核戦力を増強していくと宣言しました。 プーチン大統領は21日に行った年次教書演説でも、ロシア軍の核戦力を誇示するとともにアメリカとの核軍縮条約「新START」の履行停止を表明したばかりで、ウクライナへの軍事支援を強めるアメリカなどをけん制するねらいとみられます。
冒頭、国連のグテーレス事務総長はロシアによる軍事侵攻について「国連憲章と国際法の違反だ。人道的にも人権的にも重大な結果をもたらした」と改めて非難したうえで「戦争は解決策ではない。真の平和は国連憲章と国際法に基づくものでなければならない」と訴えました。 欧米各国や日本などが共同提案した決議案は「武力による威嚇や武力行使による領土の獲得は合法と認められない」としたうえで「ウクライナにおける永続的な平和が可能な限り早期に実現される必要がある」と強調しています。 そして、ロシア軍に対し、即時かつ無条件の撤退を改めて求め、ウクライナの重要インフラ、学校や病院など民間施設への攻撃停止などを求めています。 緊急特別会合は2日間にわたって開かれ、あわせておよそ80か国が演説した後、日本時間のあす午前、決議案の採決が行われる予定で、欧米各国としては賛成多数で採択し、ロシアに圧力をかけたい考えです。
その上で、過去の採決でロシアに配慮し棄権にまわった国々を念頭に「さまざまな事情でウクライナ側に立てない国があることは理解している。それならば、国連憲章や国際法の側に立ってほしい。国連憲章を支持していることを言葉と行動で証明する時だ」と述べ、今回の決議案に賛成するよう呼びかけると、議場からは拍手が沸き起こりました。 また、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使も「われわれは歴史的な決議について話し合うために集まった。平和のため、国連憲章を支持するための採決だ」と訴えました。 一方、ロシアのネベンジャ国連大使は、軍事作戦を改めて正当化した上で「西側は新しい武器を供給することでウクライナ危機をあおっている。決議案は平和的な解決に貢献しない。『ロシアが世界で孤立している』と主張できるよう設計されている」と述べ、決議案には反対すべきだと主張しました。
そのうえで「こうした者たちに勝利が必ず訪れると確信している」と述べ、ロシアの軍事侵攻に屈しない姿勢を改めて強調しました。
また、滞在中は議長国のインドのほか中国やブラジルなど友好国との外相会談を調整しているということです。 ウクライナ情勢をめぐり欧米各国とロシアとの対立が一段と深まる中、ロシアとしては友好国との関係を強化することが一層重要となっていて、一連の会合でのラブロフ外相の発言も注目されます。
この中でプリゴジン氏は「ロシアの参謀総長と国防相が、ワグネルに弾薬を供給しないよう指示を出している」と述べたうえで「まさにワグネルを破壊しようとする試みだ。ワグネルがバフムトのために戦い、毎日、何百人もの戦闘員を失っている今、祖国への反逆にも等しい」と軍を非難しました。 これに対しロシア国防省は「弾薬の不足に関する発言は、まったく事実と異なる。こうした発言は敵を有利にするだけだ」とSNSで反論しました。 これに先立ちワグネルは、刑務所にいた受刑者を戦闘員として採用し、最前線に送り込んで存在感を誇示してきましたが、プリゴジン氏はこれを中止したと今月上旬、発表していて、ワグネルの影響力が低下しているという見方も出ています。 アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は今月9日の分析で「ロシア軍の指導部はワグネルへの依存から脱却しようとしている」としていて、ロシア軍とワグネルの確執が深まっているものとみられます。
また南部のへルソン州でも連日、ロシア側の砲撃が続き、地元の知事によりますと22日には市民2人が死亡したということです。
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