しかし、西山にしやまさんは原状げんじょう回復かいふくのための費用ひよう、400万まんドルを日本にっぽんが肩代かたがわりするという「密約みつやく」があったことをうかがわせる機密きみつ文書ぶんしょを入手にゅうしゅし、返還へんかん交渉こうしょうが大詰おおづめを迎むかえていた昭和しょうわ46年ねん6月つき、その内容ないようを報道ほうどうしました。

昭和しょうわ47年ねん3月つき、当時とうじの社会党しゃかいとうの議員ぎいんが国会こっかい審議しんぎの中なかでこの文書ぶんしょのコピーを示しめします。

政府せいふは「密約みつやく」の存在そんざいを否定ひていする一方いっぽうで文書ぶんしょが漏ろうえいしたことを問題もんだい視し。

西山にしやまさんは外務省がいむしょうの女性じょせい職員しょくいんをそそのかし、違法いほうに機密きみつ文書ぶんしょを入手にゅうしゅしたとして国家こっか公務員こうむいん法ほう違反いはんの罪つみで逮捕たいほ・起訴きそされました。

1審しんは「取材しゅざいの目的もくてきは正当せいとうだった」として無罪むざいを言い渡いいわたしましたが、2審しんでは一転いってんして有罪ゆうざいとなり、その後そのご、最高さいこう裁判所さいばんしょで有罪ゆうざいが確定かくていしました。

日本にっぽん政府せいふが密約みつやくの存在そんざいを否定ひていする中なか、平成へいせい12年ねん以降いこうアメリカで密約みつやくの存在そんざいをうかがわせる公文こうぶん書しょが相次あいついで公開こうかいされます。

西山にしやまさんは「密約みつやくを隠かくすための不当ふとうな起訴きそだった」として国くにに賠償ばいしょうと謝罪しゃざいを求もとめる訴うったえを起おこしたほか、ジャーナリストや大学だいがく教授きょうじゅとともに文書ぶんしょの公開こうかいを求もとめる裁判さいばんも起おこしました。

このうち文書ぶんしょの公開こうかいを求もとめた裁判さいばんは1審しんは国くにに公開こうかいを命めいじましたが、2審しんは「すでに廃棄はいきされた可能かのう性せいが高たかい」として訴うったえを退しりぞけ、最高さいこう裁判所さいばんしょも上告じょうこくを退しりぞけたため敗訴はいそが確定かくていしました。

また賠償ばいしょうと謝罪しゃざいを求もとめた裁判さいばんは「訴うったえを起おこせる期間きかんは過すぎている」として敗訴はいそが確定かくていしています。

一方いっぽう、平成へいせい21年ねんの政権せいけん交代こうたいで誕生たんじょうした鳩山はとやま政権せいけんは外務省がいむしょうに「密約みつやく」についての調査ちょうさを命めいじ、外務省がいむしょうはアメリカで公開こうかいされた文書ぶんしょについて「作成さくせいされたかどうか確認かくにんできなかった」としました。

外務省がいむしょうの調査ちょうさをもとに密約みつやく問題もんだいを検証けんしょうした有識者ゆうしきしゃ委員いいん会かいは、関連かんれん文書ぶんしょから、アメリカ側がわが原状げんじょう回復かいふく費用ひようを支払しはらう形かたちをとりながら、実際じっさいには日本にっぽん側がわがその財源ざいげんを負担ふたんする了解りょうかいがあったという交渉こうしょうの経緯けいいは明あきらかだとして、広ひろい意味いみでの「密約みつやく」はあったという報告ほうこく書しょをまとめています。