16:30すぎ 会見終了
黒田総裁の任期は4月8日までです。後任の植田和男氏は翌9日に就任し、戦後初の学者出身の総裁が誕生します。
「金融政策を運営する技術は一定ではない。ただ、経済学の知識とか、経済学の内容をよく知ってるということはやはり不可欠だと思う。そういう意味で、植田先生はまさに、著名な経済学者で、しかも日銀の政策委員も務められ、最適の方だと思う」と述べました。
これについて黒田総裁は「今申し上げるのもちょっとどうかと思うが、あのピーターパンの話は私が思いついたわけではなく、スタッフの方が思いついて、入れていただいたので、私はそういうことに詳しいわけではない」と述べました。 その上で「金融政策について、やはり何を目的にしているかということを明確にしていくことが必要だ。2%の物価安定の目標の実現を目指して、やれることは何でもやる。強いコミットメント、決意を示すことは必要なことだと思っている」と述べました。
その上で「過去10年の間にやれることはすべてやったかのかどうか聞かれれば、やれること、やれないことは具体的に政策委員会で議論して決める。議長の私の提案を基本的に賛成していただいたので、私としてやるべきことはやったと思っている」と述べました。
その上で「いわゆる副作用と言われるものについてもさまざまな対応をとっているし、その副作用の面よりも金融緩和の経済に対するプラスの効果がはるかに大きいと思っている」と述べました。
その上で、日本に染みついていた物価や賃金は上がらないという根強い考え方について「この春期の労使交渉ではこれまでとは違う声が聞かれ始めており前向きな動きとなることを期待している」と述べました。
黒田総裁は、いつもどおり、10日の決定内容の説明をはじめ「本日の決定会合では長短金利操作、いわゆるイールドカーブコントロールのもとでの金融市場調節方針について現状維持とすることを全員一致で決めました」と述べました。
金融政策決定会合のあと、毎回開かれています。 会見では、まず黒田総裁が会合での決定事項を説明。 その後、記者からの質問に答えます。
「黒田バズーカ」とも呼ばれた大規模な金融緩和で、当時の歴史的な円高は修正され株高が進みました。
そしてこの年の9月には短期金利をマイナスにし、長期金利をゼロ%程度に抑える世界的にも異例な金融緩和策を新たに導入しました。 この結果、日本経済はデフレではない状況となりましたが賃金上昇をともなった2%の物価安定の目標を達成できないまま緩和策が長期化し、これが去年の急激な円安と物価高の一因になったとも指摘されています。 最近では、エネルギー価格の上昇や円安によって日銀が望まない形で消費者物価の上昇率は4%を上回る水準まで上昇しています。 また、大量に国債を買い入れたことで債券市場の機能が低下するといった副作用も次第に問題視されるようになっています。
就任直後の2013年4月、黒田総裁はデフレから脱却するため2%程度、物価が上昇しながら成長する経済を2年程度で実現することを目標に掲げ、大規模な金融緩和策を打ち出しました。
こうした中、黒田総裁は、2015年6月に日銀の金融研究所が主催する国際会議で講演し、ピーターパンの物語から「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」という言葉を引用して「大切なことは、前向きな姿勢と確信です」と訴えました。 物価はあがると人々が予想するように、強力に金融緩和を続けることが物価上昇につながっていく、という黒田総裁の考えが示されたもので、当時は「ピーターパン発言」とも呼ばれ市場関係者などの間で話題になりました。 異例の金融政策を次々と打ち出した黒田総裁は「金融政策に限界はない」と繰り返し発言しています。 日銀は2016年9月に短期金利をマイナスにし、長期金利をゼロ%程度に抑える今の金融政策の枠組みを導入しましたが、その直後に講演した黒田総裁は、小説「赤毛のアン」の主人公、アンが語った「これから発見することがたくさんあるってすてきだと思わない?」ということばを引用し、「日々新しい解決策や政策ツールを見つけ出そうと努力している中央銀行職員やエコノミストに大きな励ましとして心に響く」とも発言しています。
「実は私も法学部 すべての中央銀行総裁が経済学者ではない」
「デフレで定着した考え方や慣行が根強く予想した以上だった」
資産の買い入れ「負の遺産だと思っていない」
「ピーターパンには詳しいわけではない」
植田氏の所信聴取などでの発言受け「適切な政策運営を期待」
「金利曲線の形状はゆがみが解消するには至っていない」
「過去10年間の間に私としてやるべきことはやった」
「3本の矢でアベノミクスを進めたこと自体は正しかった」
出口戦略のあり方は「新しい総裁のもとで」
「金融緩和は成功だった」
「副作用の面より経済に対するプラスの効果が大きい」
「就職氷河期解消は金融政策の効果」
2%目標いたらず「残念」
「緩和続け賃上げ環境整備が重要」
「植田新総裁の手腕を期待」
15:30 会見始まる
まもなく会見
“黒田バズーカ”と呼ばれた金融緩和
ピーターパンの物語から引用した言葉が話題に