パンや麺類めんるいを直撃ちょくげき 輸入ゆにゅう小麦こむぎの価格かかく 過去かこ最高さいこうに 今後こんごの見通みとおしは

輸入ゆにゅう小麦こむぎを使つかっているこの店舗てんぽでは企業きぎょう努力どりょくだけでは限界げんかいがあるとして、去年きょねん3月つきに平均へいきんで10円えんから20円えんの値上ねあげに踏み切ふみきりました。

売り渡うりわたし価格かかくの引き上ひきあげで今後こんご小麦粉こむぎこの価格かかくが上昇じょうしょうすれば、さらなる値上ねあげも検討けんとうせざるをえないということですが、うどんが生活せいかつの一部いちぶにもなっている客きゃくのことを考かんがえると、大幅おおはばな値上ねあげは難むずかしいといいます。

さぬき麺めん業ぎょうの香川かがわ政明まさあき社長しゃちょうは「うどんの値上ねあげも検討けんとうせざるをえないが、コストアップ分ぶんをすべて価格かかく転嫁てんかすることは非常ひじょうに難むずかしく、うどんをゆでる釜かまの火ひをこまめに消けすなどの工夫くふうをして、お客おきゃくさんへの負担ふたんができるだけ少すくない価格かかくにしたい」と話はなしていました。

うどんの価格かかくを2回かいにわたりそれぞれ最大さいだいで50円えん程度ていど値上ねあげしましたが赤字あかじ経営けいえいは続つづきました。価格かかく高騰こうとうが今後こんご落ち着おちついていく見通みとおしはたたないうえ、客きゃくの半分はんぶん近ちかくを学生がくせいが占しめていることなどを考かんがえるとこれ以上いじょうの大幅おおはばな価格かかく転嫁てんかはできないと考かんがえ、今月こんげつ末まつで廃業はいぎょうすることを決断けつだんしました。

「物価ぶっか高だかがなければもう少もうすこしうまくいけたのかなと思おもうととても残念ざんねんだしお得意とくい様さまにも申し訳もうしわけないが、引き際ひきぎわも大事だいじだと思おもうしかない」

直近ちょっきん1年間ねんかんの買い付かいつけ価格かかくで算定さんていした場合ばあい、1トンあたりの売り渡うりわたし価格かかくは8万まん2060円えん、値上ねあげ幅はばは13.1％となりますが、ウクライナ侵攻しんこうなどによる価格かかく高騰こうとうの影響えいきょうが大おおきかった期間きかんを除のぞき、直近ちょっきん半年はんとし間かんで算定さんていすることで値上ねあげ幅はばを抑おさえることにしました。

ただ値上ねあげ幅はばを抑おさえた分ぶんは国くにが負担ふたんする形かたちとなり、その額がくはおよそ100億おく円えんに上のぼるということです。輸入ゆにゅう小麦こむぎの売り渡うりわたし価格かかくは、今いまの制度せいどとなってから過去かこ最高さいこうになり、今後こんご、パンやめんといった小麦粉こむぎこを原材料げんざいりょうとする製品せいひんのさらなる値上ねあがりにつながることが予想よそうされます。

Q.小麦こむぎの国際こくさい相場そうばの今後こんごの見通みとおしは？

A.長期ちょうき化かするウクライナ侵攻しんこうの今後こんごの展開てんかい次第しだいでまだまだ市場しじょうが不安定ふあんてい化かする可能かのう性せいがあると思おもっている。小麦こむぎの生産せいさん国こくであるウクライナからの輸出ゆしゅつが今後こんごも順調じゅんちょうに継続けいぞくされるかや、主おもな産地さんちのアメリカでは干かんばつの傾向けいこうとなっていたが、4月つき以降いこうの天候てんこうがどうなるのか懸念けねんもある。このほかにコロナ禍かで落ち込おちこんだ経済けいざい活動かつどうの正常せいじょう化かによる輸送ゆそうコストの上昇じょうしょうなどもあって、引き続ひきつづき高こう止とまりすると見みている。

Q.今回こんかい、政府せいふが負担ふたん軽減けいげん策さくとして売り渡うりわたし価格かかくの値上ねあげ幅はばを抑制よくせいしたことをどう思おもうか？

A.食品しょくひんの値上ねあげラッシュが続つづく中なかで、多おおくの食品しょくひんの原材料げんざいりょうとなる小麦こむぎの値上ねあげがさらに行おこなわれると影響えいきょうは大おおきいのでやむをえない部分ぶぶんもある。ただ、一時いちじ的てきに価格かかくを抑おさえるのは根本こんぽん的てきな解決かいけつにはならないのではないか。そもそも今いままでの「安やすければ安やすいほどいい」という考え方かんがえかたや、国内こくない消費しょうひのほとんどを輸入ゆにゅう小麦こむぎが占しめている現状げんじょうのままでよいのかという話はなしもある。食料しょくりょう安全あんぜん保障ほしょうの観点かんてんからも国産こくさん小麦こむぎの生産せいさんを拡大かくだいし、適正てきせいな価格かかくで消費しょうひ者しゃが購入こうにゅうするような取り組とりくみにも力ちからを入いれていかなければならない。今いまこそ、国内こくない農業のうぎょうの振興しんこうに焦点しょうてんをあてる必要ひつようがある。

なかでも牛肉ぎゅうにくをふんだんに使つかったカレーパンは、油あぶらや牛肉ぎゅうにくなどの価格かかく高騰こうとうもあり、2021年ねん12月つきまでの税込ぜいこみ194円えんから、現在げんざいは248円えんに値上ねあがりしています。小麦こむぎの売り渡うりわたし価格かかくが値上ねあがりすれば、この店みせの仕入しいれ価格かかくも上昇じょうしょうするとみられ、店みせでは値上ねあげを検討けんとうしています。

しかし、生活せいかつに身近みぢかな商品しょうひんだけに、これ以上いじょう値上ねあげすれば客きゃく離ばなれにもつながりかねないと懸念けねんしています。

「小麦粉こむぎこは一番いちばん使つかう材料ざいりょうなので、上あがってしまうのは非常ひじょうに痛いたいです。なるべく値上ねあげ幅はばを小ちいさくするなどの努力どりょくをした上うえで、新しん商品しょうひんなどを提供ていきょうすることでお客おきゃくにサービスとして還元かんげんしていきたい」

山形やまがた県内けんないではラーメンを提供ていきょうするそば店てんが多おおく創業そうぎょう180年ねんとなる天童てんどう市しの老舗しにせそば店てんでは多おおいときで1日にち1000食しょく程度ていどのラーメンを提供ていきょうしています。平均へいきんで1日にちあたりおよそ30キロの輸入ゆにゅう小麦こむぎを使つかっているということで、売り渡うりわたし価格かかくが引き上ひきあげられるたびに経営けいえいが圧迫あっぱくされ、2021年ねん10月つきには50円えん値上ねあげしました。

来月らいげつ以降いこう、輸入ゆにゅう小麦こむぎの売り渡うりわたし価格かかくが引き上ひきあげられることで、ラーメンの価格かかくをさらに20円えんから30円えん程度ていど、値上ねあげせざるをえないということです。

この会社かいしゃが運営うんえいする大阪おおさか・天王寺てんのうじ区くにあるお好み焼おこのみやき店てんでは、メニューのおよそ8割わりに小麦粉こむぎこが使つかわれていて、休日きゅうじつでは1日にちあたり10キロ以上いじょうのお好み焼おこのみやき粉こを使つかうといいます。

この店みせでは、去年きょねん4月つき、「豚ぶた玉だま」をはじめ、主力しゅりょく商品しょうひんの多おおくを値上ねあげしましたが、油あぶらや卵たまごなどの仕入しいれ価格かかくに加くわえ光熱こうねつ費ひや人件じんけん費ひも上昇じょうしょうしていることから、ことしの春はるにもさらなる値上ねあげを検討けんとうしています。こうした中なか、輸入ゆにゅう小麦こむぎの売り渡うりわたし価格かかくが引き上ひきあげられることで、お好み焼おこのみやき粉こやめんなどの仕入しいれ価格かかくも上あがれば、経営けいえいにさらに打撃だげきになると懸念けねんしています。

「売り上うりあげはコロナ禍か前まえに戻もどりつつあるが、同おなじ水準すいじゅんまで回復かいふくしたとしても、コストが上昇じょうしょうした分ぶん、しっかりとした利益りえきを出だせない状況じょうきょうだ。今後こんごを見据みすえて、価格かかくや商品しょうひん内容ないようを考かんがえていきたい」

売り渡うりわたし価格かかくは、2007年ねん4月つきから政府せいふが買い付かいつけた価格かかくを反映はんえいして決きめる今いまの制度せいどとなり、4月つきと10月つきの半年はんとしごとに見直みなおしが行おこなわれます。これまでで最もっとも高たかかったのは、2008年ねん10月つきから半年はんとし間かんの価格かかくで、世界せかい的てきな天候てんこう不良ふりょうで小麦こむぎの供給きょうきゅう量りょうが減へったことなどから、1トンあたり7万まん6030円えんとなりました。

その後そのごは、5万まん円えんから6万まん円えん程度ていどで推移すいいしていましたが、主おもな産地さんちである北米ほくべいでの不作ふさくや、小麦こむぎの輸出ゆしゅつ国こくであるウクライナで情勢じょうせいが緊迫きんぱく化かし、供給きょうきゅう不安ふあんが広ひろがったことなどから、去年きょねん4月つきには再ふたたび7万まん円えん台だいを突破とっぱし、1トンあたり7万まん2530円えんとなりました。

その後そのごもロシアによるウクライナ侵攻しんこうで小麦こむぎの買い付かいつけ価格かかくが高騰こうとうしたことから、政府せいふは食料しょくりょう価格かかくの値上ねあがりを抑おさえるため、去年きょねん10月つきの見直みなおしを行おこなわず、売り渡うりわたし価格かかくを据え置すえおきました。

そして今回こんかい、政府せいふは岸田きしだ総理そうり大臣だいじんの指示しじも踏ふまえ、価格かかく高騰こうとうの影響えいきょうが大おおきかった期間きかんを除のぞき、直近ちょっきん半年はんとし間かんで売り渡うりわたし価格かかくを算定さんていし、値上ねあげ幅はばを半分はんぶん以下いかに抑おさえることにしました。

農林水産省のうりんすいさんしょうは、今後こんごの売り渡うりわたし価格かかくの決め方きめかたについて、国際こくさい市場しじょうや為替かわせの動向どうこうを踏ふまえて判断はんだんするとしていますが、値上ねあげ幅はばの抑制よくせいには財政ざいせい負担ふたんも伴ともなうことから、国民こくみん生活せいかつへの影響えいきょうといかにバランスを取とるかが課題かだいになっています。