現地の航空当局などは、墜落した旅客機の飛行状況を記録した「フライトレコーダー」と、操縦室内の音声を記録した「ボイスレコーダー」を回収するなどして事故原因の調査を進めていますが、これまでのところ、墜落の前、パイロットが管制官との交信で、問題が生じたため、引き返すと伝えていたこと以外、詳しいことは明らかになっていません。
こうした中、今回墜落した「ボーイング737MAX8」と同じ型の機体が去年10月、インドネシアでも墜落し、乗客乗員189人が死亡していたことから、安全性への懸念が出ています。
このうち、中国の航空当局は11日、2つの事故に一定の類似性があるとして、国内の航空各社に一時的に同型機の運航の停止を求める通知を出したほか、インドネシアやエチオピア、それに南アフリカでも運航を停止する動きが出ていて、波紋が広がっています。
国連では半旗も
墜落した旅客機の犠牲者の中に、多くの国連機関の職員が含まれていたことを受けて、国連は、ニューヨークの国連本部に国連旗の半旗を掲げて犠牲者を追悼しました。
国連によりますと、墜落事故で死亡した国連機関の職員は合わせて21人で、WFP=世界食糧計画が7人、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所とUNON=国連ナイロビ事務所がそれぞれ3人、ITU=国際電気通信連合が2人、このほか、世界銀行、FAO=国連食糧農業機関、IOM=国際移住機関、UNDP=国連開発計画、UNEP=国連環境計画、それにUNSOM=国連ソマリア支援ミッションがそれぞれ1人と数多くの機関に及んでいます。
ニューヨークの国連本部では11日、各国の政府やNGOの担当者が出席して女性の地位向上について話し合う国際会議が始まり、開幕式でグテーレス事務総長は、沈痛な表情で国連職員の犠牲者に哀悼のことばを述べました。
この中で、グテーレス事務総長は「悲劇が国連を襲い、国連は悲しみを共有している。彼らには1つの共通点があった。それは世界の人々のために働き、世界をよりよくしたいという気概だ。この重要な会議を開くにあたってこの精神を受け継ぎ、彼らをたたえよう」と述べました。
ボーイング株は下落
今回の事故を受けて、週明け11日のニューヨーク株式市場では、今後、受注の減少など、何らかの影響は避けられないという見方から、ボーイングの株価は、先週末に比べて一時13%近く下落するなど、大きく値下がりしました。
週明けのニューヨーク株式市場では、ボーイングの株価が取り引き開始直後に13%近く下落するなど、売り注文が集まり、結局、先週末に比べてマイナス5.4%と大きく値下がりしました。
これは、事故を受けて、中国やインドネシアで同型機の運航を停止する動きが出ているほか、今月13日に予定していた新型機の発表も延期したことで、市場では今後、受注の減少など何らかの影響は避けられないという見方が広がったためです。
一方、ボーイングも構成する銘柄の一つとなっているダウ平均株価は、取り引き開始直後は下落しましたが、先週まで5日続けて値下がりしていたこともあって、ボーイング以外の銘柄で買い戻す動きが強まり、11日の終値は、先週末に比べて200ドル64セント高い、2万5650ドル88セントで取り引きを終えています。
米大統領補佐官「調査に協力」
アメリカのボルトン大統領補佐官は11日、ツイッターに文章を投稿し、「あまりに多くの命を奪った悲劇に触れ私たちは深い悲しみを感じている」として哀悼の意を示しました。そのうえで「アメリカは緊密なパートナーであるエチオピアの調査を支援している」として事故の調査に協力する考えを示しました。