新しん元号げんごう「令りょう和わ」 典拠てんきょの万葉集まんようしゅう序文じょぶんは「宴席えんせきの情景じょうけいを説明せつめい」

典拠てんきょされた序文じょぶんは「春はるの初はじめの良よい月つきにさわやかな風かぜが柔やわらかく吹ふいている。その中なかで、梅うめの花はなが美うつくしい女性じょせいが鏡かがみの前まえでおしろいをつけているかのように白しろく美うつくしく咲さき、宴席えんせきは高貴こうきな人ひとが身みにつける香かおり袋ぶくろの香かおりのように薫かおっている」という意味いみだということです。

歌人かじん 岡野おかの弘彦ひろひこさん「初春しょしゅんのさわやかさ伝つたえている」

昭和しょうわ天皇てんのうや皇太后こうたいごうさまから和歌わかの相談そうだんにものった歌人かじんの岡野おかの弘彦ひろひこさんによりますと、新しん元号げんごう『令りょう和わ』の典拠てんきょとなった万葉集まんようしゅうの序文じょぶんは太宰府だざいふに派遣はけんされていた大伴おおとも旅人たびびとの家いえで正月しょうがつに宴会えんかいが開ひらかれ、32首しゅのうたが詠よまれた時ときの状況じょうきょうが説明せつめいされたものだということです。

序文じょぶんの内容ないようは「正月しょうがつの気分きぶんを表あらわしたもので、『初春しょしゅんの月つきはすがすがしく、空気くうきは快こころよい。風かぜはやわらかい。梅うめの花はなは、鏡かがみの前まえのおしろいのように白しろい花はなを開ひらいていて、らんの花はなは、後うしろにかぐわしい香かおりを漂ただよわせている』という、初春しょしゅんのさわやかさを伝つたえている」ということです。

岡野おかのさんは「万葉集まんようしゅうのうたは、やまとことばで書かかれているが、元号げんごうがやまとことばだと、長ながくなるので、漢文かんぶん風ふうの文章ぶんしょうで書かかれた序文じょぶんから引用いんようしたことに今回こんかいの特色とくしょくがあるのだと思おもいます」と話はなしています。

専門せんもん家か「今回こんかいの元号げんごう選定せんてい 大変たいへん意義いぎ深ふかい」

日本にっぽんの古典こてんに詳くわしい、国学院こくがくいん大学だいがくの中村なかむら啓あきら信しん名誉めいよ教授きょうじゅは「令りょうの字じは画数かくすうが少すくなく良よい意味いみが込こめられているが、あまりなじみのない言葉ことばなので国民こくみんに親したしまれて浸透しんとうしていくことを願ねがう。元号げんごうは将来しょうらい的てきには広ひろく使つかわれている国語こくごから選えらばれるべきだと思おもうので、今回こんかいの選定せんていはその第一歩だいいっぽとして大変たいへん意義いぎ深ふかい」と話はなしていました。