科学界はおよそ50年にわたり、重要な問題に取り組んできました。宇宙空間で目に見える物質が足りないという問題でした。
米航空宇宙局(NASA)によると、恒星、惑星、宇宙の塵(ちり)、その間に存在する物体など、目に見える物質だけでは宇宙の仕組みは解明できず、その5倍の物質がなければ観測結果の筋が通りません。科学者はこれをダークマター(暗黒物質)と呼びます。光の反応がなく、目には見えないというのがその理由です。
1970年代、米天文学者のベラ・ルービンとW・ケント・フォードは渦巻銀河の周縁部を周回する恒星を観測して、ダークマターの存在を確認しました。こうした恒星は非常に高速で動いているにもかかわらず、まとまりを失うことはありません。目に見える物質や重力だけでは説明のつかない現象でした。膨大な量の見えない物質が存在していて、銀河をつなぎとめているとしか考えられませんでした。