フライト中断ちゅうだんの旅客機りょかくき、パイロットが与圧よあつミスに気付きづかず　英当局調査えいとうきょくちょうさ

英国えいこくを出発しゅっぱつしたＴＵＩエアウェイズの旅客機りょかくきが昨年さくねん、フライトを中断ちゅうだんして引ひき返かえした問題もんだいで、航空当局こうくうとうきょくの調査ちょうさの結果けっか、技術的ぎじゅつてきミスが原因げんいんで機内きないが与圧よあつされていなかったことが判明はんめいした。

問題もんだいの機体きたいは英えいマンチェスターからギリシャのコス島とうに向むかっていたＴＵＩエアウェイズのボーイング７３７－８Ｋ５型機がたき。公式報告書こうしきほうこくしょによると、搭乗者とうじょうしゃ１９３人にんは「低酸素症ていさんそしょうのリスクにさらされていた」ことが明あきらかになった。

同機どうきが昨年さくねん１０月がつ１７日にち、イングランド東部とうぶリンカンシャー州しゅうの上空じょうくうを飛行ひこうしていたところ、客室与圧異常警報きゃくしつよあついじょうけいほうシステムが作動さどうした。

マンチェスターに引ひき返かえした同機どうきに負傷者ふしょうしゃは出でなかったものの、英航空事故調査局えいこうくうじこちょうさきょく（ＡＡＩＢ）の報告書ほうこくしょでは、搭乗者とうじょうしゃは酸素濃度低下さんそのうどていかの危険きけんにさらされていた可能性かのうせいが高たかいと指摘してきされている。

調査ちょうさの結果けっか、機内きないの与圧よあつを制御せいぎょする「抽気ちゅうきスイッチ」について、離陸前りりくまえに行おこなわれた空調くうちょうシステムのメンテナンス作業中さぎょうちゅうにオフにされていたことが判明はんめいした。このミスはフライト前まえの安全点検あんぜんてんけんで乗員じょういんに見過みすごされていた。

パイロットも離陸前後りりくぜんごの点検てんけんで見過みすごしに気きづかなかったという。

ミス判明後はんめいごにパイロットがスイッチを元もとの位置いちに戻もどしたものの、報告書ほうこくしょによると、乗員じょういんは緊急対応きんきゅうたいおうハンドブックに記載きさいされた酸素さんそマスク着用ちゃくようなどの対応たいおうを取とらなかった。

報告書ほうこくしょからは、パイロットはスイッチをオンに戻もどしただけで十分じゅうぶんで、それ以外いがいの措置そちを取とるのは「不釣ふつり合あい」だと考かんがえていたことがうかがえる。

スイッチが元もとの位置いちに戻もどされた後あと、機体きたいは上昇じょうしょうを続つづけたが、警報けいほうは４３分間ぷんかんにわたって鳴なり続つづけ、マンチェスター空港くうこうのメンテナンスチームに相談そうだんする対応たいおうが取とられた。その後ご、機長きちょうがマンチェスターに引ひき返かえす決断けつだんを下くだした。

低酸素脳症ていさんそのうしょうは脳のうから酸素さんそが奪うばわれた状態じょうたいを指さし、航空機こうくうきの高度こうどが高たかくなりすぎたり、客室きゃくしつの与圧よあつが失うしなわれたりする場合ばあいに起おきる。一酸化炭素中毒いっさんかたんそちゅうどくや、火災かさいの煙けむりを吸すい込こみすぎた結果発生けっかはっせいする場合ばあいもある。