文章に添えるイラストを、インターネットで探した経験がある皆さん。
それ、使っても大丈夫なイラストですか?本当に、無料ですか?
「イラスト」「無料」と検索して…
おととし3月、福島県南相馬市に届いた1通の郵便。
差出人は大阪府のイラスト制作者の代理人を名乗る弁護士でした。
書かれていたのは、広報紙に掲載されているイラストが無断使用にあたるのではないかというもの。
市にとっては、寝耳に水の連絡でした。
かつて発行した、生涯学習センターの広報紙。
地域で実施したテニスの催しに関する文章にあわせて、ラケットなどが描かれた二点のイラストを掲載していました。
これが、有料だというのです。当時の状況を調べたところ、担当の職員はこう答えました。
「インターネットで『テニス』『イラスト』『無料』などと検索して出てきたイラストを使用した。無料だと思っていた」
市はその後提訴され、去年25万円の損害賠償金を支払うことで和解しました。
当時の詳しい状況は分からないままでしたが、市は利用規約を確認するなどの基本的な対応ができていなかったとしています。
南相馬市教育委員会 生涯学習課 鈴木隆一 課長
「無料と検索して出てきたものなので、すべて使ってもいいという認識でいたのだろうと考えています。われわれ自身の著作権に関する理解が浅かったと思います」
市ではその後、全職員を対象にした著作権に関する研修などを行い、再発防止に取り組んでいます。
100万円以上 賠償のケースも
広報誌や学校だよりなどで使用したイラストが「無断使用」にあたるとして、著作権者から損害賠償金などを請求されるケースは全国各地の自治体で相次いでいます。
山梨県富士川町は、広報誌やチラシに掲載した人物のイラストなど4点が無断使用だったとして、ことし5月、著作権者らに111万5380円の解決金を支払ったことを明らかにしました。当時担当した職員はインターネット上で見つけたイラストを無料で使えるものだと認識し使用していたということです。
また、山梨県昭和町では広報誌に掲載したイラストが無断使用だったと、ことし6月に明らかにし、443万5200円を損害賠償金として支払いました。このイラストはかつて町が発行した都市計画の冊子で、著作権者の許可を得て使用していたものでしたが、二次使用については許可を得ていませんでした。
このほか取材した多くの自治体は「インターネットで『無料』『イラスト』などと検索して、出てきた画像を使ったとみられる」「無料で使用できる“フリー画像”と勘違いしてしまった」と話していました。
悪質な無断使用も イラストレーターは…
無断使用は自治体だけにとどまらず企業や個人でも相次いでいて、中には勝手に商品化するなどの悪質なケースもあります。
都内に住むイラストレーターの女性は3年前、別のイラストレーターから「あなたのイラストが洋服になって海外の通販サイトで販売されている」と連絡を受けました。
女性がそのサイトを見ると、自分のイラストがシャツや水着などにされ販売されていました。許可した覚えの全くない商品でした。
女性はSNSに自分の作品や日々の出来事を投稿していて、調べてみるとそこから