気象庁の発表を受けた各地の対応・動きをお伝えしています。
「南海トラフ地震臨時情報」注意が必要な地域は
南海トラフで起きる最大クラスの巨大地震について、国は想定される震源域を東海から九州にかけてのエリアとしています。しかし、地震による激しい揺れや大津波などによる被害は、さらに広い関東から沖縄県にかけての地域に及ぶおそれがあると想定しています。
国は南海トラフ巨大地震で、震度6弱以上の激しい揺れや高さ3メートル以上の津波のおそれなどがある茨城県から沖縄県にかけて、内陸の地域を含む29の都府県、707市町村を防災対策の推進地域に指定しています。
今回の地震を受けて気象庁はこれらの地域では地震への備えを改めて確認してほしいと呼びかけています。
【対象市町村がある地域】
▼沖縄県▼鹿児島県▼宮崎県(全域)▼大分県▼熊本県▼福岡県
▼高知県(全域)▼愛媛県(全域)▼香川県(全域)▼徳島県(全域)
▼山口県▼広島県▼岡山県
▼和歌山県(全域)▼奈良県(全域)▼兵庫県▼大阪府▼京都府▼滋賀県(全域)
▼三重県(全域)▼愛知県(全域)▼静岡県(全域)▼岐阜県
▼長野県▼山梨県▼神奈川県▼東京都▼千葉県▼茨城県
《総務省消防庁》沖縄~関東の自治体に通知
総務省消防庁は沖縄から関東にかけての自治体に通知を出し、地域住民に対して、今後1週間程度はふだんより後発地震が発生する可能性が高まっていることを迅速に伝えるとともに、避難態勢の準備などを呼びかけるよう求めています。防災対策の推進地域は、南海トラフ巨大地震で震度6弱以上の揺れが想定される地域や3メートル以上の津波が想定さるものの堤防が低い地域などで、2014年3月の時点で全国の1都2府26県の707市町村が指定されています。
《原子力規制委》原子力施設の情報収集強化
原子力規制委員会は、事務局の原子力規制庁に対し、原子力施設についての情報収集を強化するよう求めました。また、全国の原子力発電所を管理する事業者に対して、改めて巨大地震や津波への備えがとられているかを確認するよう、呼びかけました。
《宮崎県》
【日南市】
震度6弱を観測した宮崎県日南市は避難所を開設しました。
日南市によりますと市が指定する避難所29か所のうち、午前0時までに27か所を開設していてこのうち6か所に14世帯24人が避難しているということです。
一方、地震の影響で2か所が開設できず、このうち、
▽吾田地区の多目的体育館は天井の一部が崩れて使用できず、
▽鵜戸地区の旧鵜戸小学校は近くの道路が落石による通行止めとなり、開設ができないということです。
【宮崎市】
震度5強を観測した宮崎市は、今後1週間、市のホームページやSNSを通じて市民に地震への備えを再確認するよう呼びかけることにしています。また、避難所に指定されている場所に住民が来たり電話で問い合わせがあったりした場合は、順次、避難所を開設していくということです。
今回の地震を受けて宮崎市内にすでに開設されている避難所には8日午後8時半時点で、55人が避難しているということです。
《高知県》
高知県は災害対策本部を立ち上げ、8日午後8時から「災害対策本部会議」を開きました。
この中で浜田知事は、各部局に対し「地震が発生する可能性が平時より高まっていることを前提に、各部局で応急対策の準備をしてもらいたい。県民に対し、避難の準備や家具の転倒防止などの注意喚起をしっかりと行ってもらいたい」と指示しました。
また県民に対し「今後1週間から2週間程度は、通常の生活を送りながら避難経路の確認や家具の固定など、次の地震への備えを再確認してほしい。また非常持ち出し袋を準備するなど大きな揺れを感じたらすぐに避難できるよう備えてもらいたい」と注意を呼びかけました。
会議のあと、浜田知事は記者団に対し「あすと言わずきょうも大きな地震が起きる可能性がある。しかし、いたずらに混乱するのではなく、通常の生活を送りながら冷静な対応をお願いしたい」と述べました。
高知県内では避難所を開設する自治体が相次いでいます。
高知県によりますと、8日午後11時の時点で、
▽南国市が16か所、
▽四万十市が12か所、
▽高知市が1か所、
▽室戸市が1か所、
▽黒潮町が22か所、
▽四万十町が5か所、
▽佐川町が1か所、
▽三原村が14か所、
▽馬路村が2か所、
それぞれ避難所を開設していて、県内であわせて39人が避難しているということです。
【高知市】
高知市が開設した避難所には多くの人が自主的に避難しています。
家族で避難した20代の女性は「子どもが小さいうえ、自宅も津波の浸水想定区域にあるので、不安に思って避難しました。子どもを抱えて逃げ切れるか心配ですが、今夜は安心して寝たいと思います」と話していました。
【黒潮町】
高知県黒潮町は「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)が発表されたことを受けて、町内全域に高齢者等避難を発表しました。
《愛媛県》
愛媛県は午後8時すぎから災害警戒本部会議を開き、防災局をはじめとする関係部局間で情報収集や連絡体制をとり、今後の地震発生に備えていくことなどを確認しました。また県民に対し、冷静に行動するよう呼びかけているほか、▽避難経路の確認や▽家族との安否確認の方法、▽家具の固定など安全対策を進めることも呼びかけています。一方、お盆期間中のイベントの開催については、主催者に対して開催の自粛は求めないとしています。
愛媛県の松田交志防災安全統括部長は会議の後「地震は、いつ起きるかわからないが県民の皆さんには備えを進めてもらいたい。関係機関と連携し、非常事態に対応できる体制を整えていきたい」と話していました。
《徳島県》
徳島県は午後7時20分ごろ会見を開き、危機管理部長をトップとする災害対策警戒本部を設置したとした上で、県の担当者が「南海トラフにおいて大きな地震が今後発生するおそれがふだんよりも高まっていると考えられる状態だ」と述べました。
そのうえで「県民のみなさまは、ふだんどおりの生活をしていただいてかまわないが、地震に注意しながら家具の固定や避難経路や避難場所を確認するなど、備えをしてほしい」と呼びかけました。その後、災害対策警戒本部は後藤田知事をトップとする災害対策本部に移行しました。
《東京都》
東京都は午後9時から都庁で災害対策本部会議を開きました。会議では「臨時情報」を受けて都庁が非常配備態勢をとったことなどが報告され、今後1週間程度、情報収集を継続する方針を確認しました。
そしてオンラインで出席した小池知事が、区市町村と連携して避難体制や備蓄などについて改めて確認していくことや、都民に対して情報を正確に発信することなどを指示しました。
会議のあと小池知事はコメントを発表し、南海トラフ地震が発生した場合、都内では最大震度6弱、島しょ地域には津波の到達の恐れがあるとして、都民に対し、
▽備蓄などの日頃の備えを再確認することや
▽島しょ地域ではすぐに避難できる準備、
▽それにテレビやラジオなどの情報に注意し、
身の安全が図れるよう落ち着いて行動することなどを呼びかけました。
《高野連》夏の甲子園期間中の対応確認
日本高校野球連盟などは兵庫県西宮市で行われている夏の全国高校野球の開催期間に巨大地震が発生し、津波警報が発表された場合の避難誘導の手順などについて確認しました。
甲子園球場が定める手順によりますと
▽西宮市で想定される津波は最大3.7メートルで
▽到達時間は2時間弱だということで「津波警報」が発表された場合は試合をすぐに中断するとともに場内放送で待機を呼びかけ、緊急対策本部で避難誘導するかどうかを判断するということです。
「大津波警報」が発表された場合は、球場の外に観客を避難誘導し、球場から北へおよそ1キロへの避難を促すとしています。