子こどもへのワクチン 5歳さい以上いじょうに？メリット リスク どう考かんがえる？

臨床りんしょう試験しけんでは、5歳さいから11歳さいまでの2268人にんを対象たいしょうに、通常つうじょうの3分ぶんの1の量りょうの成分せいぶんが含ふくまれたワクチンを2回かい接種せっしゅ。

1か月かげつ後ごにウイルスの働はたらきを抑おさえる中和ちゅうわ抗体こうたいの値ねを調しらべたところ、強つよい免疫めんえき反応はんのうが確認かくにんされたとしています。

中和ちゅうわ抗体こうたいの値ねは、16歳さいから25歳さいが通常つうじょうの量りょうの成分せいぶんが含ふくまれたワクチンの投与とうよを受うけた場合ばあいと変かわらず、副ふく反応はんのうもおおむね同様どうようだったということで、接種せっしゅの対象たいしょうをこの年齢ねんれいに拡大かくだいするよう、近ちかく、FDA＝食品しょくひん医薬品いやくひん局きょくに申請しんせいするとしています。

このときファイザーは、3月つき31日にちに臨床りんしょう試験しけんの結果けっか、12歳さいから15歳さいへの安全あんぜん性せいと有効ゆうこう性せいを確認かくにんしたと発表はっぴょう。

4月つき9日にちには、接種せっしゅ年齢ねんれいの拡大かくだいをFDAに申請しんせいしました。

そして5月つき10日にちにはFDAが緊急きんきゅう使用しようの許可きょかの対象たいしょうを拡大かくだいし、5月つき13日にちにはアメリカでこの年代ねんだいでの接種せっしゅが始はじまりました。

ファイザーは、日本にっぽんでも厚生こうせい労働ろうどう省しょうに海外かいがいでの臨床りんしょう試験しけんのデータを提出ていしゅつ。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは5月つき28日にち、接種せっしゅが可能かのうな年齢ねんれいに12歳さいから15歳さいも加くわえることを決きめました。

そして、5月つき31日にちには公的こうてき接種せっしゅの対象たいしょうとなり、接種せっしゅが始はじまりました。

このときは、アメリカで接種せっしゅの対象たいしょうが拡大かくだいされたおよそ3週間しゅうかんのちに、日本にっぽんでもこの年代ねんだいでの接種せっしゅが始はじまっています。

今回こんかい、5歳さいから11歳さいで安全あんぜん性せいと有効ゆうこう性せいが確認かくにんされたという発表はっぴょう、そして申請しんせいを受うけて、日本にっぽんでもこの年代ねんだいを接種せっしゅの対象たいしょうにするのか、議論ぎろんが始はじまると見みられます。

小児しょうに科かの医師いしで、ワクチンに詳くわしい北里きたざと大学だいがくの中山なかやま哲夫てつお特とく任にん教授きょうじゅは、接種せっしゅの年齢ねんれいが下さがること自体じたいは意義いぎがあると言いいます。

（北里大学きたさとだいがく 中山なかやま哲夫てつお特とく任にん教授きょうじゅ）

「これまで子こどもたちは接種せっしゅできるワクチンが存在そんざいしなかった。現実げんじつには学校がっこうでの感染かんせん、学童がくどう保育ほいくでの感染かんせん、それに習い事ならいごとでの感染かんせんが起おきている。対処たいしょする一ひとつの手段しゅだんができることには意義いぎがある」。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうのデータによると、2021年ねん9月つき15日にち時点じてんで、日本にっぽん国内こくないで感染かんせんした人ひとは累計るいけいでおよそ162万まん5000人にんいて、亡なくなった人ひとは1万まん4229人にんで、死亡しぼう率りつはおおむね0.9％となっています。

このうち、10歳さい未満みまんで感染かんせんしたのはおよそ8万まん4000人にん、10代だいでおよそ16万まん3000人にんです。

この中なかで、亡なくなった人ひとは10代だいの1人にんとなっています。

基礎きそ疾患しっかんのある子こどもで重症じゅうしょう化かするケースはありますが、重症じゅうしょう化かした子こどもは少すくないのが現状げんじょうです。

メリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか？

▽発症はっしょうを防ふせぐ、重症じゅうしょう化かを防ふせぐ

いま接種せっしゅが行おこなわれているワクチンは、デルタ株かぶに対にたいしても、発症はっしょうや重症じゅうしょう化かを防ふせぐ効果こうかが高たかいことが分わかっています。

▽学校がっこうや習い事ならいごとでのクラスター減へらす

感染かんせん拡大かくだいの第だい5波はでは、学校がっこうや塾じゅくなどの習い事ならいごとを通をつうじて子こどもを中心ちゅうしんとしたクラスターが起おきましたが、こうしたクラスターの発生はっせいを減へらせると考かんがえられます。

▽家庭かてい内ないの感染かんせんリスクを下さげる？

子こどもがワクチンを打うつことで、家庭かてい内ないでワクチンを接種せっしゅしていない人ひとや、接種せっしゅができない人ひとに感染かんせんが広ひろがるリスクを下さげることができると考かんがえられています。

5歳さいから11歳さいについて、ファイザーが9月つき20日にちに出だしたプレスリリースでは、通常つうじょうの量りょうの成分せいぶんのワクチンを受うけた16歳さいから25歳さいと変かわらなかったとしか書かかれていません。

（中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅ）

「子こどもにとって危険きけんなワクチンということはないが、一定いっていの副ふく反応はんのうが出でるということだろう。ワクチンの副ふく反応はんのうで発熱はつねつすることもあり、中なかには、発熱はつねつによってけいれんを起おこしやすい子こどもたちもいる。保護ほご者しゃがしっかりと理解りかいし、納得なっとくして接種せっしゅを受うける必要ひつようがあり、接種せっしゅをするときはふだんの体調たいちょうをよく知しっているかかりつけ医いで行おこなうことが大切たいせつだ」

また、日本にっぽんワクチン学会がっかいの理事りじ長ちょうで、福岡ふくおか看護かんご大学だいがくの岡田おかだ賢司けんじ教授きょうじゅは、基礎きそ疾患しっかんのある子こどもたちや接種せっしゅを希望きぼうする受験生じゅけんせいには必要ひつようだろうとしたうえで、12歳さい未満みまんの子こどもにワクチン接種せっしゅを進すすめることは最さい優先ゆうせんの課題かだいというわけではないと指摘してきしています。

（福岡ふくおか看護かんご大学だいがく 岡田おかだ賢司けんじ教授きょうじゅ）

「子こどもたちに大おおきな副ふく反応はんのうが出でてしまったときには禍根かこんを残のこしてしまう。特とくに健康けんこうな子こどもたちへの接種せっしゅは、病気びょうきにかかったときの重症じゅうしょう度どと、ワクチンの有効ゆうこう性せいと、安全あんぜん性せいという3つのバランスを考かんがえるべきだ」

また、CDC＝疾病しっぺい対策たいさくセンターからは、デルタ株かぶの拡大かくだいにともない、入院にゅういんする子こどもの数かずが増ふえているというデータも報告ほうこくされています。

中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅは、日本にっぽんとは傾向けいこうが異ことなることも、今後こんご、接種せっしゅの議論ぎろんを進すすめるうえで考かんがえるべきだと話はなしています。

「アメリカでは社会しゃかい全体ぜんたいで接種せっしゅ率りつが伸び悩のびなやんでいる中なかで学校がっこうでのクラスターが増ふえているので、小学生しょうがくせいでも接種せっしゅできるようにすることが求もとめられているのだろう。日本にっぽんでは、これから20代だい、30代だいの若わかい世代せだい、子こどもの父親ちちおや母親ははおやの世代せだいのワクチン接種せっしゅ率りつが上あがっていく可能かのう性せいがあるので、もう少もうすこし様子ようすを見みてもいいのかもしれない」

接種せっしゅの対象たいしょう年齢ねんれいの拡大かくだいは、子こどもの感染かんせん対策たいさくとして関心かんしんが高たかくなっています。

有効ゆうこう性せいなどのメリットと、副ふく反応はんのうなどのリスクを慎重しんちょうに見極みきわめ、そのバランスを考かんがえることが大事だいじで、子こども自身じしんや保護ほご者しゃが希望きぼうするかどうかも含ふくめて判断はんだんすることが求もとめられることになります。