▼中道ちゅうどう左派さはの社会しゃかい民主党みんしゅとうが25.7％、

▼メルケル首相しゅしょうが所属しょぞくする中道ちゅうどう右派うはのキリスト教きりすときょう民主みんしゅ・社会しゃかい同盟どうめいが24.1％で、これら二に大だい政党せいとうがきっ抗きっこうしています。

いずれも過半数かはんすうの議席ぎせきは獲得かくとくできず、社会しゃかい民主みんしゅ党とうの首相しゅしょう候補こうほのショルツ氏しとキリスト教きょう民主みんしゅ・社会しゃかい同盟どうめいの首相しゅしょう候補こうほのラシェット氏しはそれぞれ、みずからが主導しゅどうする政権せいけんの発足ほっそくを目指めざしてほかの政党せいとうと連立れんりつ交渉こうしょうに入はいる方針ほうしんを示しめしました。

また、

▼環境かんきょう保護ほご政策せいさくを前面ぜんめんに打ち出うちだす緑の党みどりのとうが14.8％で、第だい6党とうから第だい3党とうへ躍進やくしんする勢いきおいで、

▼市場しじょう経済けいざいを重視じゅうしする中道ちゅうどう右派うはの自由じゆう民主党みんしゅとうは11.5％で第だい4党とうをうかがっており、これら2つの政党せいとうの動向どうこうが連立れんりつ交渉こうしょうの行方ゆくえを左右さゆうするとみられています。

16年ねんにわたってドイツを率ひきい、国際こくさい社会しゃかいでも存在そんざい感かんを示しめしてきたメルケル首相しゅしょうの後任こうにん選えらびは政党せいとう間かんの連立れんりつ交渉こうしょうに委ゆだねられることになりますが、環境かんきょうや経済けいざいなどを巡めぐって各党かくとうの政策せいさくに隔へだたりがあり、交渉こうしょうは難航なんこうすることも予想よそうされます。

過去かこには連立れんりつ交渉こうしょうの末すえ、第だい2党とうから首相しゅしょうを輩出はいしゅつしたこともあります。

現時点げんじてんで新あらたに議会ぎかい多数たすう派はを形成けいせいするにはどちらの政党せいとうも、第だい3党とうに躍進やくしんする勢いきおいの「緑の党みどりのとう」と、第だい4党とうをうかがう「自由じゆう民主党みんしゅとう」を、同時どうじに取り込とりこむ必要ひつようがあります。

ただ、これらの政党せいとうは「環境かんきょう保護ほご」と「ビジネス重視じゅうし」という別べつの理念りねんを掲かかげていて、そろって政権せいけんに取り込とりこむのは容易よういではありません。

実じつは前回ぜんかい2017年ねんの選挙せんきょ後ごの連立れんりつ交渉こうしょうでもメルケル首相しゅしょうがこれらの政党せいとうを同時どうじに取り込とりこもうとして失敗しっぱいし、結局けっきょく半年はんとし近ちかくをかけて社会しゃかい民主党みんしゅとうとの「大だい連立れんりつ」に行き着いきついた経緯けいいがあります。

前々回ぜんぜんかいの2013年ねんの選挙せんきょ後ごも政権せいけん発足ほっそくまでにはおよそ3か月かげつかかっています。

今回こんかいも二に大だい政党せいとうのどちらがどれほどの時間じかんをかけて、連立れんりつ交渉こうしょうをまとめるのかは、まだ見通みとおせない状況じょうきょうです。

新しん政権せいけんが発足ほっそくするまでは現職げんしょくのメルケル首相しゅしょうが首相しゅしょうの座ざにとどまることになります。

各党かくとうのイメージカラーは、

▼キリスト教きょう民主みんしゅ・社会しゃかい同盟どうめい：黒くろ

▼社会しゃかい民主党みんしゅとう：赤あか

▼緑の党みどりのとう：緑みどり

▼自由じゆう民主党みんしゅとう：黄色きいろ

▼ドイツのための選択肢せんたくし：青あお

などとなっています。

第だい4次じメルケル政権せいけんは、「キリスト教きょう民主みんしゅ・社会しゃかい同盟どうめい」と「社会しゃかい民主党みんしゅとう」、「黒くろ・赤あか」による大だい連立れんりつ政権せいけんとなっています。

今回こんかいの選挙せんきょをめぐっては、連立れんりつを組くみそうな3党とうの色いろを用もちいて政権せいけんの行方ゆくえが予想よそうされていて、3色しょくであることから、「国旗こっき」などに見立みたてたユニークな呼よび方かたもされています。

▼「信号しんごう機き連立れんりつ」・・・社会しゃかい民主みんしゅ党とうの赤あか、自由じゆう民主みんしゅ党とうの黄き、緑の党みどりのとうの緑みどりの3党とうによる赤あか・黄き・緑みどりの連立れんりつは「信号しんごう機き連立れんりつ」と呼よばれます。

▼「ケニア連立れんりつ」・・・ケニアの国旗こっきに使つかわれている色いろの黒くろ・赤あか・緑みどりの3党とうによる連立れんりつです。キリスト教きょう民主みんしゅ・社会しゃかい同盟どうめいの黒くろ、社会しゃかい民主みんしゅ党とうの赤あか、緑の党みどりのとうの緑みどりによる連立れんりつです。

その上うえで「多おおくの有権者ゆうけんしゃが、政権せいけんの変化へんかとオラフ・ショルツという名なの次期じき首相しゅしょうを求もとめて社会しゃかい民主みんしゅ党とうに投票とうひょうした」と述のべて、ほかの政党せいとうとの連立れんりつ交渉こうしょうを主導しゅどうして、政権せいけん発足ほっそくを目指めざす考かんがえを示しめしました。

北部ほくぶハンブルクで市長しちょうを務つとめたあと2018年ねんからはメルケル首相しゅしょうが率ひきいる大だい連立れんりつ政権せいけんで財務ざいむ相しょうと副ふく首相しゅしょうを兼任けんにんしています。

ことし7月つきにドイツ西部せいぶを襲おそった洪水こうずいを受うけて、被災ひさい地ちへの緊急きんきゅう援助えんじょを行おこなう方針ほうしんを速すみやかに発表はっぴょうしたほか、新型しんがたコロナウイルスによる経済けいざいへの影響えいきょうを抑おさえるため、大だい規模きぼな景気けいき対策たいさくを行おこなってきました。

選挙せんきょ戦せんでは社会しゃかい格差かくさの是正ぜせいを訴うったえ、最低さいてい賃金ちんぎんを12ユーロ、日本にっぽん円えんで1500円えん余あまりに引き上ひきあげることや、富裕ふゆう層そうへの増税ぞうぜいなどを掲かかげ、雇用こようを確保かくほしながら気候きこう変動へんどう対策たいさくも進すすめると主張しゅちょうしました。

カリスマ性せいがないとされてきましたが、豊富ほうふな政治せいじ経験けいけんに基もとづく実務じつむ能力のうりょくの高たかさと堅実けんじつさが評価ひょうかされ、冷静れいせいで落ち着おちついた対応たいおうはメルケル首相しゅしょうに似にているとも指摘してきされています。

8月つきには両手りょうての指先ゆびさきを組み合くみあわせてひし形ひしがたを作つくる、メルケル首相しゅしょうが好このんでとるポーズをまねた写真しゃしんが地元じもとメディアに掲載けいさいされ、自分じぶんこそがメルケル首相しゅしょうの後継こうけい者しゃだとアピールしたものと受け止うけとめられています。

ただ、2017年ねん、みずからが市長しちょうを務つとめていたハンブルクでG20サミットが開ひらかれた際さい、開催かいさいに抗議こうぎするデモの参加さんか者しゃの一部いちぶが暴徒ぼうと化かし、放火ほうかや略奪りゃくだつに発展はってんしたことから、危機きき管理かんり能力のうりょくを問とわれたこともあります。

その上うえで、社会しゃかい民主みんしゅ党とうを中心ちゅうしんにした左派さは主導しゅどうの政権せいけんを望のぞまない有権者ゆうけんしゃの声こえにこたえたいとして「キリスト教きょう民主みんしゅ・社会しゃかい同盟どうめいのもとで政権せいけんを発足ほっそくさせる」と述のべ、劣勢れっせいが伝つたえられるなかでも連立れんりつ交渉こうしょうを主導しゅどうしたい考かんがえを示しめしました。

ドイツ連邦れんぽう議会ぎかいやヨーロッパ議会ぎかいで議員ぎいんとして活動かつどうしたあと2017年ねんからはドイツで最もっとも人口じんこうの多おおい西部せいぶノルトライン・ウェストファーレン州しゅうの州しゅう首相しゅしょうを務つとめています。

キリスト教きょう民主みんしゅ・社会しゃかい同盟どうめいに所属しょぞくするメルケル首相しゅしょうが進すすめてきた中道ちゅうどう路線ろせんの継続けいぞくを訴うったえ、選挙せんきょ戦せんでは経済けいざい成長せいちょうを重視じゅうしする政策せいさくを掲かかげてきました。

メルケル首相しゅしょうは先月せんげつ（8月つき）ラシェット氏しについて、常つねに人々ひとびとの心こころをつなぐことを大切たいせつにしてきたなどとたたえ、「将来しょうらいのドイツの首相しゅしょうだ」と支持しじを表明ひょうめいしています。

ラシェット氏しは政治せいじ経験けいけんが豊富ほうふで、協調きょうちょうを重視じゅうしする調整ちょうせい型がたとして知しられる反面はんめん、カリスマ性せいや強つよい指導しどう力りょくに欠かけるとも指摘してきされています。