厚生労働省は8月8日、このような方針を決めました。
対象は、2回目までの接種を終えたすべての人。
「2価(にか)ワクチン」と呼ばれるタイプです。 2回目までの接種を終えた人は3回目として、3回目までの接種を終えた人は4回目、4回目の接種を終えた高齢者などにとっては5回目の接種になる見込みです。
接種すると「スパイクたんぱく質」が体内で作られ、さらに、これに対応する形の抗体ができてウイルスを抑えます。 ところが新型コロナウイルスは次々に変異していて、ことしの初めごろからはオミクロン株の「BA.1」や「BA.2」が広がり、今は「BA.5」がほぼすべてを占めています。
このため、オミクロン株の遺伝情報を使ってワクチンを作り直せば効果が高まるのではないかと考えられているのです。 国内では、ファイザーが8月8日、モデルナが8月10日に、それぞれ、「BA.1」と従来のウイルスに対応した「2価ワクチン」の承認を厚生労働省に対して申請しました。
安全性に問題はなかったとしています。 モデルナは、第三者の査読を受ける前に公表した論文の中で、アメリカで行った臨床試験の結果、4回目の接種として使った場合の中和抗体の値が従来型のワクチンを使った場合と比べて1.75倍に上昇したとしています。 副反応は、接種した場所の痛みが77%、けん怠感が55%、頭痛が44%などで、大部分は軽度から中程度だったとしています。
過去最多の感染者数を更新する今の感染状況で、3回目や4回目の接種がまだな人は、いま接種すべきなのかどうか。
▽2回の接種を終えた人は人口の81%にあたるおよそ1億256万人、 ▽3回目の接種を終えた人は人口の63.6%にあたるおよそ8055万人、 ▽高齢者などを対象に進められている4回目の接種を終えた人はおよそ1778万人となっています。 ワクチンの接種の際には前回の接種から一定の期間を空けることとしていますが、秋以降のワクチン接種については、これまでの接種からどれくらいの接種間隔をとるべきかはまだ示されていません。
また、アメリカのFDA=食品医薬品局が「BA.4」や「BA.5」に対応したワクチンの開発を勧告していることについて「完成までに数か月はかかるだろう。それを待つよりも、これから出てくるワクチンを接種したほうがいい」と述べました。
イスラエルの研究グループは8月2日、医学雑誌の「JAMAネットワーク・オープン」で、医療従事者2万9000人余りを対象に4回目の接種の結果を分析した結果を報告しました。 それによりますと、ことし1月、オミクロン株が急増していた時期に5300人余りが4回目の接種を受け、その後、感染が確認された人が368人だったのに対し、3回接種した2万4000人余りでは4802人が感染していたということです。 感染した人の割合は3回接種の人では19.8%だったのに対し、4回目の接種を受けた人では6.9%と低くなっていたということです。
また、アメリカのCDC=疾病対策センターは7月、10の州を対象に「BA.2」などが広がっていた時期に、mRNAワクチンの接種回数ごとのワクチンの有効性を調べた結果を報告しました。 それによりますと、50歳以上の人で、入院を防ぐ効果は3回目の接種から120日以上たった人で55%、4回目の接種から7日以上たった人で80%だったということです。 CDCは「追加接種は適切な時期になったらすぐに受ける必要がある」としています。
60代と70代を対象に分析すると、3回目の接種から4か月の時点では中和抗体の値が「855」だったのが、4回目の接種のあと「3942」まで上昇したということです。 3回目の接種のあとも平均的には高い水準を維持していますが、ばらつきが大きく、4回目の接種を受けることで全員が高い水準となったとしています。 大阪大学の宮坂招へい教授は「東京都のデータを見ると、3回目の接種を受けた多くの人は抗体が高い状態で、その状態が何か月も続いているが、個人差も非常に大きい。どの人が抗体が高く、どの人が低いのかは検査をしないと分からない状態だ。また、今の『BA.5』は抗体価が高い人でも感染する可能性はある。抗体価が低い人は当然感染のリスクはより高い。私は4回目の接種をするほうがいいだろうと思う」と述べました。
今のワクチンでも回数を重ねることで、重症化を防ぐ効果はあり、一定程度、感染を防ぐ効果はあると考えられています。 免疫学やウイルス学、それに感染症学の専門家は、口をそろえて、ワクチンの種類にあまりこだわらず、接種できるタイミングで接種を考えるべきだ、としています。
オミクロン株対応ワクチン 効果は
「オミクロン株対応ワクチン必要 従来型使うよりはいい」
「ワクチンのアップデートは必須」
「いままでのワクチンより効果が下がることはない」
いま接種するか オミクロン株ワクチンを待つか
「いま 接種ができるなら早めの接種検討を」
「3回目接種済ませていない人 いま使用できるワクチンを」
「いまあるワクチン 接種できるときに接種するほうがいい」
4回目ワクチンの効果は