人手不足でアルバイトを集めるのが難しくなっているため、時給を例年より1割から2割ほど上げることなどが値上げの理由だということです。
日本通運の土田久男引越営業部長は「人件費の上昇やトラックを手配する費用の増加に対応するため、心苦しいが値上げを決めた。3月下旬から4月上旬は引っ越しが集中するので、できるだけ分散するようにお願いしたい」と話しています。
ヤマト運輸も同じように引っ越しの割り増し料金の値上げを決めたほか、アートコーポレーションは、一部の企業向けに行ってきた社員の転勤などの際、引っ越し料金を割り引くサービスをやめました。
物流業界では、ドライバーなどの人手不足に対応するため宅配便の料金を値上げする動きが続きましたが、引っ越し料金にも値上げが及んでいます。
“直前のキャンセル” 料金引き上げへ
人手不足で、ドライバーやアルバイトの確保に苦労している運送会社にとって、利用者の事情で引っ越しが突然、キャンセルされると大きな負担になります。
国土交通省は、引っ越しを取り消す場合のキャンセル料を引き上げることにしています。
引っ越しがキャンセルされた場合、多くの運送会社は国が定めたルールに沿って、利用者にキャンセル料を請求しています。
今のルールでは当日になって取り消す場合は最大20%のキャンセル料がかかり、2日前までの取り消しはキャンセル料がかからないことになっています。
国土交通省は、6月から、ルールを見直し、当日の取り消しには最大で50%、無料だった2日前の取り消しも最大20%のキャンセル料を徴収できるようにします。
全日本トラック協会の調査では、2日前から当日になってキャンセルされる引っ越しはキャンセルされたうちの13.6%に上っています。
人手不足で、ドライバーやアルバイトを確保する人件費が増えている中、直前の取り消しは運送会社の損失になるため、今回、キャンセル料を引き上げることにしたということです。
ルールの見直しを受けて、日本通運やアートコーポレーションでは、ことし6月からキャンセル料を引き上げる予定です。
石井国土交通大臣は、「物流業界ではトラックドライバー不足が大きな課題となっている。直前のキャンセルが少なくなれば、せっかく手配したトラックやドライバーがむだになってしまう事態が減り、働き方改革にもつながる」と話しています。