シリア 独裁どくさい政権せいけん崩壊ほうかい1か月かげつ 暫定ざんてい政権せいけん 難むずかしいかじ取かじとり求もとめられる

シリアでは先月せんげつ8日にち、半はん世紀せいき以上いじょう続つづいた独裁どくさい的てきなアサド政権せいけんが崩壊ほうかいし、「シリア解放かいほう機構きこう」が率ひきいる暫定ざんてい政権せいけんは国民こくみんの融和ゆうわを掲かかげて、新あらたな国くにづくりを進すすめています。

政権せいけん崩壊ほうかいから1か月かげつとなる中なか、暫定ざんてい政権せいけんのシェイバニ外相がいしょうは、SNSに「シリアの領土りょうどが一体いったいとなり、難民なんみんや避難ひなん民みんがそれぞれの町まちに戻もどるまでは、私わたしたちの喜よろこびは完全かんぜんなものにはならない」と投稿とうこうしました。

国連こくれんの推計すいけいによりますと、政権せいけん崩壊ほうかい後ご、11万まん5000人にん以上いじょうがシリアに帰還きかんしたものの、まだ多おおくのシリア人じんが国外こくがいにいることから、暫定ざんてい政権せいけんとしては、人々ひとびとに帰還きかんを改あらためて促うながすねらいがあるものとみられます。

一方いっぽう、現地げんちの情報じょうほうを集あつめているシリア人権じんけん監視かんし団だんは7日にち、中部ちゅうぶホムスのアサド政権せいけんを支ささえたイスラム教いすらむきょうの少数しょうすう派はアラウィ派はが多おおく暮くらす地区ちくで、墓はかが破壊はかいされたと伝つたえました。

ホムスでは、元もと兵士へいしなど950人にん以上いじょうがここ数すう日にちで拘束こうそくされたと伝つたえられ、緊張きんちょうの高たかまりが懸念けねんされています。

さらに政権せいけん崩壊ほうかい以降いこう、イスラエル軍ぐんがシリアとの緩衝かんしょう地帯ちたいに部隊ぶたいの駐留ちゅうりゅうを続つづけていますが、シリア人権じんけん監視かんし団だんによりますと、緩衝かんしょう地帯ちたいに近ちかいシリア南部なんぶの複数ふくすうの集落しゅうらくにイスラエル軍ぐんが侵入しんにゅうし、武器ぶき庫こを破壊はかいするなどしたということです。

暫定ざんてい政権せいけんとしては、国民こくみんの融和ゆうわも図はかりながら、不安定ふあんていな状態じょうたいが続つづく国内こくないをどうまとめ上あげていくのか難むずかしいかじ取かじとりを求もとめられています。

国連こくれん安保理あんぽりで協議きょうぎ

国連こくれんの安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいでは8日にち、シリア情勢じょうせいについての協議きょうぎが行おこなわれました。

このなかでシリアのダッハーク国連こくれん大使たいしは「シリアはいますべてのシリア人じんが力ちからを合あわせ自由じゆうと平等びょうどうと法ほうの支配しはいに基もとづく国家こっかを設立せつりつするという新あらたな時代じだいを迎むかえている」と述のべました。

そして今後こんごの政治せいじプロセスについて、憲法けんぽうの草案そうあん作づくりや選挙せんきょの実施じっしなどを監督かんとくする移行いこう的てきな政府せいふを設立せつりつするために国民こくみんが対話たいわする会議かいぎの開催かいさいを準備じゅんびしていると説明せつめいしました。

また人道じんどう支援しえんや、電力でんりょくなどの基本きほん的てきなサービスの復旧ふっきゅうに向むけた資金しきんを調達ちょうたつするためには、アサド政権せいけんに対にたいして欧米おうべいなどが科かしてきた経済けいざい制裁せいさいの即時そくじかつ全面ぜんめん的てきな解除かいじょが必要ひつようだとして、国連こくれんと加盟かめい国こくの協力きょうりょくを求もとめました。

このほか国連こくれんでシリアを担当たんとうするペデルセン特使とくしが現地げんちの状況じょうきょうを報告ほうこくし、暫定ざんてい政権せいけんの支配しはい地域ちいきでは法ほうと秩序ちつじょが保たもたれているところが多おおいと評価ひょうかする一方いっぽうで、前ぜん政権せいけんの支持しじ者しゃとされる人ひとたちとの衝突しょうとつなど「不安定ふあんていな兆候ちょうこうもある」と指摘してきしました。

そして北東ほくとう部ぶなど暫定ざんてい政権せいけんの支配しはいがおよばない地域ちいきが残のこっていることから、「紛争ふんそうは続つづいている」と懸念けねんを示しめしました。